小説

イカサマG@ME 18

それを左手に持ったまま きっとわたしの最後の罰ゲームを理解した三浦が わたしの方角目掛けて、強烈な視線を飛ばしてくる。 反論の言葉やわたしに対する非難の台詞はもはやない。 …でも、その眼光には確実に “変態女”の文字が、メラメラと宿っているのが分かった。 トイレに行きたくなった三浦… その姿と 何かもう1つ罰ゲーム執行の余地があることを結びつけ すぐさま図工で使った紙コップの余りを 机に残していることを思い出し これを最後のお仕置きにしてしまおうと言うプロセスを ものの5秒足らずで思いついてしまったわたしは やっぱりイケナイ女子なんだろうね…。 ただ単に 三浦そのものが“得意”なだけかもしれないけど…さ。 クラスメイト3人がいる前で、言わば公開的に用をたす… 見られるだけじゃなくて、自らしなきゃいけない羞恥を 最後の最後でしてもらおうじゃない… それが、わたしの中の悪魔からの最後の提案だった。 …そして、決断のとき。 今この部屋の視聴率を独占しているであろう三浦。 もう迷ってる暇なんてなかったんだろう。 無言のまま紙コップを1個取り出 、残りを引き出しに戻す。 きっと、決心がついた瞬間だった。 三浦がわたしの部屋の中でおしっこ… エッチ過ぎるシチュエーションに わたしの方も結局ドキドキ… どうやってするんだろ… どっちにしても、その後ろ姿をマジマジと観察して 後で恥ずかしさ承知でからかってやるんだ。 そうこれからの概要スケジュールを考えていた矢先… 三浦がわたしの予想していない行動を取り始める。 紙コップを左手に、右手で勲章をモミモミしながら 何を思ったのか、わたしの目の前にやってきて 歩みを静止する三浦。 「…え。」 座ったまま、どんなリアクションを取っていいのか分からず 赤い三浦の顔を、きっと動揺丸出しの顔で見上げる。 そんなわたしに三浦が差し出したのは …紛れもない、さっき手に入れた 紙コップという名の簡易トイレだった。 それを押し付けられるがままに、両手で受け取るわたし。 頭の中で今のこの状況を理解する間もなく わたしを見下す三浦の口から告げられたのは 「…絶対動かすなよっ!!!」 単刀直入に、その指示1つだけだった。 そんな三浦の必死の訴えに言葉も出ず 震え始めた両手で紙コップを握り締め 今から起こるであろう追加シナリオを 少しずつ解読していくわたし。 …確かに紙コップを三浦に与えた理由は この部屋の中で用をたさせるため… でも…- -恥じらいながらも部屋の隅のほうで チョロチョロとコップにおしっこを汲む…- -そんな映像が わたしの頭の中ではデモ再生されていたから この展開は少し…と言うか、かなり予想外だった。 …大体なんでわたしに持たせたの…? 別にそこには条件とか全く設定してないよね…? なんなら全然森くんに頼んだって良かったのに… なんでわたしに… …って言うか、…って言うか……!? …そんな思考回路の末の解読結果の正当性の評価として 十分すぎる意味合いを持つ“もの”が 心の整理もつかない間に、三浦自らの手で 勢い良くさらけ出される。 左手で徐につかんだズボンの裾を ザッと垂直にズリ下ろす。 …それがブリーフを巻き込んだ行為であることは 本日2回目の登場となる “猿のゾウさん”のお出ましによって 一目瞭然、…明らかだった。 -ちょろろん。…なんて もうこんな効果音をご丁寧に添える必要もないかもね。 さっきまで大きかったのに… 恥ずかしながら突然のソレのお披露目に そんな疑問を持つ余裕すらなかったわたしは 今日一番くらいに縮こまったように見えた “三浦の三浦”を コップを握り締めたまま、ただただ見つめるしかなかった。 恥ずかしさから来る鼓動のせいか はたまた我慢の限界を表す指標としてか 三浦の小さな宝物は小気味良くぷるぷると揺れる。 丁度、森くんや千佳の視界からは 断絶された死角での出来事で 見事に、この瞬間きっと わたしのためだけに、揺れてくれている。 「やっと出れたぁ…!」「もう限界だよぅ…!」などと言う ありもしないゾウさんの台詞が聞こえてくるかのような 三浦とは何の関係もない小動物を見ているかのような 錯覚を覚え それでも、その色、艶や 三浦の顔や体と同様 少し汗ばんでいるようなところを見ると やっぱりこれは三浦の体にくっついたアレなんだよね、と 今日何度目か分からないくらいに、改めて自覚した。 「…も、もうちょい上…!!」 「…、う、えぁ…!?あ、うん…!!」 立場なんて気にする間もない 三浦の指示に従順に従うわたし。 「ストップ…!!」 高齢者に優しいエレベーターを思わせる ゆっくりとしたわたしの両手の上昇に止めを掛けた三浦は 丁度いい高さの小便器と わたしと言う名の便器蓋の存在を改めて確認し 涙を浮かべた2つの眼を静かに閉じ、視線を上に向け そっと右手の親指と人差し指で ゾウさんの鼻の先端をつまむ。 ドキドキドキドキ… 先っぽをつまんだまま少しだけそれを奥に引き寄せ その力のお陰で ピンク色のゾウさんの内部が少しだけ顔を出す。 ドキドキドキドキドキ…! 真ん中に空いた小さな小さな穴…ここから…? ドキドキドキ… …ってかわたしが便器蓋ってどういうことよっ!? …って これはわたしが勝手に思ったこと…だっけ……? もう分かん……!! 「…ちくしょぉぉおおお…!!!」 わたしの視覚デバイスと精神デバイスが エラーを起こしそうなその最中 聴覚デバイスを通じて割り込むかのように届けられたのは 叫ぶでもなく、嘆くでもなく、囁くでもなく 弱々しくもあり、かつ力強くもあるような 諦めの意が込められていたであろう 三浦の漏らした声だった。 そして、漏れたのは三浦の上の口からのその声だけでなく ほぼ同時に“下の口”からもあるモノが漏れ出し始めたのを わたしは便器蓋と言う役柄上 本当に目の前で目撃することになる。 三浦が、恥じらいながら、わたしに向かって …立ちションなる行為を始めた。
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