小説

ぞうさん事件

小学校5年の7月。 わたしたちの学校でも体育の授業では プールが行われる時期になっていました。 プールのある日って大抵 着替えるのがめんどくさいからって 洋服の下に水着を着てきちゃう子とか 結構いた記憶がありますね。 水着着てきた日に限って、雨が降ってプールが中止…。 結局その日意味もなく水着のまま 一日を過ごすことになったり 女の子にはいなかったけど 男の子の中には、水着着てきたのはいいけど 着替えの下着持ってくるを忘れて その日ずっと ノーパンで過ごす羽目になっちゃった子とか 今思い出すと結構いたりしましたね。 小学校のプールの時間は 人それぞれいろんな思い出があると思うけど わたしの記憶に残っている一番の思い出は 小学校5年生のときの 今でも思い出すと笑っちゃうような事件です。 プールの授業が終わり わたしたち女子は更衣室で着替えを済ませ 男子も一応更衣室が用意されているんだけど すっごい汚いらしくて いつも男の子たちはそこでは着替えずに 教室まで戻って着替えていました。 なんか酷い扱いだよね。 掃除くらいしてあげればいいのに。 基本的に男の子って着替えるのが早いから わたしたちが更衣室で着替え終わって 教室に戻ってくる頃には もうみんな着替え終わっ 、教室でワイワイ騒いでいるのが いつもの決まって見る光景でした。 それで、いつものようにわたしたち女子が 教室に戻ってくると なにやら男子がザワザワと 異様な雰囲気でざわついていたんです。 なんかおかしいな…と思って 女友達たちと顔を見合わせていると 「女子ちゅうもーーーく!」 と教室の隅から男の子の張り上げた声が 聞こえてきました。 わたしを含め女の子たちが一斉にそちらに目をやると そこにはまだ上半身裸で 下はスカートタオルを履いた状態の小野くんが 顔を真っ赤にして立っていました。 ドキッとするわたし。 小野君は野球クラブに入っている子で 女の子にも結構人気のある男の子でした。 確か去年のバレンタインの日は 10個くらいチョコをもらってた記憶がある。 …かく言うわたしもそのうちの 1人だったんだけどね。 お返しはもらえなかったんだけどさ。 「なになに…?」 「小野くん何してるんだろ…?」 わたしたちは席に座りながらも しっかりその光景を見つめながら 心臓を高鳴らせていました。 「早くやれよー!」 「男だろー!ククク…」 小野君の周りにいる もうすでに着替え終わっている男の子たちが 急かすようにそう言葉を投げていました。 「わ、わかってるよ…。」 更に顔を赤くしてそうつぶやく小野君。 なになになんなの…?と ドキドキしながら見ていると 「はい3!2!1!」 と男の子たちのカウントダウンが聞こえて 何をするのかと思ったら 「0!」の掛け声と同時に 小野君がスカートタオルを下ろしちゃいました。 …え?と声を漏らす暇もなく 視界に飛び込んで来たのは あの小野君の可愛いおちんちんでした。 水着はすでに脱ぎ済みだったらしく スカートタオルの中は 何も履いてない状態だったみたいでした。 ほんの一瞬教室のときが止まったように静寂に包まれて 次に聞こえてきたのは 女の子たちの大きな悲鳴でした。 …男の子たちの笑い声も混じってたかな。 スカートタオルを下ろした勢いを受けて 元気良くぷるるん!と飛び出すおちんちん。 毛はまだ生えてなくてツルツルのおちんちんでした。 女の子にモテモテの小野君だけど おちんちんはまだまだお子ちゃまって感じでしたね。 とにかく教室は大騒ぎ。 「きゃーーーー!!!」 「やぁだぁーーー!!!」 「あははっ!!小野ちんこ丸出し~!!!」 隣の教室とかに聞こえてなかったのかな? そのころにはもう ほとんどの女子が帰ってきてましたね。 まだ帰ってきてなかった女の子は ほんともったいないなぁって感じ。 …なんてね。 それで何をするのかと思ったら 小野君はおちんちんをさらけ出した状態のまま 「ぞ~おさん、ぞ~おさん。  お~はなが長いのよ~!」 と両手を腰に当てて 腰を前後左右に動かしながら 童謡の『ぞうさん』を歌い始めたんです。 流石にビックリしたけど ちょっと笑っちゃいましたね。 小野君は目をつぶりながら顔を天井に向けて 顔真っ赤にして、腰をフリフリ おちんちんをピョコピョコさせながら歌ってました。 