小説

イカサマG@ME 16

急に訪れた、ババ抜き最終決戦中のような沈黙。 最初にアクションを起こしたのは きっと恥ずかしさで力の抜けた森くん。 その隙をついてかどうか 三浦がゆっくりとその束縛から抜け出す。 両手の自由が利くようになり、すぐさま隠すのかと思うと もう諦めたのか、面倒くさくなったのか 未だにパオーン状態を続けるゾウさんを開放させたまま これまた未だに紅潮を続ける顔で 体中汗まみれにさせながら 脱ぎ、脱がされた自分の衣類を無言で回収し始める。 動くたびに 小さいながら大きな振幅で ビヨンビヨンと揺れる三浦のソレに わたしは恥ずかしながら、興奮を認めざるを得なかった。 そんな自分を宥めるべく わたしは千佳がそうするようにその場に座り込む。 「嫌だぁ、もぅ…。」 隣りに座ったわたしの手を握り、恥じらいの声を漏らす千佳。 その主因を、わたしは苦労することなく把握する。 目の前に現れた さっき見たソレより明らかに立派な大人ゾウさん(大)。 言うまでもないけど、それは森くんの飼い象だった。 前に立っていた三浦の移動により 必然的に再び全貌が明らかになった森くん。 当の本人は、自分が興奮しているという紛れもない証拠を 少し迷ったような素振りを見せた後 結局は三浦同様にオープンにしながら これまた三浦同様、自ら脱ぎ去った服達を拾い始める。 こうやって見るとやっぱり森くんの方が数倍立派だな…。 三浦が興奮しちゃったときは なんだ結構大きいジャンとか思っちゃったけど いざ改めて森くんのと比較してみると その差は歴然だね、三浦のなんてやっぱりお子ちゃまレベル。 …それがわたしの心をくすぐるのも 恥ずかしながら事実なんだけど…。 2人の様子を見ながら 再び無言に徹する観客と化したわたしたち。 そんな2人の片割れである三浦が 気持ち治まりつつあるジョンくんを引っさげたまま トコトコと歩み寄ってきて ちょうどわたしの目の前あたりで静止する。 な…何……!? 見上げると合致する三浦の、汗で光る顔に写る 恥ずかしそうな、それでいて強気な視線。 …な、何よっ。 …言っとくけどわたし、あんたの裸なんかで興奮なんて 全然してないから…!! その視線に 無言ながらメッセージを勝手に受け取り、脳内反論し 証明してやろうとむきになって 顔から、三浦の中心線を下になぞっていこうとした… その瞬間。 -ひょい。 何をするのかと思ったら 三浦はその場で小さくジャンプをした。 …へ?不意を付かれすぎた三浦の行動に唖然としながらも わたしの視覚は捉えるべきものをしっかりと捉えていた。 -ドスンッ。びよよよよ~ん…。 着地の衝撃で、三浦のソレが元気良く振動する。 もう…何してんのよ変態…!! 頭に血が上っていくのを 恥ずかしながらも間違いなく感じながら でもその三浦の行動のワケを知りたくて 大照れ覚悟で、再び三浦の顔を見上げると… …そう言うことね。 三浦はわたしの顔など見ようともせず ただ天井を見上げていた。 下のアングルからも分かる三浦の照れ指数は 常に定常時を超えていて 顎から滴り落ちんばかりに噴出した汗が 男の子っぽいと言うか 何故かいやらしくも感じてしまった。 三浦は 蛍光灯に引っ掛かってしまっていた パンツ(ブリーフ)を取ろうと 手を伸ばし、ジャンプしていたんだ。 …でも 失敗したみたい、未だにブリーフは蛍光灯の餌食のまま…。 つまり-。 びよよ~ん。 2回目の跳躍、 当然のごとく暴れるゾウさん、真っ赤になる猿顔。 そんなに恥ずかしいんなら 空いてる左手で隠せばいいのに…。 …でも、今更もう後には引けないんだろうな。 隠したって もうわたしたち、三浦の全てを知ってるワケだし…。 そんな再度のジャンプも失敗に終わり 三度目の正直と言わんばかりに 大きな垂直飛びを試みる三浦。 「んっ…!」 わたしの上空から聞こえてくる三浦の漏れるようなその声と それとともに床に零れ落ちる一滴の三浦の汗。 それほど大きくない体を 目一杯バネにして行った3回目のそれは ようやく、見事に大成功。 手に真っ白な下着をしっかりと掴んで きっと今日最大の“お宝振動”を伴って着地するんだろう… と思っていたその時。 最初に着地した方の足を、動揺のせいか思いっきり滑らせ その勢いのまま、三浦はわたしの目の前で大きく転倒した。 -ドッスン!!! 大きく背中を床に叩きつけるように転ぶ。 「きゃっ!」 突然の出来事に驚いたのか はたまた新たな何かを見てしまったから驚いたのか 千佳が小さく声を発し、わたしの手をまた強く握る。 その原因はきっと 根拠はそれほどないけど、前者だったと思う。 千佳の位置からは、すっぽんぽんの猿が 着地に失敗してスッテンコロリンした、 くらいの状況把握しか出来なかったはず。 …でも、わたしは後者の方の驚きだった。 目の前で大きく足を開脚させて 後ろに思いっきり倒れた三浦。 当然わたしの視界に入るのは、その脚と脚の間のライン。 ゾウさんのシワシワ袋の裏側が明らかになり その下の、普段普通に生活してる上では 見ることがあるワケないような部分を 瞬時になぞっていくと… 最初はそれが何なのか、良く分からなかった。 でも、位置的な問題を考慮すると それは間違いなく 三浦のお尻の穴であると、わたしが理解した。 