少年裸祭り|Kune Kune Project

小説

少年裸祭り 【拾八】

西島 耕助
  • 西島 耕助
  • 2009/01/03 08:30
  • 神社裏の小屋
…下半身が異常にスースーする。 頭真っ白で、もう、どうしていいか分かんない。 とにかく俺は、きっと物心着いたころから数えて 初めて女の人に、いや、人に、ちんこを見られている…。 死んでも知られたくなかった秘密を 見られてしまっている。 しかも上も何も着ていない素っ裸状態。 こんな恥ずかしいことないよな…マジで。 手を後ろに組む。 俺のモノを隠してくれるものなんて何もない。 本当に丸出し状態になっちまった。 山井…お前のあの笑顔の意味…やっぱ全く分かんねぇよ。 こんなの屈辱以外の何物でもないじゃんか…! 頭に血が上っていく。 顔が熱い…でも下半身は寒い。 もう心を無にしよう…きっとすぐ巻いてくれるさ…。 自分の心臓が ものすごい速さで脈打っているのが聞こえる。 ドクンドクン…早く終われ早く終われ… ドクンドクンドクン… その心臓音に紛れ込むように聞こえてきたのは 間宮のお母さんの、ただ一言のリアクションだった。 「…え?」 そうこぼす様に呟く間宮のお母さん。 その一言に俺はいても立ってもいられなくなって 恥ずかしながらも、間宮のお母さんの顔を見た。 視線は、どこか一点に釘付けになっている。 その視線をなぞるように辿っていった先にあったのは 紛れもない、寒さで更に縮こまった 俺のリーサルウェポンだった。 …いやウェポンなんて代物じゃないか。 今まで俺が見た中でも 一番小さいんじゃないかってくらいで 情けなく、申し訳程度に揺れていた。 …もう早く巻いちゃってくれ…! 恥ずかしすぎてもう動けないよ。 お願いだから一刻も早く 俺の秘密をその褌で封印してくれ…! ってか「…え?」ってなんだよ…! いや多分…あまりにも小さいから驚いたんだろうけどさ…。 そんなこと言われて俺何も出来ないじゃん…。 言葉にしないで、心に留めといてくれればいいじゃん…。 俺がむしろ、え?って感じだよ…。 もう泣きてぇよぉ…。 頭がパンクするくらいいろんなこと考えたけど 多分そんなに時間は経っちゃいなかったんだろうな。 そしてその俺のグルグル回る思考回路を 一瞬で凍りつかせたのは 次に聞こえてきた言葉だった。 「…ん?なになに?」 後ろから聞こえてきた声。 それは紛れもなく山井の声だった。 続いてこっちに近づいてくる足跡が聞こえる。 あまりにも不規則な足のステップ音…いや2人分か…! 鈴谷もつられてこっちに向かっている…!? 俺は慌てて両手を前に戻し、ちんこを隠す。 …ちょっと待て!最悪のシナリオじゃないか! …いや想像してた最悪のシナリオより更に最悪だ…。 間宮のお母さんに見られるだけでも嫌だったのに こんな展開聞いてねぇよ…もうやだよ…。 変な声出さないでくれよもう…。 そうこうしてる間に 山井と鈴谷が俺らのところへやってきた。 「ちょ、ちょっとお前ら!あっち行ってろよ!!」 必死の抵抗、当然だよ。 こいつらに見られたら、なんて言われるか分かんない。 鈴谷のあんな立派なモン見せられた後だから、尚更だ。 「別にいいじゃん、男同士だろ?」 ニコニコ笑いながらそう言ってくる山井。 鈴谷の奴も、何々?って感じで覗き込んでくる。 …何だよ、男同士だろ?って。 俺にとっちゃあ男だって女だって関係ないんだ。 …むしろ同じクラスの男に見られることが 一番まずい気もする。屈辱以外の何ものでもない…。 「ほら、そんなにジロジロ見ないの!  恥ずかしがってるじゃない西島くん。」 そう言って山井たちをなだめようとする間宮のお母さん。 