なんかもうヤケって感じでしたね。 「きゃーーー!!きゃーーーー!!!」 「もぅやだーーー!!!!」 とにかく照れて恥ずかしがる女の子たち。 かく言うわたしもその中に混じって 悲鳴を撒き散らしていたんですけど 手で目を隠した振りをしつつ 隙間からチラチラ覗き見してましたね。 だってこんな機会、滅多にないもん。 大波乱の中、ようやく歌い終わった小野君。 やっと終わったよ…、と思ったのもつかの間 何を思ったか 「あ~、もういいや!めんどくせ~!」 って言いながら、完全にヤケになった感じで 足にまとわりついてたスカートタオルを 足から抜き取っちゃいました。 …教室の中で、女の子たちのいる中で 本当に小野君が生まれたままの姿になった瞬間でした。 クラスメイト全員の視線を独り占めした小野君は そのすっぽんぽん姿のまま 顔を真っ赤にして、頭を必要以上に掻きながら クラスの子たちの席と席の間を縫いながら 自分の席まで歩いていきました。 「やぁだーーーー!!」 「きゃーーーーーーー!!!」 「おい小野ぉ!!ちょっ…、あはははっ!!!」 もう教室内は大混乱。 逃げ惑う女の子たちに、大笑いの男の子たち。 その視線や声を全て感じ取っているはずの小野君は 無言のまま自分の席へと歩を進めていき 到着するや否や、クラス全員が注目している中 ゆっくりとパンツを履いていました。 ようやく小野君のぞうさんが隠れたけど 当然のごとく次の授業が始まるまで クラス内の熱は全く冷める気配がなかったですね。 同級生の男の子が、すっぽんぽん姿で 教室を闊歩してる姿… 今思い出しても、やっぱり凄い光景ですよね。 実際もの凄く恥ずかしそうだったけど もうここまで来たら引くに引けなくなったのか 手とかで隠そうとか、そう言う素振りも全くなくて もう見たきゃ見ろっ!って感じで ちょっとカッコいいな、とか思っちゃいました。 小野君がぞうさんを披露した場所から 小野君の君の席までの経路に 運よく(笑)わたしが座ってた席もあったんで 悪いと思いながらも 小野君がすっぽんぽん姿で歩いていくのを 横目でバッチリ見させてもらっちゃいました。 私が座ってたときの目線と 小野君のおちんちんの位置が ちょうど同じくらいだったんで ぷるぷる震えているのが ホントに間近で見ることができちゃいましたね。 シワとかまで見えちゃった感じ。 通り過ぎたあとも気づかれないように 目で追っていたから プリプリしたお尻も見てしまったし…。 なんか、小野君の全てを 知ってしまったって感じでしたね。 他の子たちも、小野君が自分の席の近くに来ると 「キャー!」とか言いながら、恥ずかしがってましたけど 後から聞いた話だとしっかり見てたみたいですね。 ようやく全部着替え終わって いつもの小野君に戻ると 四の五の言わずに、机に顔をうずめながら 寝たふりをし始めてました。 相当は恥ずかしかったんだろうなぁ…。 …そりゃそうだよね。 ここからは後日談だけど プールの時間に男の子たち水中鬼ごっこをやってたらしく それの罰ゲームが女の子たちの前で『ぞうさん』 だったみたい。 凄い強烈な罰ゲーム思い付くもんだな~って感じですよね 。まぁ何よりそれに負け 、男らしくちゃんと罰を受ける小野君が 一番凄いですけどね。 あの後、女の子たちだけで集まったときに 当然だけど上がった小野君の話題。 男の子たちの前だと照れてしかいなかったけど 女の子同士だと、本音でまくりでしたね。 「どうしよ~、小野君の見ちゃった~。」 と、恥らうながらも嬉しそうに離す子に 「男らしかったよね~。」 と、まさかの行為に賞賛を与える子。 「こんなだったよね~、クフフ。」 と、あからさまに喜ぶ子など、様々でした。 日が経つにつれてそのムードも消え始めたけど たまに男の子たちがからかって 「ぞ~おさん、ぞ~おさん!」とか小野君に向かって言うと 「…うるっせー!!」と 小野君が顔を真っ赤にして恥ずかしがる… みたいな光景を良く目にしてました。 あのときは衝撃的過ぎて、頭一杯だったけど 今思い出すと、いいモノ見せてもらっちゃったな~って感じです。 ホワイトデーのお返しってことで 今でもいい思い出にさせてもらっています。
-おしまい-
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