小説

夏の大三角 番外編 3

『冬の珍事』

-ハラリ。 大きく宙を舞った和哉のタオルは 放物線を描くようにして、…パサ。 千沙の頭の上に着地した。 視界が一瞬真っ白になり、頭が混乱する千沙。 …でも、この白さ、この柔らかさ…間違いない。 これは今和兄が身につけていたタオルなんだと これまた瞬時に把握する。 …まだ生温かい温度は、ずっと和哉が腰に巻いていた証拠。 少し湿っているのは、必死で抵抗して 握り締め続けていた証拠。 加えてこの匂いは…、何処かで嗅いだことがある… ……!!! 恥ずかしさに体中が満たされていく。 …でも、そんなことより 今ココにタオルがあるということは… …いいよね、もうここまで来たらいいよね…!!! 千沙はゆっくりと、視界を覆う和哉のタオルを 頭から拭い去った。 …目の前にいたのは、生まれたままの姿の2人。 相変わらず陸は隠しもせず、陸の陸を丸出しにさせている。 相変わらず上を向いてるけど、気持ち縮んできている。 …そんなことより問題の和哉は…!! 「…く、くくく。」 嬉しそうに笑っているのは陸。 その目の前にいる和哉は 顔を真っ赤にして両手で股間を隠している。 千沙に背を向けているような体勢なため 千沙には依然として、和哉のお尻しか見えない。 「…くひひひ、見ちゃった。」 「……!?」 「………っ!!!」 「兄ちゃんのちんちん見たぞーー!!」 自分のちんちんを見られていることなど忘れて 和哉のちんちんを見れたことを喜ぶ陸。 見られた和哉は、もう何も言うことが出来ず ただただ無言で染まった顔を俯けている。 そんな2人を浴槽から見つめる千沙は 収まることを知らない胸を ドキドキドキドキとさせながらも タオルのせいで、わたしは見れていない…!!と もう抑えることなどできない欲望を 剥き出しにしていたりもした。 「千沙も兄ちゃんのちんちん見た?」 突然の陸の問いかけに、思い切り首を振る千沙。 「なんだ、見てないのか。…くく、見たい?」 更なる陸のビックリ質問に すぐにでも首を振ろうかと思いつつも 本心は騙せないらしく、少し間を空けて躊躇いながらも 結局は理性に負けて、首を小さく横に振った。 「…なんだ、いいのか。」 「…あ、あったりまえだろっ!!  変なこと言ってるんじゃないっ!!!」 いつの間にか頭から汗が噴出している和哉。 加えて顔も赤いため、サウナに入ってきたのかと 疑いたくなるほどのいでたちである。 そんな和哉の姿を見つめながら、無性に嬉しそうに喜ぶ陸。 「…でもやっぱり兄ちゃん、毛生えているんだな。」 「…あ、あったりまえだっ!!!」 嬉しそうに言う陸に、怒鳴るように答える和哉。 …やっぱり和兄も、生えてるんだ… 2人のやり取りと、和哉のバックオールヌード姿から 1人妄想し、興奮する千沙。 「ってか兄ちゃん必死で隠してるけどさ。  意味ないって、ほとんど丸見えだから。」 「…う、うるっさいっ!!!」 …その場所、陸の場所からだと丸見えなの…!?!? 少し移動すれば見れると言う事実に 再び理性との戦いに入る千沙。 と同時にある想像をする。 両手で隠しても隠れないって…、そんなに…大きいの? か、和兄の…お、おちん…。 そんな千沙の幼い推理は的外れに終わる。 理由は簡単。 和哉のも、陸と同じ状態だったに過ぎないのだ。 興奮状態のそれを丸々隠すことは難しい。 和哉は、本体だけを隠すのが精一杯だと腹をくくり 他の部分はもう諦めていた。 それ故、陸の位置から、和哉の袋と根元は丸見えだった。 「くく…、兄ちゃんも男だな。」 「だまれっ!!」 完全に陸優勢な素っ裸の2人も舞台を ただただ浴槽から見つめる千沙。 「あのな千沙、兄ちゃんのちんちんな…」 なぜかもの凄く嬉しくて 千沙に満面の笑みで喋り始める陸。 「こらっ!!そこまでだっ!!!」 染まりきった顔を陸に向け、陸を制止させようと 右手で陸の首根っこを掴み 左手の人差し指を口元で立てて見せる和哉。 千沙には後ろ姿しか見えないが 吹っ切れた和哉が 自分の股間から両手を解放した瞬間だった。 首を掴まれ、和哉の近くに引き寄せられる陸。 当然のごとく目に入る、和哉の反り立つ宝物。 「くふ、いたいいたいっ!!  …ってか兄ちゃん、ちんちん丸出し~!!!」 「だーまーれっ!!!」 「千沙~、兄ちゃん遂にちんちん丸出しだぞ~!!」 首を掴まれながらも、嬉しそうに千沙のほうに顔だけ向けて そう伝えて来る陸。 隠すのをやめた和哉の姿を、背後から観察しながらも 結局はそれを見ることができない千沙。 その反面、いちいち陸からの実況中継が飛んで来るため 頭の中はもう和哉の妄想下半身で一杯。 どうしていいか分からなくなりながらも、ただただ心の中で 陸に嫉妬していた。 「これ以上変なこと喋るなよっ。」 「変なことって何だ?」 「変なことは変なことだっ。」 「あー、兄ちゃんのちんちんのこと?」 「…、そーだ。約束できるか?」 「えー、どうしよっかなぁ~。」 「男同士の約束だっ!!出来ないなら  ちんちんチョン切るぞっ。」 「えっ!!!それは痛い…。  …分かったよ、もう言わないよ。」 