そーだ帰れ帰れ!俺は心の中で叫ぶ。 いつもならこの2人になら強気になれるんだけど 今はこの絶望的な状況と格好なだけに 下手な動き1つ出来ない…。 変に動いてポロリなんて、最悪のパターンだからな。 何より、情けねぇよ…。 「…あ、で、でも別に…。」 少し退いてそう呟く山井。 よし…このままなら見られなくて済むかもしれない…。 …と言う、俺の必死の祈りも虚しく 間宮のお母さんの口から俺へのメッセージが届いた。 「…ふぅ。西島くんも。  そんなに恥ずかしがらないの、男の子でしょ!」 …なんだよそれ。 そんな…男の子でしょ?って…せこいよそんなの。 ココで恥ずかしがったら、男じゃないってことかよ…。 ココで堂々としなかったら、俺は女だって言うのかよ…。 …いや違う、俺は男だ。 確かに悲しいくらいちっさいけど ちゃんとちんこ付いてるよ。 アンタだって今見ただろ?俺の…ち……くしょう。 「男の子でしょ?」 頭の中でその台詞がグルグル回る。 男の子でしょ? それならこんなことで恥ずかしがらないの! 男の子なら隠さないで もう一度男の子だって言う証拠を見せてみなさい! そんな風に 間宮のお母さんの目が言っているようにも見えた。 ちくしょう…そんなこと言われたらもう 俺出すしかないじゃんか…。 2人が見てる前で…ちくしょうちくしょう… 俺の頭の中の天秤がグラグラと揺らぎ始めて 徐々に『男のプライド』が重さを増し そしてゆっくりと、動きを止めた。 もうどうにでもなれ、俺は男なんだ。 見たきゃ見ればいいさ…。 …ちくしょうちくしょうちくしょう! …俺は泣きそうになりながらも両手を解いて 再び前を晒した。 「アハハハハ!ちっちゃー!w」 俺のを見た山井が 申し訳なさのかけらも無さそうにそう笑う。 横目には、鈴谷のニコニコした表情が映った。 もう…最悪だ。 「こーら!笑わないの!可哀そうでしょ!」 「…え、で、でもw―」 可哀そうって何だよ…!惨めになるからやめてくれよ! ちんこ見ながら可哀そうって言われること以上の屈辱って 多分存在しねぇよ…。 「あの!…早く…締めてもらえますか。」 俺は涙ながらに訴える。 丸出しのまま、フルチンのまま、素っ裸のまま…。 「うん、ごめんね、すぐつける。  …ほら!あなたたちはあっちで待ってなさい!」 「…はーい!ククク…。」 その言葉に元の場所に戻っていく山井を鈴谷。 …やっと消えた…けど。 結局見られちまった…クラスの男2人に。 噂拡められたらどうしよう…。 見られてもなお2次被害を恐れなきゃいけないなんて もう…やだよもう。 「ごめんね、えっとじゃあ  もちょっとこっち来てくれる?」 …元はと言えば、間宮のお母さんのせいで… なんてこと言ったってしょうがないんだけどな。 八つ当たりって奴だ、そんな汚い人間にはなりたくない。 「…あ、は、はい。」 震える声で返事をして、その指示に従う。 体中が熱い、いつの間にか下半身も。 恥ずかしいけど、もう隠したりはしない…できない。 見たきゃ見やがれ…むしろ見てくれ。 俺だってちゃんとちんこくらいついてんだ。 小さくて分かんないかも知んないけど レッキとした日本男児だ。 もっと近づけばちゃんと見れるだろ…。 俺は何かの糸が吹っ切れたように 丸出しのまま間宮のお母さんの目の前に歩を進めた。 ちらちら見られてる視線がチクチク痛いけど これで証明できただろ…はぁ、もう、 もうなんでもいいよもう! そしてようやく褌を巻いてもらう。 とりあえず安心したけど、傷跡は深い…。 まさか3人に見られるなんて…最悪だ。
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