小説

妄想チラリズム

体育の時間の、ちょっとした空き時間。 「マット運動なんて出来ねぇよなぁ。」 「…う、うん。…だ、だよね~。」 体操着の中に手を入れ その手をお腹の上の方にをやりながら そう話しかけてくる山中。 めくり上がったシャツの中から覗く 意外と鍛えられた腹筋と、ギャランドゥ。 一瞬凝視してしまったのはきっと あまりにも山中の格好が、無防備過ぎたから。 紺のジャージの中に履いている 灰色のトランクス…、かボクサーパンツ。 ブリーフ…、の質感じゃないよね。 少しだけ見えるそれのゴム部分が どう考えても、あまりにもヨレヨレで 見ている自分をおかしな気分へと誘う。 きっと、ジャージのゴム機能の力を借りて 山中の下着は、今の位置を保っているのだろうけど もし何らかの反作用で ジャージがずり落ちてしまったら…。 旅は道連れ…、とばかりに きっと下着を絡めて、降下していくに違いない。 それはつまり…、あの山中のリーサルウェポンが クラス全員の目の前で晒されてしまうことを 意味しているわけで… それが今この瞬間に奇跡的に起これば 目の前でそれを拝むことができるわけで… …いつも明るくて元気で笑顔の絶えない山中だけど そんな恥ずかしい姿をみんなに見られてしまったら やはり人並みに顔を赤らめて バツが悪そうに恥らうのだろうか。 両手で大事な部分をすぐさま隠すのだろうか。 どうやってその状況から脱するのだろうか。 片手で押さえながら、もう片方の手で ジャージと下着をズリ上げるのだろうか。 それとも山中らしく、両手でゆっくりと ジャージ、他1枚を上昇させるのだろうか。 …いや、ジャージが不慮の事故で落ちなくたっていい。 あれ、あれだよあれ。ジャージ下ろし。 小学校のときとかに流行ってたやつ。 もし誰かがオフザケ感覚で、山中のジャージを ヒョイと下ろしたりしてみたりすれば… …ズルッ、ズルルッ、…ぴょこん。 9割方、こんなシナリオになることが予想される。 誰かやっちゃいなよ。今チャンスだよ。 …なんなら自分でやっちゃう? 山中なら許してくれるよねきっと。 でもそんな勇気あるわけないし。 大体自分でやったら後ろしか見れないじゃないか。 …んまぁそれはそれでありかもだけどさ。 大事なのは山中の反応なわけだし。 …でもやっぱり、誰かがやったのを 第三者的に見ているのが一番おいしいよね。 なんの罪もないし、何より全てを見れる。 誰か、ほら、山中の後ろからこっそり近づいて… …そう、そこで一気に…!! 「…おい、次山中の番だぞ。」 「…お、おう、そか。」 タッタッタッタッタ…-。 -……。 …、そんなうまい話、そうそうないわけで。 妄想も、ほどほどに、だな。 はぁ。
-おしまい-
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