「分かればよろしい。  分かったついでに、タオル持って来い。」 「…タオル?」 「俺がさっきまで巻いてたタオルだよ!!」 「あー、はいはい。」 和哉の指示で、自分が放り投げたタオルを探す陸。 無論探す必要もなく、すぐに見つかる。 恥ずかしそうに、手にしていたタオルを 無言で陸に手渡す千沙。 バトンリレーのように、それを和哉に渡す陸。 「…ほい、タオル。」 「…おう。」 陸から受け取ったタオルを両手で股間にギュっと押さえつけ ようやく千沙の方に久々に振り返る和哉。 久々に千沙の瞳に映った和哉の顔は 驚くくらい赤くて、疲れてて、汗をかいてて その恥ずかしさが自分にも伝わってきて 更に興奮してしまっていた。 「…うっし、じゃあちょっと湯船に浸かって出るか。」 和哉からそう言うと、ゆっくりと千沙の隣りのスペースに 足を踏み入れる和哉。 「あ、オレもオレも。」 すっかりちっちゃいちんちんに戻った陸は 恥じらいなど忘れて、再び千沙の隣りに浸かる。 ギュウギュウながら、千沙を挟むように ようやく3人揃って入浴ができた瞬間である。 「はぁ~…。」 お風呂の天窓には、あの頃の三角はもう映らない。 あたりもまだ暗くなければ、もう夏でもない。 天井を見上げながら、はたまた目を瞑りながら 疲労困憊と言った様子で声を漏らす和哉と陸。 その反面千沙の心拍数はただただ上がっていく一方。 ほとんど全裸の男性に囲まれてお風呂に入ると言う 言わば逆ハーレム状態。 こんな経験もちろん今までなかった。 しかもその内の1人は、思い続けた真の彦星様。 体の左半身に触れるこの温もりが、和兄なんだと ただそれだけだってドキドキなのに 振り向けばすぐそこにある顔、アソコ以外剥き出しの肉体。 ちょっと間違えばソコだって… 目標の宝物は、まだお目にかかれていないけど こんなに幸せなことはない…、夢は叶った。 …でも、でも …、なんだろう、やっぱり妥協したくない。 だって陸はちゃんと見たんだ…、そんなのおかしい。 ホントは2人でお風呂に入る予定だったのに 急に参加した陸だけが見るなんて…、納得いかない…!! 「…よし、そろそろ上がるか。」 そう自分と他2人に呟き おもむろに湯船から立ち上がる和哉。 -…嬉しいよ、これだけでもお腹いっぱいだよ。 こんな近くで、こんな手の届く距離で 和兄のお尻を見ることができるなんて… …でも、ごめんなさい…!!わたしやっぱり……!! 「和兄っ!!!」 洗い場に出た和哉を引き止める千沙。 振り返る、股間にタオルの和哉。 立ち上がる千沙。頭上に?の陸。 「…ごめん。」 「…え?」 「…ごめんなさいっ!!!!」 爆発しそうなくらい恥ずかしがりながら 大声でそう叫ぶ千沙。 そして次の瞬間…!! ものすごい速さで和哉のタオルに掴みかかり 自分の手元にそれを引き寄せる千沙。 「……!!!」 「……!!」 「…………!?!?!?」 完全に不意を突かれた和哉に、抵抗する間もなく… -ちょろん。 和哉のちんちんが、洗い場の真ん中で元気良く飛び出す。 固まる和哉、呆然の陸。 まん丸まなこで、それを目に焼き付ける千沙。 そしてすぐさま -バタンッ!!! どうしていいのか分からなくなり 和哉のタオルを握り締めたまま 風呂場から逃げ出していった。 脱衣所にある自分の衣服をおもむろに鷲づかみ タオル1枚姿でそこを飛び出し 自分の部屋へと猛ダッシュする千沙。 …見ちゃった…、遂に見ちゃった…、和兄の…!! 毛生えてた…やっぱり大人だった… …でも、でも…でもでもでも……!!! -風呂場に残された和哉と陸。 まさかの展開に、予想だにしていなかった展開に ワケが分からなくなり ただただ丸出しのまま立ち尽くす和哉。 対する陸も、まさかの千沙の暴挙に唖然としながらも 和哉よりも先に我を取り戻し 目の前に立つ尽くす、茫然自失の和哉を見て、思わず一言。 「…に、兄ちゃんちっちゃーーー!!!!」 もちろん、和哉のちんちんを見ての一言だった。 綺麗に生え揃った毛に、埋もれてしまわないか 心配になるくらいに、申し訳程度のモノが ちょろんと突き出る。 先ほどの興奮状態からの反動もあってか 余計に小さく見えてしまう。 まさかの光景に、にやにやが止まらない陸は 湯船から颯爽と飛び出し、和哉の横に並んでみせる。 「兄ちゃんオレと変わんねーじゃん!!」 「………。」 仲間だ仲間だと、喜ぶ陸。 半面、隣りで固まる和哉。 「へぇ~。中学生でも、こんなモンなんだなっ。」 マジマジと覗き込む陸。 そんな陸の頭を、突如思い切り鷲づかみにする和哉。 「え?」 見上げる陸。そこにあった和哉の顔は 薄っすら涙が浮かんでいるのが窺えるほど 羞恥に満ちていた。 「………。」 「……な、なに?」 「…責任取れよ。」 「…へ?」 -ガチャ。 和哉の手によって、再び風呂場の鍵が掛けられる。 汗が噴出し始める陸。 鋭角から鈍角へ…、再び和哉のアソコが唸りを上げる。 「…に、兄ちゃん……?」 …この続きは ご想像にお任せします…(笑
- おしまい -
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