自分のですら見たことのない、三浦の まだ誰にも見られたことがないと思われる 恥ずかしい部分。 …きっとわたしが世界初であろう 三浦の体を“コンプリート”した瞬間だった。 そんな恥ずかしスタイルも長く続けるわけもなく 三浦はすぐさま立ち上がり、体勢を持ち直すと わたしたちにお尻を向けて 手に入れたブリーフを履きながら 真っ赤な顔だけわたしたち(きっと主にわたし)に向けながら 「…見てんじゃねーよっ!!…変態が。」 永久に絶えることのない強気の泉が 体内に埋め込まれているんじゃないかと思うくらい それでも尚強気の姿勢をアピールする三浦。 あんな姿見せといて、バッカみたい… 大体そんなこと言われたら、わたしも反論するしか… 「アンタが勝手に見せたんでしょ!?  へ、変なモン見せないでよ!!変態っ!!!」 精一杯の強がりで、わたしは訴える。 目の前には、ブリーフを履き終えた三浦の姿。 そんなパン1のお猿さんが、そのわたしの罵声を受けて 振り向きながら対抗する。 「うるせー!変態っ!!!」 …女の子の部屋でそんな格好してる男の方が どう考えたって変態だと思うけど。 …大体パンツ履いたからって その精神状態じゃ逆効果でしょ? 丁度その部分だけ明らかに膨らんでいるというか 山ができていて その薄い生地の奥にどんな景色が広がっているのか 予想するまでもなく 完全に把握することができてしまうから むしろすっぽんぽんより 目のやり場に困っちゃったじゃん…。 そんな三浦に わたしは同レベルと言わざるを得ない幼稚さで 「うるさい変態っ!!」と、座ったまま反論。 そんなわたしに 三浦がまたひねりのない同じ台詞で対抗。 それにまたわたしが… そんな“変態合戦”を 三浦が靴下以外の服を着終わるまで馬鹿みたいに続けた。 隣りの森くんは、わたしが三浦に集中している間に 全て服を着終わったらしく 隣りの悪友の着替え兼わたしとのやり取りを まだ流石に引くことのないピンク色の頬染めを顔に携え 腰を下ろして眺めていた。 千佳はようやく終わったまさかのストリップショーに 安堵したのかな… わたしたちの寸劇を、小さく笑いながら見てた。 ようやくプール後の男子更衣室のような光景が終わり 三浦は森くんの隣りに腰を下ろして、あぐらをかく。 尚も続く 何往復したのかも分からない変態発言に告ぐ変態発言。 お互いやけになってる…かな。 「…う、うるさいっ!!変態猿っ!!!」 目の前に座った正常の服装を纏った三浦を見ながら わたしはつい 語尾に今まで脳内で散々唱えていた“三浦似の動物”を ポロッと付け加えて言い放ってしまう。 あ、やばっ…と思ったのもつかの間 その単語に三浦が反応しないわけもなく 収まりつつあった顔色を、怒る猿のごとくぶり返し 「う、うっせー!…ぺ、ペチャパイ女っ!」 …まさかの自分への攻撃に、たじろぐわたし。 そのたじろぎは すぐさま恥辱へと変化し、体中が熱くなっていく。 …ブラごしに何が分かんのよっ!!! …なんて反論しようにも 千佳のブラ姿もしっかり記憶したであろう三浦にとって わたし<<<<<千佳と言う推測が正しいことなど いくら猿並みの知能がないにしても 簡単に証明できるだろう。 …事実、わたし胸小さいし。 わたしが森くんと三浦のを比べて、 三浦の小ささを理解したように 三浦も千佳とわたしのを比べて わたしの小ささを頭でインプットしていたんだ…。 変態っ…!!!心の中で再び静かに呟いたけど そんな行為をわたしもさっきまでずっとしてたワケで…。 結局わたしも三浦が連呼するように 限りなく変態に近いんだと 自虐的にも勝手に理解してしまい とにかくわたしは、三浦にすっぽんぽん姿を 逆に見られてしまったくらいの恥ずかしさに 急速に襲われる。 自分が猿だというわたしの訴えに わたしがペチャパイだと暴言を吐いた三浦は 反論しようにも言葉が見つからず 恥ずかしさで固まってしまったわたしを見て 言い過ぎた、と思ったのかは知らないけど 頭をポリポリ掻いて 真っ赤な顔で困ったような表情をしていた。 そして、また急に立ち上がり、言葉を探すわたしに 鋭い眼差しを向け、見下ろしてくる。 急にキリッとした二重になった両目に見つめられ 何故かドキッとする心を抑えつつ 三浦の視線に視線で返すと 「…トイレ、何処だ。」 その口から発せられた質問は ロボットを思わせるような棒読みの6文字。 良く見ると、立ち上がった三浦は 少し我慢しているように下半身をモジモジさせていた。 …全ての終焉にとりあえず安堵して その反動でしたくなっちゃったのかな。 …そんな三浦の姿と言動から わたしは挽回の最終案を一瞬にして思いつく。 今のわたしの恥ずかしさは すっぽんぽん姿を晒した三浦たちと ほぼ同等のもの…。 そんなはずあるわけないのに、わたしの中のわたしが そう悲痛の声を上げているから仕方ない。 ならば解決策は1つ。 更なる羞恥体験をお見舞いする他ない。 だってわたしたちは勝ったんだから… あの死闘のババ抜きに。 思考をフル回転させて 頭に新たなハレンチシナリオを描き 最初の第一声として最適だと評価された言葉が わたしの口から、そっと三浦に届けられる。 「…さぁね。」
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