小説

少年裸祭り 【七】

木下 奈緒美
  • 木下 奈緒美
  • 2009/01/02 19:33
  • 木下家
年末、正月と大きな連休を自宅でまったり過ごした私。 はいはい、どーせ彼氏なんていないですよーだ。 でもこうして、1年あったことを 時間も気にせずじっくりと振り返ると 今年もいろいろあったなーって、しみじみしちゃう。 おととし大学を無事卒業して 第二小学校に新任教師として配属になった私は さっそく5年生のクラスを1つ受け持つことになった。 5年から6年に上がるときに、クラス替えは行われないで そのまま繰り上げで進学するシステムだったから 今のクラスとはもう2年近い付き合いになるんだけど… そうだよね、もうすぐ卒業なんだよね。 そう思うと凄い感慨深い。 初めて受け持ったクラスだしね… 卒業式とか、私が真っ先に泣いちゃいそうで怖いなw 最初は…ね。そりゃあ慣れないもので 何回も挫折したりしたけど ホントにいい子ばっかりで ホント生徒たちに助けられてる。 ホント、みんながみんな可愛くて愛おしいよ。 生徒たちからたくさん届いた年賀状に目を向けて 早くも目がウルッとしちゃったけど この涙は、卒業式まで取っておかないとね。 ふと届いた年賀状に手を伸ばし、1番上のそれを手に取る。 んーと、この字は… …鈴谷くん…かな?おーやっぱり。 2年も担任続けてると 字を見ただけで名前分かっちゃうモンなんだよね。 鈴谷孝輔くんは バスケットクラブに入っててスポーツが良く出来て しかも学級委員まで務めてくれてて。 ホントにクラスのムードメーカーって言うか 人気者って感じ。 きっと女の子にもモテるんだろうけどね。 ウチのクラスには西島耕助くんって言う子がいて その子が女子にモテモテってせいもあって ちょっとそう言う印象が薄いっていうのはあると思う。 真面目さ、性格の良さでいったら 絶対鈴谷くんの方がいい子だと思うんだけどな。 …なーんて、そんなこと言っちゃあ差別になるよね。 わたしにとっちゃ、みんな可愛い教え子たちだよ。 ―あけましておめでとうございます。  昨年は誠にお世話になりました。  卒業まであと少しですが  最後まで優しい先生でいてください!  あと祭り、見に来てくださいね! 優しい先生だなんて…そんなこと全然ないのにね。 そんなこと言われたら…ねぇ、ほらまたウルッときてる。 読んだのもう10回目くらいなのにね。 …そうね、祭りね。見にいくよもちろん。 なんてったって ウチのクラスの「コウスケトリオ」が出るんだからね。 見に行かないわけないよ。 …と言うか担任ってこともあって、校長先生に 今回のこの裸祭りのビデオ撮影を頼まれてるんだよね。 バッチリ3人の勇姿を撮ってあげないと、ね。 …そう言えば コウスケトリオから年賀状来たのって 鈴谷くんだけ…だな。 …人間性が出るなぁこう言うのって。 ちょっと寂しいけどねw さぁさぁ、明日は朝早いしね。 お酒はこれくらいにして、明日の準備しなくっちゃ!
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