小説

芸術の秋 2

案内された竹内くんの部屋。 勉強机にパソコンが置いてあって テレビにゲーム機。 それから野球の写真とかが 貼ってあったりして 今風の男の子の部屋って感じでした。 どうやら野球のゲームをやっていたらしく テレビにはその画面がついていました。 「よいしょ。」と言って ゲームを消す竹内くん。 「あーいいの?消しちゃって。」 「あーいいのいいの、どうせ対戦ゲームだし。」 そう言って部屋に腰を下ろしました。 「んで、どうしたんだ?  家に来るなんて珍しいな。  しかも1人で。」 あぐらをかきながら話す竹内くん。 …やっぱり部屋に2人っきりって ドキドキしました。 「実はね、お願いがあって来たんだ。」 「ほう。」 どう切り出そうか迷ったけど ここはバッサリ言っちゃったほうがいいなと思いました。 「今度ね、美術コンクールがあるんだ。  それでわたしそれに出展するのね。」 「あー、森本絵ぇ上手いもんな。  確か毎年入賞とかしてるよな。」 「うん。  それでね…。  今年は竹内くんを描きたいなー、と思って…。」 ちょっとビックリした様子の 竹内くん。 そりゃそうだよね。 「…オレ?オレを書くの?  …オレなんかでいいの?」 ちょっと笑いながらそう言ってきました。 「オレでよければ全然いいけど。」 意外にもあっさり答えが返ってきました。 …あでも、重要なこと言ってない。 「ホントに!?  …あ、でももうちょっとお願いがあって…。」 ん?と言った表情の竹内くん。 「服をね…脱いで欲しいんだ。  竹内くんの裸を描きたいの。」 自分で言って恥ずかしくなっちゃった。 竹内くんもちょっとビックリと言った感じで 顔を赤くしてました。 「…は、裸?」 「も、もちろん上だけね!  美術の教科書とかでもよくあるでしょ。  男の人とか女の人とかの裸を描いた絵!  そ、そんな感じのをね、描きたいの。」 誤解がないように すぐさま付け加えました。 ちょっとためらって あぐらのまま頬っぺたを掻いたりして 考えた様子の竹内くん。 やっぱりちょっと引かれたかな…。 いろいろドキドキしながら待っていると 「森本って  中学校違うとこ行っちゃうんだよな。」 「…う、うん。  美術の設備が整ってる私立に  行くことになってる。」 急に違う話に飛びました。 更にちょっと考えた様子の竹内くん。 そして「よし!」と小声で言うと 「分かった、一肌脱ごう!  オレを題材として使ってくれ。」 赤く染めた顔をわたしに向けながら 竹内くんがそう返事をくれました。 良かったー…。 それと同時にドキドキも隠せませんでしたね。 「その代わり  ちゃんと格好良く描けよ!」 そう言いながら竹内くんは 着ていたTシャツを男の子らしく 一気に脱ぎました。
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