小説

気になるあの子 6

少し寂しそうに そう語る男の子。 わたしとは種類が違うけど 似たような孤独を感じている人が 同じ歳の子にもいるんだ、と思うと 少し嬉しかった。 良く分からないけどね。 わたしもやっぱり寂しかったんだと思う。 ちょっと沈黙するわたしと男の子。 目の前ではワンちゃんが わたしたちをジッと傍観するように ベロを出しながらただお座りをしていました。 「…んじゃー寂しい者同士  友達になりますか!」 沈黙を破るようにそう言うと 照れた顔をわたしに向けて 男の子はそう言ってきました。 その言葉にちょっとびっくり。 そんなこと言われたのって初めてだった。 いつも気がついたら友達になってる みたいな感じだったし 最近じゃ友達作るのすら拒絶していたから なんか凄いドキッとしちゃった。 でもなんだろう…凄い嬉かった。 ちょっと泣きそうだった。 やっぱり1人ぼっちは寂しいよ。 わたしは入り乱れる感情を制御しつつ 精一杯の笑顔で『うん』と答えました。 わたしの返事に 照れながら嬉しそうに笑う男の子。 「よし。  んじゃあ友達記念の握手。」 そう言って体をわたしのほうに向けて 手を差し出してきました。 わたしも手を出そうとしたとき ちょっと下に目をやると 男の子の短パンから白いパンツが見え その隙間から昨日見た『それ』が ちょっとだけはみ出ているのが 見えてしまいました。 …これが横…チン? 聞いたことはあったけど 本当にこんなことってあるんだ。 …そんな言葉を思い出してしまった自分に 凄く恥ずかしくなっちゃいました。 咄嗟に目をそらし 出した手を引っ込めるわたし。 そんなわたしを不審に思ったのか 男の子が自分のをチェックすると どうやら気づいたらしく すぐさま指でパンツの位置を整え 一瞬にしておちんちんが隠れました。 はや! この期に及んで最初の感想はそれ…w 男の子は更に赤くした顔をわたしに向けて 「…サービスサービス。」 と言ってはにかみながら笑ってきました。 「やーだー。」とわたしが言うと 「いいから早く!握手。」 照れ隠しのように急かしてきました。 わたしも照れながらも握手しました。 恥ずかしさと嬉しさで頭がいっぱい…。 でも久しぶりに友達が出来たことを 素直に喜んでいました。 このときはこの感情に気づかなかったけど きっとこれが初めての恋だったんだなぁ。 今思うとそんな気がする。 その後ちょっとフリスビーをすることになって せっかくだからとわたしに投げさせてくれました。 わたしがコントロールの悪い 馬鹿みたいに曲がるそれを投げると ワンちゃんは嘘みたいな瞬発力で それを追いかけて 見事にキャッチしました。 顔を見合わせながら驚くわたしと男の子。 「…この、馬鹿犬がぁー!」 そう叫ぶ男の子。 それがなんだか凄いおかしくて わたしはほんとに久しぶりに 大笑いしました。 やっぱり誰かといたほうがいい。 1人は寂しいよ。 改めて思いましたね。 そうこうしている内に カラスからの警告音が聞こえました。 「…わたし、そろそろ帰らなきゃ。」 「おー、そっか。」 すっごく楽しかったよ。 言葉では伝えなかったけど。 「途中まで送るよ。」 「でもほんと家真逆の方向だし。  大丈夫だよ。」 「ん、あーそっか。そうだよな。」 残念そうな男の子。 「んじゃ、また今度。」 「おう、またな!」 「バイバイワンちゃん!」 「ワウ、ワウ!」 ちゃんとした約束をするわけでもなく わたしたちはそう交わしました。 だってこの公園に来れば また絶対会えるもん。 …そう思っていたから。 男の子と別れて歩く帰り道。 ふと思った。 …あの男の子 名前なんて言うんだろう…? いろいろ話してて気づかなかったけど 一番大事なこと聞くの忘れてた。 …まぁ次会うとき聞けばいっか! そう思ってウキウキしながら 家に帰りました。
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