小説

イカサマG@ME 1

「ブラまでは、いいよね?」 わたしの言葉に、千佳は不安そうに俯く。 「大丈夫だよ、それ以上脱ぐことにはならないから!」 わたしは自信たっぷりの瞳で千佳を見る。 「…ホントに…?」 顔を上げ、わたしを見る千佳。 眼鏡のレンズ越しに見える千佳の瞳は まだ不安一杯と言った感じ。 「…うん、ホント。絶対に大丈夫!」 「…うー…ん、…うん、わ、分かった…。」 仕方なくと言った感じで ようやくわたしに賛同してくれる千佳。 もう…そんなに心配しなくたっていいのに。 最終的には、絶対わたしたちが勝つんだから。 今わたしは、同じクラスで仲良しの千佳と一緒にいる。 場所はわたしの家のわたしの部屋。 わたしの横でモジモジしてるのがその千佳ね、田嶋千佳。 よくわたしの家で遊ぶことはあるんだけど、今日は少し特別。 同じクラスの男子2人が、この後来ることになってるんだ。 -昨日の学校の休み時間。 わたしはいつものように千佳とお喋りをしていると そこに突然割り込むかのように、男子2人がやってきて 唐突に、ある提案を持ちかけてきた。 「…なぁ丸山たち!明日暇か?」 声をかけてきたのは三浦雄馬。 クラスのおちゃらけキャラ的存在。 丸山って言うのはわたしのことね、丸山綾香。 その後ろには 三浦にくっつく様にもう1人男子が立っている。 森くんだ、森一輝くん。 ちょっとなよなよしてて、弱そうなところが特徴、かな。 「…明日は…千佳と遊ぶ予定だけど、…なんで?」 「…お、んじゃあ丁度いいじゃん。オレたちも混ぜてよ!」 「…え?…んー、どうする?」 「え!…いやわたしは…別にいいけど…。」 「…だって。」 「…よっしゃ、んじゃあ決まりだな。」 「…で?何するの?  一応わたしたちは、ウチで遊ぶ予定なんだけど。」 「おーそれも丁度いい!オレたちもお邪魔していいか?」 「…どうする?」 「…え!…わたしは…別にいいけど…。」 「…だって。」 「…よっしゃ、んじゃ決まりだな。」 なんだか単調なやりとり。わたしは通訳さんか。 「…で!何をするのよ。」 「ふふん…、聞いて驚け、脱衣ババ抜きだ!」 「…はぁ!?」 最初は何言ってんのこのバカ男子って思った。 でも、話をしていく内に 徐々にわたしたちは三浦の口車に乗せられていき 「…分かった。」 結局、そんな返事をしていた。 千佳は最後までオドオドして 賛成したとは言えない様子だったけど 最終的には わたしの意見に合わせるしかなくなったみたいに コクリ、と頷いてた。 ルールは、普通にババ抜きをしていって 4人の内負けたのが女子だったら女子が1枚脱ぎ 負けたのが男子だったら男子が1枚脱ぐ。 お互いが下着姿になったら終了。 女のわたしたちは上のブラまでね。 これが三浦から告げられた、単純かつ明快な内容だった。 全く…この時期男子って 女子の下着とかに興味あるのは分かるけどさ。 まさかこんなあからさまに誘ってくるとは思わなかったよ。 …とか何とか言って ちゃっかり承諾してるわたしたちがいるわけだけど。 頷く気なんて、もちろんサラサラなかったよ、最初は。 …でも、わたし自身 男子の裸に興味がないって言ったら嘘になるし それに、話を聴いた瞬間、わたしの頭の中に いい案がピーーーンと浮かんじゃったんだよね。 負けるのは嫌だ…でも 勝つとしたら、下着姿見るだけじゃ、物足りないよね。 途中までいい気にさせて 最後の最後でこっちからある提案を持ちかける。 そこで大勝利を収めて、全てを剥いでしまう。 …ふふ、なんとも素敵なストーリー。 そのためには、確実に勝てることが必須条件だけど それはもう仕込み済み、千佳にもその内容は話してある。 …まだ不安がってはいるけどね。 …ピンポーーーン。 「あっ!来たよ!!」 チャイムの音に待ってましたと反応するわたし。 その反面、ビクッと反応する千佳。 脅えなくたって大丈夫だよ、ちゃんと勝たせて 見せてあげるから。 「行こっか。」 「…うん。」 2人で玄関まで、今来たであろう男子を迎えに行く。 さーて、イカサマゲームの始まりよ…!
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