小説

少年裸祭り 【参拾伍】

鈴谷 孝輔
  • 鈴谷 孝輔
  • 2009/01/03 09:38
  • ある民家の脱衣所
…とんだ災難にあったけど まぁ仕方ないしな。 代えの褌があるってんだから ある意味ラッキーなのかもな。 褌汚されたのが、あの少年で良かった。 礼儀も正しかったしな、あの年でしっかりしてんなー。 とにかく急いで褌締め直さなきゃ…。 そんなこと思ってる内に スルスルと俺の褌を解いていく間宮さん。 想像はしてたけど やっぱり着てるものを脱がされてくのってのは 恥ずかしいもんだよな…。 …と、あっという間に解き終わり 俺のちんちんが露になる。 …うわーすげぇ縮こまってる。 …まぁ寒かったモンな… 恥ずかしいけど、隠しても仕方ないしな。隠さないけど。 「寒かったー?」 俺のちんちんの縮こまりを見てからか そう聞いてくる間宮さん。 「…あ、はい、もの凄く。」 平常心で応えたけど、ちょっとドキッとしちまった。 ちんちんで寒かったのがバレたことが… なんか…よく分かんないけど、ドキドキした…な。 次々に現れる感情と戦いながら 俺は間宮さんが褌を締め直してくれるのを待つ。 …ふぅ、にしてもこの後海に浸かるんだよな… 寒いだろうなー。 …でも代表だからな、俺らは。 名誉なことだ、頑張ろう…- -ガチャ。 …と心の中で密かな選手宣誓をしていると 突然目の前のドアが開く音がした。 …誰だ?さっきの少年か…? と思ったのもつかの間 そこに立っていたのは予想もつかないような人物だった。 … ……間宮? …だよな。 頭が混乱してなかなか整理がつかない。 「…ま、ママ…?」 目の前の少女が、そう声を漏らす。 …ママ?ああ…ってことは、間宮ってことだよな。 なんとか状況を把握しようと、間宮の顔を見つめる。 …と間宮も俺に視線を合わせてきた。 …しばしの沈黙。 お互い呆然と立ち尽くす。 …こんなに同世代の異性と見つめ合ったのって 久々な気がするんだけど… …と、視線、合ってなくないか? さっきまで合ってたけど、今間宮は俺の目を見ていない。 …間宮の瞳をじっと見て、その視線の行く先を追うと そこにあったのは、俺の、ちんちんだった。 … ……!!!! 俺素っ裸だったんだ! 当たり前のことだけど、急なこと過ぎて この一瞬で忘れちまってた。 …ってことは、今 間宮は、俺のちんちんを…見てる…?? … …… ………!!!!! 「あ、わ!」 ことの深刻さにようやく気づいて 俺は咄嗟に両手でちんちんを隠す。 …って言ってももう遅いよな。 完全に俺のちんちん…見られた。 しかもよりによって、縮こまってるときに…。 そんな俺のリアクションに 間宮もようやく気を取り戻したのか みるみる内に顔を染める。 そして一言「ご、ごめん!」と謝って 脱衣所を出て行った。 …-バタン。 … ……… …見られた…よな? 一気に体が熱くなっていく。 良く分からないけど、この感情は間違いなく 恥ずかしい…んだな。 どうしていいか分からずに、俯く俺。 「…もう、行ったわよ、桃子。」 そんな俺にそっと声をかけてくる間宮…さん。 咄嗟に返事をする俺。 そして手を解く。 …そっか…見られたのか…。 頭の中でその事実がループする。 …恥ずかしい…恥ずかしいけど それ以上になんか、変なもん見せちまった間宮に 申し訳なくなった…かな。 男の素っ裸姿なんて、そうそう見るもんじゃないもんな。 トラウマになったりしないかな…大丈夫かな。 「ごめんね、鍵…かけとけば良かったね。  完全に私の不注意…ホントにごめんなさい。」 年甲斐もなく俺に深々と謝ってくる間宮さん。 …いや俺は別にそんな… むしろ娘さんの心配をした方が… まぁ確かに恥ずかしかったけど…さ。 「いや…俺は全然大丈夫ですけど…  桃子さん…大丈夫かな…って。」 「…え?なんで?」 「いやそのだって…  多分…俺のちんちん見ちゃってたし…。」 俺のその発言に間宮さんはフフッと噴き出す。 「そんな心配する必要ないわよ。  桃子なら大丈夫だから。」 「…そうですかね。」 「大丈夫!母親のわたしが言うんだから、安心して。」 「…そ、そっか。じゃあ、良かった…かな。」 ちんちん見られといて、何人の心配してんだって話だけど とりあえず少し…安心したかな。 にしても、見られたのが間宮さんの娘の間宮って言う… これまた凄い偶然だよな。 …いろいろ災難起こってるけど 結果としてはやっぱり俺ラッキーなのかな? 他の人に見られてたらこんなフォローもなかったし。 …ポジティブ過ぎるかもだけど。 「優しいのね、鈴谷くんは。」 「…いえそんな、全然。」 女の子に見られたら誰もがする心配だと思うし…。 「…よし。  じゃあ今度こそ早いとこもうつけちゃおっか。」 「あ、はい!」 「よし…と、じゃあ持ち上げてくれる?」 「あ、はい。」 なんかいろいろあり過ぎて感情の整理がつかないけど とりあえずこれで、一件落着…かな。 … …… …でもやっぱり 恥ずかしかったな…。
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