小説

少年裸祭り 【八】

鈴谷 孝輔
  • 鈴谷 孝輔
  • 2009/01/02 21:15
  • 鈴谷家 リビング
明日に迫った裸祭り。 褌姿はやっぱり恥ずかしいし寒いだろうけど 年男として選ばれたのもきっと何かの縁だモンな。 ありがたいと思わなくちゃ、祭りの神様に失礼ってモンだ。 さっき風呂に入ったときに、体のチェックは済んでる。 …一応神聖な祭りだかんな。 汚い体見せるわけにもいかないだろ。 まぁ、明日の朝ももちろんチェックするけどさ。 きっといろんな人が見に来るんだろうな。 市内の人はもちろん 市外からの観光客とかも多いかもしれない。 …まぁ大勢の人に来てもらったほうが 市の活性化にも繋がるだろうしな。 祭りを販促物みたいに扱うのは どうかと思うけど…さ。 ここ数日間、この裸祭りについていろいろ考えてたんだ。 俺としては、褌姿は恥ずかしいけどさ、 恥ずかしいって思うこと自体、おかしいと思うんだよな。 だって、裸祭りなんだぜ? 伝統ある由緒正しき祭りなんだ。 裸になるのが当たり前なんだよ。 その裸祭りの年男に選ばれて、参加するって言うのは ある意味名誉と言っても過言ではない気がする。 だから俺は人目とかは気にしないで 堂々と、その役を全うしようって決めてる。 クラスの女の子とかに 褌姿とか尻とか見られると思うと そりゃあ流石にドキドキしちまうけど そんなこと考えてたら精神持たないモンな。 褌一丁、裸一貫で町を闊歩する男。 なんとも男らしくて格好いいじゃないか。 それでこそ祭りだよ。 どこかの地域では褌すらつけないで 素っ裸で町を闊歩するって言う 過激な祭りもあるらしいしな。 それと比べたら、恥ずかしいって思うこと自体 恥ずかしい気がする。 俺自身が 褌もつけないで素っ裸でやってくれって言われたら 流石にちょっと躊躇うかもしれないけど それでもやっぱり喜んで引き受けると思う。多分。 たとえフルチンだって、名誉は名誉だからな。 見たい奴は見ればいい。 むしろどーぞ見てくださいってなモンだ。 …何言ってんだかよく分かんなくなってきたけど それくらいの覚悟で、この祭りに望むんだってことさ。 …そう言えばさっき山井から電話があったけど アレ何が言いたかったんだろうな。 褌締めてくれるのが、間宮のお母さん…だっけ? そんなこと俺に伝えてどうしようってんだよな。 良く分かんない奴だよ。 あーそれと、木下先生は来てくれるのかな…。 先生って忙しいのかもしれないし、微妙かなー。 でも来てほしいな、なんとなく。 お世話になったしな、いろいろ。 「孝輔~!明日早いでしょう?  もうそろそろ寝なさいよ~。」 「あ、はーい。」 もう9時半か、いろいろ考えてると すぐに時間過ぎちまうな。 テレビを消して、寝室に向かう。 よーし、明日頑張んぞー!
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