成長くらべっこ|Kune Kune Project

小説

成長くらべっこ 8

- 期末テスト2日前 -

今日は月曜日。1週間の始まり。 …と言うよりも、期末テスト2日前、と言う印象の方が 圧倒的に強いです。 いつも通り、本当にいつも通り、授業は淡々と進み いつも通りにホームルームの時間になる。 なんでこんなに普通なんだろう。 明後日にテストを控えているのに、誰1人として 焦ったり、不安になったりしている様子がない。 ふと浮かんだその疑問の答えは、いたって普通だった。 小学校生活最後のテストなんて 普通に考えたらそんなに重要なものじゃない。 勉強をまるでせずに挑む子だっている。 最後だけど、基本的にはこなすだけ。そのスタンスの子がほとんど。 あと何日だ、あと何日だ…、なんて こんなにもテストのことで頭がいっぱいいっぱいになっているのは きっと私…、と、もう1人だけ。 周りのみんながいつものように ただただ普通に過ごしているのを見ていると あぁ私、すごい賭け事をしているんだなぁと 急に全身に冷や汗をかいてしまうような、ゾッした気分に襲われてしまう。 でも、もう後戻りはできない。私が決めたこと、受け入れたこと。 きっと…、いや間違いなく、私の意思で。 だから、もう悩んでいる暇はない。時間もない。 全力を尽くすのみ。 なんとかその気持ちで、急に訪れる不安を上書きすることが出来るから きっと大丈夫、なんとかなると、自分を落ち着かせることが出来る。 最近、そんなことばかりを考えているなぁと思うたび やっぱり私凄いことをしようとしているんだなぁ…、と… …駄目駄目、…また、無限回廊に迷い込むところだったよ。 いい意味で、無心でいかないと… 「…小春~?」 「…へ?」 「へ?って…、ホームルーム終わったよ?  帰らないの?」 「…あ、…ご、ごめん。ごめん……。  …か、帰ろう…、…うん、…か、……帰ろう!」 「…う、うん。  でも、大ジョブ?最近小春、ボーっとすること  多いような気がするけど。」 「…え、そ、そんなこと…ないけどっ……。」 「…そう?ならいいんだけどさ。  じゃ、帰ろっ。」 「うんっ。」 …友達にも感付かれていたなんて、相当だよね。 駄目駄目…、無心無心……。 廊下に出ると、2組はまだホームルームが終わっていない様子だった。 ふぅ…、良かった。…、…何が? …知らない、とりあえず、帰ろう。 ―家に到着し、ランドセルを下し、すぐさま机に向かう。 今日は、算数の勉強でもしようかな。 …と言っても、もう新しく覚えるべきところなんて なぁんにもないんですけどね。 もう何周目か分からない、練習問題を解き始める私。 ……… …… … …、…やっぱり止まる、ペン。 … ふと、ふとね、…思った。 …なんで私、こんなに頑張ってるんだろう、って。 そりゃね、もちろん 負けたらおっぱい見せなきゃいけないから頑張ってるんだけど でも、本当にそう?って聞かれたら、即答できない自分がいる。 1年生の頃から、一緒にお風呂に入るくらい仲良しで 一緒に年を重ねてきたフミちゃん。 2年生、3年生、4年生、ずっと同じクラスで 特に意識することもなく、普通に過ごしてきたつもり。 4年生になったあたりで、フミちゃんの身長が 私の身長を越していることに気付いた。 背、伸びたなぁって思った。本当に、単純に。 「わたし、久保田君のこと好きなんだ~。」 その頃から、そんな話をちらほら聞くようになった。 あのフミちゃんが?…あのフミちゃんを?… 不思議で仕方がなかった。 5年生になって、初めてクラスが変わって 会う機会がかなり少なくなった。 でも、テスト比べっこは止めずに継続させた。 フミちゃんも乗ってくれた。 6年生なっても、やっぱり会うことは少なかった。 夏に、プールの授業を2組と合同ですることになって 久々にフミちゃんに話しかけられたことを良く覚えてる。 久々にみると、身長は私より、もうだいぶ大きくなっていた。 嫌でも目に入ってしまった体は、子供ながらに引き締まっていて 少し、ドキッとした。 みんなにからかわれて、照れ隠ししていた下半身は 間近で見るとビックリするくらいに盛り上がっていて 大きくなった…、んだろうなぁと、想像していたりした。 今思えば、あっちも、そういう目で見ていたのかな、なんて思う。 この前のバレンタインデー。 たくさんのチョコレートを両手に抱えるフミちゃんを見た。 あのフミちゃんが…?ちょっとだけ思ったけど そりゃそうだよね…って、納得している自分もいた。 小学校1年生の初めに知り合い 6年の月日を経て、心も、体も、男としても 立派に成長をしたフミちゃん。 今でもフミちゃんのことが本気で好きって子、私何人か知ってるよ。 …そんなフミちゃんが、もし今回のテスト比べっこで勝ったら 私の目の前で、すっぽんぽんになってくれるんだって。 上だけの裸じゃないよ?パンツ姿でもないよ? なぁんにも身に着けてない、生まれたまんまの姿になってくれるの。 あの海水パンツの中身を、私だけのために、見せてくれるんだ。 しかも、ブランブランしてくれるらしいよ。 ホント、…バカみたいだよね。 …え?負けたらおっぱい見られちゃうって? 今そういう話してるんじゃないの。 聞いてた?勝ったらフミちゃんのが見れるって話してたの。 負けたらとか、今どうでもいいから。 …変な話だよね、昔に何度も見たことあるのにね。 成長したってことだよね、…お互い。 不思議だよね、成長するって。 変だよね、成長するって。 だってさ。…… ……あーもう、もう誤魔化すのやめよう。 自分に対してくらい、正直になろうよ。 私、フミちゃんの裸が見たいんだ。 え?何処が見たいんだって? …もう、筋金入りの変態だね。…いいよ。 耳かっぽじって良く聞きなよ? …私…、私は… 「フミちゃんの、…おちんちんが見たい。」 …、誰のいない部屋で 下にいるお母さんには聞こえないような 絶妙な音量で、そう、声に出してやった。 ……、誰もいないのに、爆発するかもと思うほどに 顔が熱くなっていくのが分かった。 でも、恥ずかしいけど、何故か自分がにやけているのも分かった。 そして、そのにやけている理由も、自分には分かった。 「…やっぱり、変態やな。」 何か聞こえた気がして、ビックリしたけど もちろんここには誰もいない。 …、……いいよ。私は、小春は、変態だもん。 何か、体が一気に軽くなった気がして 止まっていたペンも、スラスラと動き始める。 …もう迷わないよ、理由がはっきりしたから。 私、絶対負けたくない。 …ううん、負けたくないんじゃない。 勝ちたいんだ。
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