小説

イカサマG@ME 15

わたしの急な申し出に、森くんは三浦の頭の後ろで 少し不意を衝かれたような表情を作ったけど すぐに緩め始めていたであろう腕の力を入れ直したらしく それに伴い三浦の表情が 恥じらいの色を見せたまま少しだけ強張る。 「…うぐっ。」 小さく耳に届く三浦の喘ぎ声。 そんな三浦はと言うと わたしたちに見られてしまったことを 十二分に心得ているはずだし もう諦めたのか、やけになったのか それとも疲れたのか分からないけど もうジタバタと 小学校低学年生男子のように暴れたりはせず 体を森くんに預けるように、背中をもたれかけ 足を体育の“休め”時程度に広げて、静止している。 これで一級品の宝物をぶら下げていれば きっと世の女子ドキドキメロメロの エッチすぎる構図なんだけどね。 …もう可哀そうだから言うのは止めておこう。 その顔は いつまで経っても収まりを知らない赤を顔に携えたまま 視線を落としわたしたちの足元付近を見つめている。 「まだやんのかよ…。」、言葉はなくても そんな風に言っているように見えてならなかった。 わたしは、そんな三浦の現状態を目に焼き付けたあと その“思いついた提案”とやらを 今尚座り続ける千佳に耳打ちで伝える。 「…えっ?」 なんでそんなこと…?と言うような声を出し わたしを見つめてきたけど 容赦なく見つめ返すわたしの目力に負け 千佳はコクリと顎を引く。 …どんな顔してたのかな、わたし。見当も付かない。 何とか了承を得、 わたしは千佳の手を取り一緒に立ち上がる。 今思えば、わたしこのとき精神状態崩壊してたよね。 どうせだからやれること全部やってやろう。 …そんなノリだったんだろうけど。 「ふぅ、なんか…この部屋凄い暑い。」 第1段階として、わたしは独り言のようにそう漏らす。 「…あぁ?」 目の前の つんつるてんのお猿さんが、俯けていた顔を持ち上げ わたしの愚行にイチャモンを付けるように声を飛ばす。 ここまで来ると この怯まなさを称えてあげたくなってくるよね。 「…だから!アンタと馬鹿なやりとりしてたせいで  暑くなってきちゃったって言ってんの。」 「…うるせー。馬鹿はお前だろ。」 …うう、可愛くない。…けど可愛い。いや… なんだかんだで 翻弄されっぱなしなのはわたしの方なのかも。 ふと気を抜くと内心を見透かされそうで怖いから 適度に無心になりながら わたしはそそくさと次のステップに移る。 「…う、うるっさいなぁ!!」 そう吐きながら わたしはおもむろに上の衣服を脱いでいき やっぱり少し恥らいながらも、さっきさせられたように 自らブラジャー姿になってやった。 そんなわたしに倣うかのように、きっと少し恥らいながら 同様に上半身下着1枚の姿になる千佳。 突然のわたしたちの暴挙に クリクリした瞳を 一瞬眼孔を全開したかのように大きく開ける三浦。 同じくして、三浦の斜め後ろに構える森くんの顔も 突然のブラ再来に驚きを隠せないような表情をしていた。 「…な、何してんだよお前ら…!!」 「何って…、暑いから脱いだだけ。」 出来るだけ冷静を装い、三浦の疑問に対応するわたし。 ある意味男子2人にとってはサービスかもしれないけど きっとそれも こんなことなら見るんじゃなかったと思えるほどの 後悔へと変わるに違いない。 そして、驚く生まれたばかりの2人をよそに わたしは衝撃的な言葉を いとも簡単に言ってのけてやった。 「…あ~あ、もういいや!ブラも外しちゃおっと。  ね、千佳っ!!」 「…う、うん。そだね…。」 わたしたち2人の奇妙なやり取りを マジマジと見ていたであろう2人は その決定的な言葉に、面白いように動揺し始める。 三浦に至っては 少し発達した喉仏の動きが 手に取るように良く分かるくらい 生唾を大きく飲み込んでいた様子。 そんなリアクションに確かな手ごたえを感じた上で わたしは千佳と 後の光景に胸躍らせながら、2人に背中を向ける。 ここでやることは1つだけ。 おっぱい見せてあげるとでも思った? …悪いけど、そんな安い女じゃないから。 両手を後ろに回して、ブラのフックを外す…振りをする。 ホントなら外すのなんて全然慣れっこだけどね。 「…ん…ん~、外れない…ん。」 そんな嘘っぽくて悩まし気な声を発しながら、 実はフックが外れないように徹しながら 不器用な手つきで焦らす。 わたしを真似るように 巨乳の千佳も意外に乗り気で付き合ってくれる。 「ちょっとぉ千佳、横からおっぱいハミ出てるよ!」 「…ふぇ!?」 わたしの悪戯発言に 千佳本人までビックリしたような声を出す。 嘘だよ、嘘。 まぁ今の素のリアクションも結構ポイント高いかもね。 …そう、全てはこのわたしたち2人の背中の演技で いかに三浦たちを興奮させれるかってことが 目的なんだから。 10秒くらいかな… フックの外れるor外れないショーをお見舞いしたところで もうそろそろいいかな…と、恥ずかしさと期待を込めて 締めの台詞を言う。 「…やっぱいいや。やーめた。」 とんだ子芝居終焉のお知らせ。 その合図と同時に ホントはドキドキしながらも千佳と2人で振り返る。 -最初に飛び込んできたのは 目を真ん丸くしてボーっとした三浦の顔。+森くん。 