密着スライダー|Kune Kune Project

小説

密着スライダー

-近所にある、大型プール施設。 今月になって新しく出来たアトラクション。 『ロング・ウォータースライダー』 全長200mもあるんだって。 その噂をいち早く嗅ぎつけたわたしたち。 同じ班の男の子たちも誘って 男女3人ずつ計6人で遊びに来た。 ちょうど今 プール内のロング・ウォータースライダー待ちの 長蛇の列に、わたしたち6人は並んでいる。 「大変混雑しているので  出来る方は2人1組でお願い致しまーす。  ご協力お願いいたしまーす。」 スタッフの人がメガホンで叫んでいる。 「…だって。」 「どうしよっか。」 「…俺は別に2人1組でも構わねぇよ。」 「俺も。」 「…あでも、それだと1つ男女ペアができちまうな。」 「あ、確かに。」 「…うーん。  じゃーこの際、みんな男女ペアで行くってのはどう?」 「えー、マジかよー。」 「いいじゃーん、こんなメンツでくることなんて  滅多に無いんだし!  …ねぇ!」 「…え!う、うん…わたしはいいと思うけど…。」 「…うん、俺もそれでも別に構わないぞ。」 「マジかー、なんか、照れんな。」 「もーうエッチw  順番は…めんどくさいからこの並び順で  それぞれペアになる感じでいい?」 「適当だなー、まぁいいけど。」 そんな感じで わたしはヤスノリくんと自然な流れで ペアを組むことになっていた。 ドキドキだけど…-やったね! 心の中でガッツポーズしちゃった。 随分時間はかかったけど、着々と列が流れていき ようやくわたしたちの番になった。 前の2組が まるでカップルのように密着しながらスタートする。 直後に聞こえてくる悲鳴と歓声に ワクワクしながらも、ドキドキも止まらなかった。 最後に遂に、わたしたちの番。 「…んじゃ、よろしく。」 「…あ、う、うん…。」 お互いなんかギクシャクな感じ… ヤスノリくん…ちょっと顔赤い? こう言うの慣れてなさそうだもんね…、わたしもだけどさ。 スタート地点に浮き輪を置く。 「…お前どっちがいい?」 「え?」 「…いや、後ろか前か。」 「…あ、そうだね…えっと…後ろで!」 「了解。」 咄嗟の質問に、咄嗟に回答。 何も考えず、ただ最初に出された選択肢を 言っちゃってただけだけど。 どっちが正解なんて、分かんなかったしね。 浮き輪の穴にお尻を埋めるヤスノリくん。 恥ずかしながら、まだ少しだけ開いた浮き輪の穴に 自分のお尻を埋めるわたし。 ヤバイ…かなり密着。 下半身くっついちゃってるよ…!!! 「…あ、もしあれだったら、体つかまってもいいぞ。」 恥ずかしそうに前を見つめたまま そう言ってくるヤスノリくん。 「…え、あ、うん!ありがとっ!」 その言葉に甘え ヤスノリくんの体に後ろから手を回すわたし。 -い、いいのかな…?これ。 ヤスノリくんの体メチャクチャ触っちゃってるけど…。 大きな背中…体全体で感じるヤスノリくんの体温。 ドキドキが隠せない。 完全にヤスノリくんの背中に くっついてしまっているわたしの胸から きっとその鼓動が ヤスノリくんに伝わってしまっている…んだろうな。 「…い、いくぞ!!」 心の準備もままならないまま ヤスノリくんから掛け声がかかる。 「…うん!!」 そのわたしの返事と共に ロング・ウォーターライダースタート…!! -シャーーーーーーーーーー…!!!! 緩やかな傾きが10mほど続き 最初のカーブを越えた直後、その傾きは一気に急に…!! 「きゃーーーーーーーー!!!!!」 思わず声を上げるわたし。 自然とヤスノリくんの体に抱きつく力も強くなる。 怖さと楽しさとドキドキで何も考える余裕もなく 目を瞑ったまま、ただ叫び続けるわたし… とか言いつつ、しっかりヤスノリくんの腹筋の感触などを 十分に味わっている自分がいたりもした…そりゃね。 そんなわたしの外面的なハシャギっぷりのさなか ヤスノリくんは終始無言…。 コースは急勾配のまま、さらに速度を上げる。 …でも、ヤスノリくんにしっかりしがみついていれば 絶対大丈夫。 そんな思いから、わたしは自分の体を 完全にヤスノリくんに預ける体勢になっていた。 …そうした方が、安全だから…と思って… …でも。 次のカーブ。 高速のまま迎えたそのカーブで、異変が起きる。 勢い良く突っ込んでいったわたしたちの体は そのカーブで大きく宙に浮く。 -フワッ。 「きゃっ!!!」 「うおっ!?!?」 -ドスンッ!! その衝撃で一瞬 わたしはヤスノリくんに 全体重を背中から押し付けるかたちに。 悪いと思いながらも離れるわけにもいかず すぐさまヤスノリくんにしがみつく。 -良かった…離れなくて。 ちょっとしたハプニングをいいことに わたしはさっきよりも強い力で 後ろからヤスノリくんにしがみついていた…- …いや。 ……え?? 自分でも最初良く分からなかった。 