小説

芸術の秋 7

わたしの注文したポーズを 忠実に再現してくれている竹内くんは 斜め上方向を見ながら 動かなくなりました。 顔を真っ赤にして 目を細めて口はすぼめていました。 …そして視線を下に下げると そこには間違いなく 竹内くんのおちんちんが ポロンと、くっついていました。 見ちゃった…竹内くんのおちんちん。 弟のよりはやっぱり大きくて 色は真っ白でした。 …なんだろう、例えるなら 教科書で見たことあるダビデ像の彫刻。 見ながら1人でドキドキした思い出があるけど まさにあんな感じの 立派な男の子の象徴が くっついてました。 …もちろん毛は生えてなかったけど(照 でもやっぱりドキドキ。 目の前の映像に悪いと思いながらも 好きな人のその姿を ただただ10秒間くらい 無心で凝視してしまいました。 ちょっと垂れ下がったおちんちんの袋。 中に2個たまたまが入っているのが 肉眼でも分かりました。 竹内くんの体のどの部分よりの しわが多くって不思議な感じがしました。 …そしておちんちん。 ホントにダビデ像みたいな 立派なおちんちんで 先っぽの方がつぼみみたいに しぼんでいるのが分かりました。 全てが初めて見る世界で きっと凝視してしまっていたわたし。 流石ににそんなわたしの姿に気づいて 「…ちょ、あ、み、見すぎ見すぎ…。」 目を細め照れながらそう言ってきました。 喋るたびにおちんちんが ぷるぷる揺れるのが分かりました。 「…あ、ご、ごめん!  見入っちゃってたっていうか…  …いやそうじゃなくて!  …とにかくす、すぐ描くね!」 何言ってんのわたし…! 自分でも言って恥ずかしくなっちゃった。 と、とりあえず描かないとね。 こんな状況ずっと続けるわけにも行かないし。 と、とりあえずおちんちんは後回し…。 他の部分を無言で描いていく。 太もも、足… 見て描いて、見て描いて… でも結局見るたびに目線は おちんちんに向いてしまう。 これホントに竹内くんのなんだよね… 何言ってんの、当たり前ジャン。 頭はもうそのことでいっぱいでした。 なんとか描き終えて 最後大事な部分だけになりました。 自分でもいいと思えるほどの すっごくいい絵が描けてる気がする。 竹内くんはただ無言で その姿勢を崩さずにいてくれました。 汗は凄かったけどね…。 あとは、おちんちんだけ。 妥協はしたくない… そんなことしたら竹内くんにも悪いし。 よし、描こう。 しっかり見よう。 わたしはおちんちんを 描き始めました。 じーっと見て 頭にそれを焼き付ける。 でも2秒くらいが限界だった。 画用紙に目を向けて描こうと思うと どうしても鉛筆が動かない。 …だからまた見る。 竹内くんのぞうさんが 小刻みに揺れながらこっちを見てる。 恥ずかしくなって目をそらす。 自分で頼んでおいてなんだけど やっぱり描けないよおちんちんなんて…。 「…お、終わったか?」 10分くらい経って 竹内くんがそう聞いてきました。 「あ、あ。  う、…と。  あとちょっと、1箇所だけ…。」 「…そ、そうか。」 目を瞑って聞いてくる竹内くん。 あと1箇所だけって…。 おちんちん描いてるって 言ってるようなもんジャン…。 とにかく描いちゃわないと…。 わたしが頼んだんだから! 何恥ずかしがってんの。 ちゃんと見なさいわたし! 恥ずかしさなんて当に通り越した。 そう思い込んでわたしは もう一度書くべき部分に 目を向けました。 …え? 釘付けになるわたし。 急に竹内くんのおちんちんが 脈を打つようにピクッピクッと動き始め… 10秒くらいすると 本当にぞうさんがぱおーんと 鼻を高らかに上げるときみたいに ピーンと…上を向きました。
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