小説

ご近所アカスリラー

(アカスリにでも行くか…。) 「これ着てここで待っててくださいね~。  お時間になりましたらお呼びいたしますので。  …あ、脱いだ服はかごの中に入れておいてくださいね。」 「…あ、はい。  …あ!えと…、服は全部脱いだ方がいいですか?」 「…そ、そうですね、全身コースなので、…はい。」 「あ、…分かりました。」 (全裸にバスローブ…  やってもらう時はこれも脱ぐんだよな…。  …あのお姉ちゃんがやってくれんのかな…。  マジか、…は、恥ずいな。) 「…はーい、準備出来たのでどうぞ~。」 「…あ、は、…はい…!!  …って、…あ、あれぇっ!?」 「…ん?…あらぁ。」 (さっきの姉ちゃんじゃねぇの…!?  …ってか、隣に住んでるおばちゃんじゃねーかっ!!!) 「…あ、あの…。」 「私ここで働いてるのよ~、知らなかった?  結構もう長くなるんだけど…、あらぁ…ねぇ。  まさかあなたの担当になる日が来るなんてねぇ…。  時の流れって残酷ねぇ。」 「…あ、はは…。」 (…いやいや、笑ってる場合じゃなくて…!!  おばちゃんにやってもらうのかオレ!?  …それはいろいろとマズくないか…!?  …ま、まだ金払ってないし、今なら…!!) 「それじゃあ始めましょうか、一番奥の左の部屋ね~。」 「…あ、はい…。」 (…あ、はい…って…!! …は、はぁ…。) 「それじゃあ、そのベッドにうつ伏せになってね。」 「あ、…はい。」 (駄目だ…、おばちゃんの謎の圧力のせいか…  あ、はい、しかもう出て来ない…。) 「…ん。」 「…あ、これで…」 「…んふ。それじゃあアカスリできないでしょ~。」 「…あ、ですよね…。」 「ん~…、うん。恥ずかしいとは思うけどね。  アカスリってそう言うものだから。」 「あ、…はい。  えと…脱いで横になれ…ってことですよね。」 「そ。」 「…ぜ、全部ですか?」 「全部ってあなた、バスローブ以外に何か着てるの~?」 「あいや、そ言えばこれだけです…。」 「…もーう、そんなに照れないの。  こっちまで恥ずかしくなって意識しちゃうじゃない。  大丈夫よ、私もう見慣れてるから、そういうの。」 「…は、はぁ。」 (…って言われてもな…。  昔からの知り合いに見られるって、相当だよな…。  んでもうつ伏せだもんな。  隠してベッドに寝れば見られはしないわけか。  …よし。) ―バサッ。 …ドン。 「んふ、はい、じゃあ始めるわね。」 「あ、はい!…お、お願いします…!!」 「…んふ、声裏返ってるわよ。  力まないの、リラックスリラックス。」 「…す、すいません。」 「いーえー。」 (…くー…!完全にあっちのペースじゃねえか!!  もうほとんど全部見られちまったし…。  こんなはずじゃなかったのに…  なんでよりにもよって…!!) 「アカスリって初めて~?」 「…あ、はい…。」 「やっぱり、結構毒素溜まってたみたいよ~。」 「あ、そうすか…。」 「…んふ、気持ちいいでしょ?」 「あ、はい…。」 (…け、ケツ揉みながらそんなこと言われても…。  は、恥ず過ぎる…。  何も考えなきゃ、そりゃ気持ちいいけどよ…。) 「…でも、知り合いの人がここに来たのって  初めてだなぁ。」 「…、そうすか。」 「うん、そう考えると、ちょっと不思議よね~。」 (そりゃ、知ってる人がやってるって知ってたら  オレだってこんなとこ来なかったよ…!!  …んでも、なんだかんだでやっぱ気持ちいいな…。) 「…よし!おしまい。」 「…あ!ありがとうございました…!!」 「後ろはね。」 「…え。」 「え、って。全身コースでしょ?あなた。」 「あ、はい…。」 「じゃあ、前もやらなきゃ。  お代分はきっちりやらせていただくわよ~。」 「あ…。」 (…、まだ払ってないから、今言えば後ろだけコースに  変えてもらえるかな…?よ、よし…!!) 「あ、あの…!!」 「はい、じゃあ体をクルッと。仰向けになってね。」 「え、あ…。」 「ん?」 「…い、いえ…。」 (駄目だ…有無を言わせないおばちゃんの“ん?”  …もう、逃げられない…、はぁぁぁああ。) ―クルン。 …キシッ。 「…んふ。」 「……。」 「…手、どけてもらえるかな?  ちょっとね…、何せ“全身コース”だからね。  そうしてられると、おばちゃん困っちゃうのよ。」 「…んぐ。」 (忌まわしきかな全身コース…。  なんでオレはこんな最高額のコースを…!!!) 「…そんなに照れないの!男の子でしょ!!  ほらっ!!」 「……!!!」 ―ザッ!! ポロンッ。 (な…なな…!! なんつう力…!!…ってか…  …あぁぁぁあああああ!!!  …ま、丸出しじゃねぇかオレ…  何やってんだよ…オレ…。) 「…んふ。」 「……う。」 「…じゃ、始めるわね~。」 「お、お願いします…。」 ―ゴシッ、ゴシッ…… (はぁ…もうどうにでもなれっ…!!!) ―ゴシッ、ゴシッ、ゴシッ…… 「…昔はねぇ~。  よくあなたをウチで預かってたのよね~。  あなたのお母さん働いてて、忙しかったみたいだから。  覚えてる?」 「…い、いえ…。」 「そう、まぁ無理もないか。小さかったしね。  あんなに小さかったのに、…ねぇ、立派になって。」 「…は、はぁ…。」 (…ど、何処見て言ってんだ…?  ま、まさかな…、はは…。) 「中学はサッカーやってたんだっけ?」 「…あ、はい、そうです…。」 「そう、どうりで。  でももう、すっかり大人ねぇ~、感慨深いわぁ…。」 「…あ、はぁ…。」 (…な、何言ってんだよさっきからおばちゃん…!!  こっちが恥ずかしくなるだけだから…!!) 「……。」 「…ん。」 「…………。」 「…え、あ、あのぉ…。」 (…お、終わりか?) 「…!!  あ、ご、ごめんなさいっ!!!  昔のね、あなたのオムツ替えてたときのこと…  思い出しちゃって…。」 「…えっ!?」 (…ちょ、…そ、それって…!?) 「昔はこんなだったのよ?  ホントによくお漏らしする子で…。」 「…あ、いあ…そ、その…。」 「……。」 「…!! あ、あのっ!!!」 「…!!!  …な、何してんのかしらね私…!!  …さ、つ、続けましょうか。」 「…あぁ…は、はい……!」 (…横目に映る、少し顔を赤らめたおばさん。  そのおばさんの目の前で横たわる、全裸の自分…。  ……くっ。) 「…え。」 「…あっ……。」
-おしまい-
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