小説

正義のヒーロー 4

次の日。 また明日な、と言っていた石橋くんは 昼になっても現れず 気づいたらもう夕方になっていました。 今日も何もしてないなー… クラスのみんな何してるかなー… 心配してくれてるのかなー… 早く会いたいなー… そんなこと考えてるだけの 1日でした。 石橋くんは明日退院しちゃうんだよね。 またわたし一人ぼっちか。 やだなー… 手術受けちゃえば済む話なんだけどね。 あーんどうしよう…。 そんなことを意味もなく考えていると 銀河マンの今日2回目の再放送の時間が 近づいていました。 はぁ…とため息をつきながらも 今日すでに2回は見たそれを見ようと テレビのスイッチを入れかけた瞬間。 病室のドアがガラガラガラ!と 勢い良く開きました。 「何!?」と思い そちらの方向を見ると その体には明らかに不釣合いなくらい 大きなバイクのヘルメットを頭に被り 全身を病院のベッドのシーツで覆った わたしと同じくらいの背の子が 入ってきました。 「きゃ!」「何!?」 同じ病室の女の子も ビックリしているようでした。 その異様なオーラを放った子は 迷いもなく私の方へつかつかと歩いてきて わたしの目の前で止まりました。 なんなんだろう!?と思って わたしがドキドキしていると 「正義のヒーロー!  全裸マン参上!!」 「…え?」 そう言って 病室内全体に聞こえるような声で叫ぶと 身を隠していたベッドのシーツを バァアッと広げました。 わたしは目の前の出来事に 目を疑いました。 わたしの目の前には 頭にヘルメットをし ベッドのシーツを マントのように首に巻きつけただけの すっぽんぽんの男の子が 腰に手を当てて立っていました。 「きゃー!」 病室の女の子たちが 悲鳴を上げました。
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