小説

少年裸祭り 【六】

石田 佳奈
  • 石田 佳奈
  • 2009/01/02 19:19
  • 石田家 佳奈と隆の部屋
いよいよ明日に迫った祭り、そう、裸祭り。 クラスの男の子3人が出る祭りってことで わたしとしても かなりの思い入れがあるというか楽しみであるんだけど それ以上に更に わたしを奮い立たせたと言うか、熱くさせたのが その出演者だった。 そう、今回のこの裸祭りには、鈴谷孝輔が参加するんだ。 鈴谷孝輔はバスケットクラブに入っていて コウスケトリオの中では 西島くんには到底及ばないようなモテ度だけど わたしにとってはかなりのストライクゾーンの顔で 少し真面目すぎるけど 話してて楽しいし、スポーツも万能だし… そうそう、学級委員もやってるんだ。 …悔しいけどさ、大好きなんだよね。 …でも、去年のバレンタインデーのときに チョコを作って告白をしたんだけど なんて言うのかな…つまりは振られた。 チョコは受け取ってくれたし おいしいって言ってくれたんだけどね。 返事は…なかった。 ありがとうって言われただけ。 それならさ、きっぱり断ってくれたほうが良いじゃんね。 それも優しさなんだろうけどさ… わたしとしてはなんか凄い…モヤモヤした。 …今でも好きってことにもね。 だから今回この祭りに鈴谷が出るって知ったとき わたしはいけないと分かっていながらも ある計画を思いついてしまった。 振られた腹いせに仕返しするみたいで はっきり言って最低な行為なんだけどね…。 どうしてもなんか…何故か…悔しくて。 これでわたしの気持ちが終わるなら… やってみるしかないなって思っただけ。 …って、全部自分のためじゃんね。 やっぱ駄目駄目だーわたし。 「隆ぃ、明日のことだけどさ、大丈夫だよね?」 「うん、大丈夫大丈夫。」 この計画には隆の協力が絶対に必要だった。 …まぁ計画って言っても 隆が頑張るだけなんだけど…さw 「いい?わたしの指示だったってことは  絶対に言っちゃ駄目だからね!」 「分かってるよ、何回も聞かされたって。」 隆はベッドで漫画を読みながら 耳だけをこちらに傾けて返事をする。 「…なら、いいんだけど。」 「それより、ホントに買ってくれるんだよな?」 「…分かってるよ、上手くいったら買ってあげるから。  ポケモンのプラチナ。」 「よっしゃー!約束だぞ!!」 …まったく。 小3のくせにお姉ちゃんに向かってなんて口の聞きよう…。 最近のガキはませてるのねー全く、やんなっちゃう。 でも今回ばかりは隆に頼るしかないから そうも言ってられない。 これを買ってあげるために 今回のお年玉は全部貯金したんだ。 それくらい、結構本気なんだ…よね。 「…でもよー、なんでそんなことさせんだ?  そんなにあの鈴谷って兄ちゃんのちんちん見たいのか?」 「…ち、ちがうわよバカ!し、仕返しなのこれは!  アイツなんてね…見られて当然なの!」 「ふーん、顔赤いぞ、ま、いいけど。」 なんか、弟に翻弄されてるみたいで、やだな…もう。 でも、わたしにも良く分かんないだよね…。 こんなことしたってどうしようもないし 完全にわたし自身が諦めれば済む話なのに…ね。 もうでもなんか、ホントにどうしようもないんだ。 ただ単に 好きな人のおちんちんを 見てみたいだけかもしれないけど… 多分…好きすぎるんだよ…悔しいけど、きっと。 とにかく、この気持ちを終わらせたいんだ。 あいつの恥ずかしい姿見て、嫌いになりたい。 バカだね…わたし。 「そろそろ夕飯できたかな。姉ちゃん、いこうぜ。」 「…え、あ、うん、そうね。」 とりあえず明日…ね。 今日は眠れそうにないなぁ…。
ページトップへ