小説

リアルおままごと 2

「…で、なにするんだこんなとこで。」 改めて聞くまさとくん。 「よくぞ聞いてくれました!  今日は2班のみんなで  おままごとをしまーす!」 テンションあげあげのさつきちゃん。 ぽかーんとするわたしたち5人。 「…テンションひくっ!!!!  言っとくけどただのおままごとじゃないから。  『リアルおままごと』だから!」 終始ニッコリ顔のさつきちゃん。 「リアルおままごとって…  ネネちゃんかお前は。」 「はは!くだらねー!  でもちょっと楽しそうだなー、はは!」 「おままごととか…  子供の遊びじゃん。」 賛否両論しどろもどろと言った感じの 男の子たち。 わたしたちは さつきちゃんの言うことは絶対同盟を 2人で組んでたから(何それって話だよねw) 歯向かうワケもなく。 まさとくんやはかせも ちょっと歯向かってはいたけど 一度言い出したら 絶対に実行されないと気がすまない さつきちゃんの性格を知ってか すぐ折れていました。 「よし、じゃ決定ね!」 そう言って大きな手提げ袋から ブルーシートを取り出して 「まさととはかせと厚川!  これ敷いて!」 そう指示するさつきちゃん。 今日ずっと気になってたけど その大きな袋にはそんなものが 入っていたのね…。 もう1つあるけどそっちには 何が入っているんだろう…。 せっせと3人がかりで シートを敷いていく男の子たち。 公園の真ん中に わたしたち6人が十分に入れるくらいの 大きな青い空間が出来ました。 「…で、  具体的になにをするんだ?  リアルおままごとって。」 「…まぁ基本的にはおままごとね。  でも本格的なおままごと。  衣装とかもちゃんと持ってきたの!」 そう言ってもう1個の袋の中身を ブルーシートの上に広げるさつきちゃん。 なんかいろんな子供用衣装が いっぱい出てきました。 …いったいどこで集めてきたんだろう。 「役柄はもう決まってるの!  …あー台本とかはないから。  でも全部わたしの頭の中にあるから  安心して!」 「…ほんとに  リアルネネちゃんだな。」 「…だね。」 「あはははは!」 1人突っ走るさつきちゃんと やれやれと言った感じの まさとくんとはかせ。 +何も考えてなさそうな厚川くん。 そんな4人をわたしはちなつちゃんと一緒に クスクス笑いながら 眺めていました。 「とりあえずわたしは  監督で決まりね。これは当然。」 えっへんと言った感じで 袋に入っていた小さなメガホンを 手に取るさつきちゃん。 そしてわたしたち5人を 一通り見回すとウンと無言で1回うなずき 役柄を発表していきました。 「まずはかせ!  はかせはこの家の亭主。  …まぁつまりはお父さんね!」 はかせがお父さんー!? みんな流石に笑いました。 「意外性も大事なの!  じゃあ次ね…  お母さん役はめぐみ!」 おーーー、と 良く分からない歓声が上がりました。 なんか知らないけど照れちゃいましたね。 でもお父さん役はかせかー。 まさとくんが良かったなー。 とか遊びなのに何ちょっと 残念がってるんだろうねわたしw 「んじゃあ次ね。  厚川は子供A!  ちなつが子供Bね!」 「なんだよそれ適当だな!ははは!」 「子供役って結構重要なの!  ありがたく思いなさい!」 もうなんかさつきちゃんの 独裁政治って感じw 見てて楽しかったけどね。 「…で?  オレは何すればいいんだ?  ペットとかか?」 残されたまさとくんが そう尋ねていました。 「あ…違う違う。  まさとはね…  赤ちゃん!」 「はぁ?」 みんなまた一斉に笑いました。 まさとくんが赤ちゃん役? その姿想像して ちょっとおかしくなっちゃいましたね。 まさとくんも流石に ちょっと顔を赤らめてたけど へいへい…と言った感じで いつものように了承してました。 その潔さに 満面の笑みで頷くさつきちゃん。 人が良いなぁまさとくんは。 そのときはまだ その程度のことしか考えていませんでした。
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