少年裸祭り|Kune Kune Project

小説

少年裸祭り 【了】

間宮 桃子
  • 間宮 桃子
  • 2009/01/07 15:32
  • 学校
-キーンコーンカーンコーン…。 今日の授業の終わりを告げるチャイムの音が教室に響く。 3学期の始業式だった今日、わたしずっと落ち着かなかった。 朝学校に来るときから始まり 授業中、給食中、休み時間中と ずっと同じことに神経を尖らせていた。 そんなわたしの不安定な心とシンクロするかのように 外の天気もどんよりとした曇り空-。 4日前の裸祭り。 そのことできっと 教室中の話題が持ちきりなんだろうと思ってた…けど 実際はそんなことなかった。 もう結構時間が経ってしまっていたことも もちろんあるんだろうけどさ。 それとも見に来てた人自体が 少なかったのかも知れないけど。 西島くんたちコウスケトリオが集まって 仲良くしてる姿を見て いつみちゃんや佳奈ちゃんは ニコニコしてたりしていたけど ホントその程度。 みんな気を遣ってたのかもしれないけどさ。 あまりにも去年までの いつもの日常が繰り広げられていたから ちょっとビックリ。 わたしだけがあの日のこと引きずっているのかな? …なんて思うと少し、恥ずかしくなっちゃう。 でも、しょうがないよね。 …最後にあんなこと、しでかしちゃったワケだし。 …それにまだ あれから西島くんと顔を合わせても口を聞いてもいない。 ただでさえあまり喋ることのない存在だから 何か起こらない限り喋ることなんて無さそうだし…さ。 …その日までずっと こんな気持ちでいなきゃいけないと思うと 胸が痛むよ…はぁ。 授業中も給食中も休み時間中も わたしはずっと西島くんのことばかり見てた。 …ふと西島くんがわたしの方を向いて 目が合いそうになったことは何回もあったんだけど わたし自身、素晴らしい瞬発力を発揮してしまって 咄嗟に目を逸らしてしまっていたから 結局なんの絡みもないまま 今日の授業も終わってしまった。 あとは、ホームルームをして、掃除して帰宅。 今週はわたしたちの班がさっそく掃除当番なんだよね。 …そんなことより、はぁ、もう、どうしよう…。 先生の言葉が終わり 鈴谷くんの掛け声で「サヨウナラ」の挨拶をする。 …はぁ、終わっちゃった今日…。 西島くん…帰っちゃうよね……。 …ふと西島くんの席に視線を向ける。 …と、すでにそこには西島くんの姿はなかった。 …え?も、もう帰っちゃったの…かな…。 早いなー…、はぁあ、また明日かぁ。 -トントン。 ガックリするわたしの肩を誰かが突然叩いてくる。 …もーう誰…、はぁ…。 … ………!?!?!? 振り返ったそこに立っていたのは、西島くんだった。 突然の光景に、腰を抜かしてしまいそうになる。 …ど、どうしたの……? 「…あ、ごめん。驚いた?」 顔を赤らめているように見える… 西島くんはそう聞いてくる。 「…い、いや全然!…大ジョブ。」 「そっか。」 ホントは全然…大ジョブじゃないんだけど…さ。 「…あの…さ。」 急に流れを変え、どもるように話し出す西島くん。 「…え?」 「…あの…その、今日さ。このあと暇…か?」 突然の質問にきっと動揺むき出しになってただろうな。 「…ふぉえ?きょ…今日?」 自分でも 何処から出てきたのか分からないような声を発してしまい 勝手にテンパり、勝手に追い込まれる。 「…うん、今日、暇…じゃないか?」 当の西島くんも、よく見るとなんか照れてるみたい。 照れ隠しのため 、頭掻いたり鼻を触ったりを繰り返してる。 「…ひ、暇!今日は暇だよ!うん、暇…暇!」 今暇って何回言った? とにかく暇を連発するわたし。 「…そっか、良かった。  …じゃあ、一緒に帰ろう。」 「…え?」 そのお誘いに、思わずドキッとしてしまう。 西島くんとわたしが?2人で?帰るの?なんで? その光景をその場で想像し、顔が真っ赤になる。 そんな夢みたいなこと…。 「…だからぁ、い、一緒に帰るんだよ!分かったか!?」 顔を赤く染めて、そうわたしに訴える西島くん。 「間宮今週掃除当番だろ?  …だから、昇降口で待ってるから。じゃ、じゃな!!」 そうわたしに言い放つと 西島くんはそのまま教室を出て行ってしまった。 その後ろ姿を、わたしはただ呆然と眺めていた-。 「…もーもーこ!!」 また後ろから肩を叩かれ、わたしは思わずビクッとする。 今度は、いつみちゃんか…、同じ班なんだ。 「西島と何話してたのー?w」 「…え?」 「なんか話してたでしょー、今。」 「…あ、う、うん。…その…  一緒に…帰ろう…って。」 「…え!!」 わたしの言葉に ビックリしたような声を上げるいつみちゃん。 「桃子ー!やったジャン!  それって西島、桃子に気があるってことだよ!」 「…べ、別に!ただ誘われただけだし!」 「それが凄いんだって!  西島が女の子誘ってるのなんて聞いたことないよ!  誘われてるのなら何回も見たことあるけど…さ。  ほら、あいつモテるから  そう言う情報って結構すぐ回るんだよ。」 「…そ、そうかな、関係ないと思うけど…。」 とか言いつつ、わたし自身も内心そう思ってた。 西島くん… 女の子を誘ったりとかしない人ってイメージなんだよね。 イメージと言うか、実際にそうなんだ。 自称西島通のわたしが言うんだから、まず間違いない。 その西島くんが今さっき、一緒に帰そうと、誘ってくれた。 …そのことがどれほど特別なことか わたしが一番良く分かってる。 「…ふふふw 何されるのかなー、きゃー。」 「…ちょっと、い、いつみちゃん!!」 「冗談だよ冗談!!w  もう、ホント桃子はからかい甲斐があるんだからぁw」 「…もぅ。」 「…んじゃ、今日はわたしは佳奈と2人で帰るかな~。  桃子ーちゃんと明日報告するんだぞぉ!」 「…そんな、報告なんて…別に一緒に帰るだけだモン…。」 「…はいはい、顔が真っ赤だぞー桃子。」 「…も、もぅ!!」 「くふふ、ごめんごめん。  …とりあえず、パパッと掃除しちゃうよ!  話はそれから!」 「…んぐぅ…う、うん。」 相変わらずからかい上手ないつみちゃんに翻弄されながら わたしは掃除を開始する。 …身なんて入るわけないよね。 もう頭の中は、西島くんのことで一杯だった。 …なんでわたしと一緒に帰ろう、なんて 言ってきたんだろ…。 少なくとも、わたしに何か用があったからってことだよね。 さっきのいつみちゃんの言葉で もしかしたら、わたしのこと…とか思ったけど 流石にそこまで飛躍するのはおこがましいことで。 …でも、大体何のことについて話されるのかは分かる。 …と言うか あの日のことくらいしか思い当たる節がないし。 全く違う話をされたとしても 絶対あの話のことにも少なからず触れることにはなるよね。 何言われるんだろ…、変態…!!とか? やだそんなの…でも……その可能性も全然否定できない。 …むしろ、あのわたしの告白から いいイメージを持つ人なんていないと思うから それなりの非難を言われることは 覚悟しとく必要アリ、だよね。 …あーなんかついさっき話しかけられたときは 特別なこと過ぎて舞い上がっちゃったけど なんかよくよく考えてくと、不安で仕方なくなってくる。 どうしようどうしよう…。 とにかく、心臓のドキドキが今半端じゃない…。 …でも、話せるだけでも正直、嬉しかったりする…よね。 あー!もう考えたって仕方ない! この掃除のあと昇降口に行けば 直接西島くんに口から聞くことが出来るんだから!! もう無心でいよう、うん、なせばなるさっ…!! 「ほら桃子ー!おててがお留守ですよー!w」 「…あ、ごめーーん!」 わたしは掃除を再開する。 …ふと窓の外を見ると、雲の切れ間から、ほんの少しだけ 太陽の光が漏れてきているのが目に映った。 …嫌われる?好かれてる? …今の段階では、どちらとも解釈ができてしまう状況。 でも、きっといい方向に、ことが転んでくれているはず。 …特別な根拠なんてない。 けど何故か、そんな予感はしてるんだ-。
- 桃子エンド - & - おしまい -
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