小説

少年裸祭り 【参拾壱】

間宮 桃子
  • 間宮 桃子
  • 2009/01/03 09:32
  • 石田家前
20分くらいかな? 男の子たちは、この寒空の中を褌姿で歩いて ついさっき佳奈ちゃんの家に入っていった。 佳奈ちゃんの家ってホント砂浜に面してて 海までホント100mくらいしかないんだよね。 家も立派なお家だから 祭りの中継ポイントみたいな感じで 選ばれたんだろうな。 毎年、佳奈ちゃん家でやってるのかは知らないけど…。 今わたしは佳奈ちゃんの家の前にいる。 さっきまでいつみちゃんもいたんだけど 男の子たちがいる佳奈ちゃんチの庭に 1人で行っちゃった。 凄い度胸だよねー本当に…。 ホントはわたしも行きたかったんだけど…さ。 西島くんたちを目の前にして どんな表情でどんな会話すればいいのか 分かんなくてさ。 何よりドキドキしちゃうと思うんだよね。 …わたしももっと 積極的にならなきゃいけないんだろうけどさ。 はぁ…いつみちゃんいいなぁ…。 とりあえず、視界から男の子の裸がなくなって だいぶドキドキも収まってきた。 思えばこの1時間くらい ずっとドキドキしてたんだよねわたし。 ホントもう、心臓に悪いよね…。 …と、一気に安心と言うか、肩の荷が下りたからか 急におしっこに行きたくなってきちゃった…! いや、もしかしてずっと行きたかったのかもしれない。 裸に夢中でおしっこしたいことも忘れてたなんて… もうどうかしてるよね。 …と、とにかくどうしよう。 終わるまで我慢とか… それは絶対に出来ない気がする…。 …ふえぇぇぇえ…マズッた…! 「どうしたのー?桃子ちゃん。」 きっと急にモジモジし始めたからだろうな。 佳奈ちゃんのお母さんが声をかけてきてくれた。 「いや…あのその…  ちょっと、お手洗いに行きたくなっちゃって…。」 「あらら大変。  早く言えばいいのにーw  ウチのお手洗い使っていいから行ってきなさーい。」 「…え、でも祭りで使ってるし…。」 「なーに。  使ってるのなんて庭ともう1部屋くらいだけよ。  他のところは全然使ってないから大丈夫!」 「そ、そうですか…?  じゃ、じゃあお言葉に甘えて…!」 遠慮してる場合じゃないモンね、結構限界; でも良かった、漏らしちゃうとこだったよ…。 「もし玄関から入ってくのが嫌だったら  裏口から入ってってもいいわよ。今開けてあるし。  お手洗いの場所は分かる…わよね?  いつも来てるもんねw」 「あ、はい!凄い助かります!」 良かったぁ。 もしお手洗い行くところを 西島くんとかに見られたりしたら、嫌だモンね。 …いやなにが嫌って言われたら困るんだけど… なんかやじゃない?恥ずかしいって言うか… とかそんなこと考えてる場合じゃない! 早く行って済ませちゃおう…。 「じゃあすみません、お手洗いお借りします…。」 「はーい。」 わたしは気持ち小走りで佳奈ちゃん家の門をくぐり 西島くんたちがいる庭がある方向とは逆の方向を 塀伝いに駆けて行き 裏口を目指す。 …あー急がなきゃ急がなきゃ…!
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