小説

雑草と太陽 10

夜、布団の中。 ご飯はから揚げ以外ほとんど残した。 お風呂には1時間くらい入ってのぼせた。 まだ頭がボーっとする。 そう言えば、どうやって帰ってきたのかも、よく覚えてない。 泣こうと思えば、いつでも泣ける。 あのノリの顔、初めて見た、あんな怒った顔。 初めて聞いた、あんな怒った声。 思い出したくないのに、思い出した、胸がキューっと痛くなる。 正直、勝てないとは思ってた。 酷いとは分かっているけど、絶対が付いてしまうほど、 勝てないって思っていた。 だって、分かるよ。ずっと見てきたんだもん。ノリを。 でも、それで陰で笑ってたなんてこと、 神に誓ってもないよ。本気で、応援していたんだよ。 絶対に、誤解を解きたい。 でも、どうやってそれをしたらいいのか、何も分からない。 そもそも、今ノリに話しかける勇気なんて、ない。 なんでこんなことになっちゃったんだろう。 あーあ、…また涙が出てきちゃった。 もう二度と、ノリと喋ったり出来ないのかな。 もう二度と、ノリと一緒に帰ったり出来ないのかな。 そんなに、絶対に嫌だ、な。 何も考えたくなくて、必死であのことを忘れようとする。 無理だけど、でも、ちょっと忘れたふりをすると、 今度は、あっちのことを思い出しちゃうんだ。 …はは、またやっちゃった。 また、思い出しちゃった。 すっぽんぽん、素っ裸のノリ。 あんなにいつも一緒にいたはずなのに、 初めて見た、ノリの、…あそこ。 まぁ、一緒にお風呂に入ったことがあるわけでもなく、 当然だけど、さ。 ………、 僕のより、小さかったな。 僕のより、黒かったな。 プルプル、揺れてたな。 あれがノリの…、…ちん、こ、なんだな。 …んっ…。 最低だよね、僕。 大好きな友達の裸思い出して、こんなにドキドキしてるなんて。 こんなの、友達失格だよね。 こんなの、友達じゃ迷惑だよね。 ノリが、可哀想だよね。 もう二度と、付きまとわない方がいいのかもね。 …、 ……そう、言われちゃったしね。 こんなにドキドキしてるのに、 また、どうしようもなく悲しくなって、寂しくなって、 涙が出てきて、もうどうすればいいか分からなくて。 長い長い夜。 答えが見つからない。 明日、どうしよう。 考え過ぎて、疲れ果てて、ようやく僕は眠りに付いた。
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