しがみついている…はずなのに わたしは何かを…両手で何かを、握っていた。 「…うお!?…お、おいっ!!!!!」 ヤスノリくんの大声が、わたしの耳に届く。 「…え、な…何っ!?!?!?」 何これ…!?柔らかくて温かい……!?!? 「な、何ってお前……!!!!!」 「ごめん分かんないっ!!!わたし今  ヤスノリくんの何処掴んでるのっ!?!?!?」 「…何処ってお前…!そこは………!!!」 明確な答えを得られないまま、コースは次のカーブへ。 さっきみたいに浮いちゃったりしたら 今度こそ離れちゃうかもしれない。 わたしは良く分からないまま、それを握る手に力を入れる。 「んぐっ…!!!!!」 小さくヤスノリくんの声が聞こえる。 え…痛かった…? なんで…!?わたし何処触ってるの…!?!? -フワッ。 -ドスンッ!!! 同じ様な衝撃を受け 必死でヤスノリくんに食らいつくわたし。 分かんない…けどわたし… またさっきと違うとこ握っちゃってるみたい…!! さっきより…太いとこみたい…何処なのここ…!? 「…ごめん!!!また違うとこ掴んでるよねわたし!!!  とりあえず離れられないから…!!!  終わるまではこのままでいさせてっ!!!」 「こ、このまま…!?!?!?  …ってかいやっ…、同じとこなんだ…けど……!!  うがっ!!!!」 なんでそんなに辛そうなのヤスノリくん…!?!? 分かんない…分かんないけどごめん… 今離すわけにはいかないの……!!!! コースはその後も数々のカーブと急勾配緩勾配を繰り返し いよいよ最後の超急勾配の直線へ…!!! やっと終わりだ…!!! 精一杯の力でヤスノリくんのそれを掴む。 -ザバーーーーンッ!!!!!!! 大きな音と水しぶきを上げて ゴール地点へ放り投げ出されるわたしたち。 自然と体も離れ離れに。 ゴールの衝撃は凄かったけど、それよりなにより ヤスノリくんが気になった。とりあえず謝らないと… 太ももあたりまでしか浸からない比較的浅いプールの中 必死で体勢を戻し、立ち上がるわたし。 周囲を見渡し すぐさま視界に浮き輪とヤスノリくんを捉える。 ドキドキだった…けど、なんだかんだで楽しかったよ。 お礼と謝罪を言いにヤスノリくんの元に近づく…。 -近づきながら、妙な違和感に襲われる。 ヤスノリくんあそこにいるのに…わたし何か掴んでる…? しかも、またさらに違う、新しい感触…。 …それを確かめるように、そっと視線を自分の手に向ける。 信じられなかった。 …わたしは、紛れもなく ヤスノリくんが履いているべきものを 自分の手で掴んでいた…。 それに気づくのとほぼ同時に 目の前で沈んでいたヤスノリくんが おもむろに水中から体を上げる。 -ザバァッ!!! …手に持つヤスノリくんの…つまり… ごめんなさいの気持ちでいっぱい…でも…気になる……! わたしは立ち上がるヤスノリくんと向かい合う体勢になり… 目の前に現れたのは、やっぱり… 生まれたままの姿のヤスノリくんだっ… ……!?!? …えっ!?!?!? 心の中で大声で叫ぶ。 ヤスノリくんの…ついてるのは分かってた… 分かった上で ちょっと見てみたいと思っちゃった…、でも… …目の前に映るヤスノリくんのそれは… 想像していたよりも遥かに大きくて… 思い切り上を向いていて…しかも…ビクンビクン…て… わたしのその視線に気づいたヤスノリくんは 慌てて両手で自分のそれを隠し それが収まりきらないことをすぐさま理解すると 再び、慌てて穴に潜るように肩までプールに浸かる。 …顔は…まっかっか。 …今のが…ヤスノリくんの…?? ドキドキと興奮と混乱で、頭はパニック状態。 「…お、お前が変なことするからだぞっ!!!!」 真っ赤な顔をわたしに向けて 恥ずかしそうに上目遣いで訴えてくるヤスノリくん。 …へ、変なこと…? … ……!!!!!!! -さっきスライダーの途中で感じていた感触と 今見たヤスノリくんのそれを頭の中で同時に思い浮かべる。 太さ…動き…形……まさかそんなことあるわけ…!!! …そんなわたしの思いも虚しく 思い描いた2つは、完全に一致するものであると わたしの脳が結論を出した…。 …うそ…でしょ…?でも… 「…と、とりあえず、海パン返せっ!!!」 恥ずかしそうに水中から訴えかけるヤスノリくん。 でも、そんな言葉、今のわたしの耳にはほとんど届かない。 …うそだよね…でも… そう考える以外に…考えられる場所ない… わたし…わたし……!!! 気がつくとわたしは パンクしそうなくらい恥ずかしさでいっぱいになり ヤスノリくんの海パンを持ったまま その場から逃げ出そうとしていた。 「…お、おいっ!!!ちょ!!!こらぁっ!!!!」 どうしよう…どうしようわたし……!!! もう… もう……!!! …お嫁にいけないよぉ!!!!!!!!
-おしまい-
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