小説

少年裸祭り 【参拾八】

木下 奈緒美
  • 木下 奈緒美
  • 2009/01/03 09:55
  • 石田家前
はぁ。 トイレでちょっとタイムロス挟んじゃったから 練り歩くシーンは半分くらいしか撮れなかったけど 別にこれくらいなら 校長先生に何も言われないわよね。 大丈夫、もう平常心取り戻したから。 平気平気。 男の子たちが歩いてるシーンは 間宮さんや藤木さんたちと一緒にいてもよかったんだけど わたし自身からかわれたりしたら すんごく動揺しそうだったから 敢えて5mくらい離れた位置からずっと尾行してた。 …大人気ないとはこのことよね。 …でもちゃんビデオの方は撮れてるから大丈夫。 日本のビデオの機能って凄いのよね。 なんてこんなときになんの関心事よねって話だけど。 それで今は石田佳奈ちゃんの家の前に 藤木さんと一緒にいる。 ずっと隠れてても怪しすぎるしね。合流した。 他の2人はどうしたのかな~。 遠くから見てたから状況が良く分からないんだけど 藤木さんも実際よく分からないみたい。 2人ともいなくなっちゃった、って言ってる。 ま、特に心配とかはしてないみたいだけどね。 流石、藤木さんらしいよねw …などと思ってると 石田さんの家の門の中から、間宮さんが出てきた。 「桃子~ちょっと何処行ってたのー?  …って佳奈の家か、中入ってたんだ!」 「…え?あ、うん!  ちょ、ちょっとね、お手洗いに行きたくなっちゃって…  佳奈の家のを借りてたんだ…!」 「なんだぁ、そうなんだ。  帰ってきたらいなくなっちゃってたから  どうしたのかなって思っちゃったじゃん!」 「ご、ごめんねー、はは…。」 ふふ、可愛いわね。 でも、なんか間宮さんの受け答えが どうもぎこちない感じがするかな…。 それに少し顔が赤くなってる気もする。 どうしたんだろ。 「…間宮さん大丈夫?ちょっと顔が赤いわよ?」 「…んー…ホントだ、何かあったの?大ジョブ?」 「え、いや…そんな…  全然そんなことないですよ!  大ジョブです大ジョブですハハハ…。」 あらあらこれは何かあったときの間宮さんの言い回しねw まぁ本人が大丈夫って言ってる以上、何も出来ないし きっと大丈夫なんだろうから心配はしないけど…ね。 と、そんな話をしていると 立て続けに石田さんも家の中から出てきた。 「あれー?佳奈ー?家にいたのー?」 「え…うん、ちょっとねw  ごめんねいきなり先に行くとかいったりして。」 「いや別にそれはいいんだけどさ。  佳奈のお母さんも  家にはいないだろうって言ってたから。」 「ホントにー?  まぁお母さんなんだかんだで  祭りの手伝いとかしてたみたいだからさ。  気づかなかっただけだと思うよ。」 「なんだーそっかそっか。」 いやー、にしても藤木さんってホントに良く喋る子よねw 私や間宮さんが口を挟む余裕もないくらい。 それが藤木さんのいいところなんだろうけどw …と、あれ?そう言えば石田さんの服…? 「…あれ?佳奈ちゃん服変えた?」 「…あ、そう言えば、さっきと服違うよね。」 「あ、あぁ、これ?  あはは、ちょっと汚しちゃってさ。  変えただけよ、ハハハ…。」 「もーう、佳奈たまにドジっ子だよねーw」 「ハハハ…。」 …なんかいつもと比べて 3人の会話がもの凄くギクシャクして見えるのは 気のせいかな…。 藤木さんはいつものように笑ってるけど 他の2人は心ここにあらずって感じがしちゃう…。 ま、きっといつもみたいな杞憂なんだろうけど。 大事な生徒の心を読み取るって言うのも 立派な教師としての仕事だからね。 日々の観察も怠っちゃ駄目よ、奈緒美。 「そう言えば禊っていつからやるのかしらね?  もうそろそろ10時だけど…。」 「…あ、今ちょうどウチの庭で厄付けって言う  儀式みたいなことをしてるんです。  多分禊が始まるのは  10時20分くらいからだと思いますよ。」 「…あ、そうなんだ、ありがとねー。」 …生徒に教えられるなんてねー。 ちゃんと予習くらいしときなさいって話よね。 …にしても後20分くらいかー。 長いわねーw
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