小説

少年裸祭り 【伍拾】

間宮 桃子
  • 間宮 桃子
  • 2009/01/03 10:33
  • 砂浜
西島くんたちが海に浸かっている。 …よく分からない…だけど… このあたりからもう、なんか変な予感はしてたんだ…。 次々に海から上がってくる他の学校の男の子たち。 ううぅー…寒そうだなぁ…。 褌がしっとり肌にくっついて 余計エッチに見えちゃう… …な、なんて、もう何処見てんのわたし! 周りの歓声にも負けずに わたしは西島くんたちの方に目を集中させる。 …でも、西島くんたちだけ まだ海に浸かってるけど…どうしたんだろ… … ……… … まさかね…そんなわけないよね…。 変な予感はするけど 流石にそんなこと起こるわけない…よね。 考えすぎ考えすぎ…。 …と、目を凝らすと どうやらようやくこっちに向かい始めたみたい。 良かった良かった… 頑張れー西島くーん、あ、いや…みんなー。 水しぶきを上げながら しっかりと肩を組んで、砂浜に上がってくる3人。 出てきた出てきた… …… … …… ………!?!?!?!? 咄嗟に顔をそらし、後ろを向くわたし。 …うそ…でしょ……? ありえないありえない…でも…予想的中してない!? …わたし、こう見えても視力だけはいいんだ…。 で、今遠くのほうに映る西島くんたちを見たんだけど… 多分間違いなく…褌履いてなかった… もっと簡単に言えば…すっぽんぽんだった… 何かの間違いかな…?と思って 今さっき見た光景を頭の中でもう一回再生するけど …やっぱり間違いないと思う。 …だって…3人の左側に、黒い斑点みたいのが見えたの。 あれってさ…鈴谷くんのおちんちんの毛だよね。 位置からしても…。 え、どうしようどうしようどうしよう…!! ホントに凄いことが起きちゃった…! …でも気になる気持ちも隠せなくて わたしはもう一度、西島くんたちの方を見る。 …!いやっ!! 再び顔を逸らし後ろを向く。 さらに近づいてきてる3人。 今の一瞬で鈴谷くんと山井くんのおちんちんを 確認できてしまった。 2本並んで元気良くプルンプルン揺れてた。 はぁあぁあぁあぁあぁぁ… 頭がおちんちんでいっぱいだよっ……!!! …え?2本並んで…? 真ん中に西島くんがいるんだよね…? …ちょっと桃子! 何一番大事なもの見落としてるの!? …いや違くて…!そうじゃないけど…!! 気がつくと周りは 大きな歓声や女の子たちの悲鳴で まさにお祭り状態だった。 そりゃそうだよ…みんなハダカンボなんだモン…。 それに加えて、いつみちゃんの笑い声が聞こえる。 西島くんたちの走る音も、すぐそこまで近づいている。 …どうしようどうしよう! 見たい…けど、見たらもう どうしていいか分かんなくなっちゃうし…! どうしよぉぉぉぉ、もうすぐそこに西島くんいるよぉぉ…。 「桃子!ほら!西島の可愛いよ!w」 …ふとパニくるわたしに声をかけてきたのは いつみちゃんだった。 …え? …可愛い?可愛いって何…? 分かんない、…分かんないよ、想像できないよ! 西島くんの何が可愛いのいつみちゃん!! …考えたって分からない。 …もう、見るしかない…よね…! わたしは意を決して、三たび 顔を西島くんたちの方角へ向ける。 …風を切るように3人が わたしたちの目の前をまさに通り過ぎていく瞬間だった。 … ……え? …どういうこと? 一瞬だったけどちゃんと見た。 鈴谷くんと山井くんのおちんちんも しっかり視界に入った。 …でも、西島くん……おちんちん…あった…? ちゃんと見た…ちゃんと見たはずなのに… わたしには…何もついてないように見えた…。 …どういうことなの? 男の子ってみんなおちんちんがついてるんじゃないの…? ついてない男の子もいるの…? …それとも、わたしの大好きな西島くんは 女の子だったの…? 頭の中がショートしそうなくらい、熱くて痛い…。 佳奈ちゃんの家に駆けて行く3人のお尻を ただ呆然と眺めていた…。 「ママー!真ん中のお兄ちゃん  おちんちんついてなかったよー?」 3人が家の中に入っていったあと そんな女の子の声が耳に飛び込んでくる。 それと同時に湧き上がる笑い声。 …そうだよね?そうだよねそうだよね?? おちんちんついてなかったよね!?!? なんでなの?やっぱり女の子なの? あんなかっこいいのに? みんな知ってたの?わたしだけが男の子だと思ってたの?? …分かんない…分かんないよ…。 もう泣きそうだよ…わたし…。
ページトップへ