きっとわたしたちの背中でのやり取りを 一部始終見ていたに違いない。 そしてそのまま、視線を下にずらしていくと… …正直、そんなに期待をしていたわけではなかった。 わたしの知識が正しいかどうか、確認しておきたかった。 そんなちょっとした好奇心から思いついた 可愛い悪戯だったんだけど …それが見事に大成功。 三浦のおへその下部に身を構えていた小さなゾウさんは わたしたちが後ろを向いている間に、高らかにお鼻を上げ 今まさに、“パオ~ン”の状態で 静止しているところだった。 「きゃっ!!」 本来なら千佳みたいな子が発するべき言葉を 思わずわたしが零してしまう。 当の千佳はと言うと、ブラ姿と言うことも忘れて 黙々と無言で、三浦のソレを観察しているように見えた。 だって…。 いくらわたしでも、知っていたとは言え 初めて見る男の子の秘密に 動揺を隠しきる事は出来なかったよ。 露になる、少し内容量を増したように見える宝物の裏側。 全貌が明らかになるシワシワの福袋。 鼻の先端からは、肌の色とは思えないピンク色の部分が 少しだけ頭を覗かせているのが分かった。 これをきっと、男の子の…   ……って 言うんだろうな…。 そんな、わたしたちの熱烈な凝視光線で ようやく我を取り戻したか 三浦は自分の息子さんを慌てた様子で見下し ようやく自分が興奮状態にあることを悟ると 遅すぎる弁解を始める。 「…ち、違うっ!!これは…その…!!!」 足を捻らせ、太ももでなんとかソレを隠そうと試みるものの 天井に向かって反り立った”三浦ジュニア”を隠すことは 不可能に近い。 今尚電池が切れることなく赤く点灯し続ける顔に 更に大きな電圧をかけ 内股気味になった下半身をくねらせながら,もがいている。 「さいってー!変態っ!!スケベッ!!!」 今日本できっと一番くらいに 恥ずかしい思いをしているであろう三浦に 恥ずかしながらもわたしは そう屈辱的な言葉を投げかける。 このドキドキは、興奮しているせいなのか それとも目の前のお猿さんが 可愛くてしょうがないからなのか …もうこの際、どうでもいい…か。 「…ち、ちげぇよ!!  べ、別にっ!!お前ら見てこうなったワケじゃ…!!!」 「じゃーなんでそんなことになってんのっ!?」 すぐさま反論してくる三浦に、すぐさま疑問符を捧げる。 「…そ、それはっ……!!!」 モジモジしながら 必至に言い訳を考えようとしている様子。 そんな三浦のモノは、もう収拾がつかなくなったように 時折大きな脈動を見せながら、天を見上げている。 …ホント、スケベなんだから。 今や体全体汗まみれになった 三浦のすっぽんぽん姿(興奮ver.)を見ながら 本心めちゃくちゃドキドキしているわたしもきっと コイツと同じくらいスケベなんだろうけど…さ。 数秒それが続き 結局三浦はわたしたちを納得させる嘘エピソードを 作り上げることができなかったらしい。 そのまま何を思ったか、全てを投げ出したかのように 「…あ``ーーーーーーーーー!!!!  もういいよっ!!知らねぇ!!!  見たきゃ勝手に見ろっ!!!!  これは健全な男子の証だっ!!悪いかよっ!!!!」 全く答えになっていない台詞を 完全にやけくそになったように叫ぶと 森くんに両腕を固定されたまま 元気一杯の、それでも小さな大事な部分を わたしたちに突き出すかのように背中を反らせ 充電満タンの真っ赤の猿顔を目を瞑ったまま固定させ 静止した。 「きゃーもうっ!!!」 「やぁだぁ!!」 2人してお宝初見のようなリアクションをするわたしたち。 …でも内心 ちょっと男らしいとか勝手にドキドキしちゃってた。 男の子の本心を見た気がしたからか、それとも単純に やけを起こした三浦に 何かしらの興奮を覚えてしまったのか。 …シャクだから今は、結論は出さないでおく。 当の三浦は もう後戻りは出来なくなってしまった海老反りスタイルに 何か変化を与えなきゃとでも思ったのかな、 徐々に拍車をかけていく。 確実に近づいてくる三浦の“健全な男子の証”なるものに 流石にこっちが耐えられなくなり 「…も、もういいよっ!!分かったら…。」 恥ずかしさを隠せずに 照れ丸出しでそう三浦に告げるわたし。 そんなわたしの訴えに 恥ずかしそうにボソッと三浦が理由を告げる。 「…ち、違ぇよ…。  も、森のが、その…背中に当たって痛ぇんだよ…。」 不意を付かれた意外な返答に 一瞬頭上に?マークを浮かべるわたし。 その謎に立ち向かうべく 三浦を拘束している森くんに久々に目をやると クールさに定評のある森くんが あわよくば三浦よりも赤く染まっているかのような顔を 恥ずかしそうに三浦の頭で隠そうとしていた。 “背中に当たって痛い…。” その姿から ようやくそれの意味する状況を理解するわたし。 と同時に 三浦の腰の後ろ辺りで展開されているであろう もう1つの物語を 無意識に頭の中で想像し そのハレンチ過ぎる2重構造に頭が付いていけなくなり 無言のまま黙り込んでしまう。 …当然、千佳も。 …部屋にいる4人全員が きっと同じくらいの恥ずかしさに包まれ 言葉を失った瞬間だった――。
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