まっしろキャンバス
さぁさぁさぁ、やってきました2013年!
新年明けまして、羽根突き大会でございます。
「そぉれっ!!!」
「うおーーっとっとっと、…ったく、強ぇーなぁサトミィ!」
へへん、バド県大出場を舐めないでもらいたいね。
「はい、私の勝ち。」
5本先取、完了であります。
「おじさんだからとかないからね、罰は受けてもらうよ!」
「うげー、容赦ねぇなー。」
負けたら墨で顔に落書き。当然だよね。
マール描いてマール描いてヒゲヒゲヒゲ。
バーーーツっ!…ぷっ。
「あっははははは!!!!」
「やだお父さん、おっかしー!」
「こらー、何描いたんだ~!?」
「きゃははっ!!鏡見てくれば~?」
あー!楽しい。
負ける気しないってのが、もうね。
最高だね。
「はーい次の挑戦者は誰~?…、
…ってか、」
もしかして、もう全勝しちゃった?
やだー、ちょっと大人気なかったかな。まぁ、まだ子供のつもりだしね。
―…っと、
「勝負だぁぁぁあああ!!!!!」
なになになに!?
まだ誰か残ってた?…ってか、この声は、あー。
…完全に忘れてたw
「俺が相手だっ!!!」
目の前に立ちはだかる最後の対戦相手、もとい、ガキんちょ。
「なーんだ、ユーダイかぁ。」
「なんだとはなんだーっ!!!」
新年早々元気だね~、小4男子。恐れ入るわ。
「あんたが私に勝てるわけないじゃーん。」
「なんでだよっ!!」
…いや、なんでだよっ!!って言われても困るけども。
この伸長差、年齢差、素早さ冷静さお淑やかさ(笑)
誰がどう見ても試合前から勝負ありなんだよね~。
「言っとくけど、負けたらユーダイの顔に、
落書きしちゃうんだからね。」
「俺が勝って、サトミの顔に落書きさせろ!!」
んまっ!!相変わらず生意気なガキんちょだことっ!!
日本語もめちゃくちゃだし。
…まぁそこは小4だし大目に見るとして、
「サトミおねーちゃん、でしょ!?」
「知らん、はよ勝負っ!」
ったくもう。
いくら従兄弟だからって、呼び捨てはないよね、普通。
「あっははははは。」
「まぁまぁまぁ。」
みんな笑ってるし。
いいの?これで。もう。
「はーやーくっ!ビビッてんのかぁ?」
コラお子ちゃま。調子に乗るんじゃないよ。
はぁ。かったるいけど、ちゃちゃっと済ませちゃおうか。
「5本先取だからねー。」
「なんでもいいからはよおお!!」
「はいはい、そぉーれっ!!」
―カンッ、コンッ、キンッ、ポトッ。
はい、いっちょ上がり。
「私の勝ーちっ!!」
「ぐぬぬぬぬ…。」
いやもう、順当な結果過ぎてつまんないからさ。
適当に擬音並べてまとめさせてもらったよ。
「ほらユーダイこっちおいで、落書いてあげる。」
「んぬぬぬ…。」
そんな怖い顔しなーい。ふふ。
でも、逃げないでちゃんと従うあたり、ちょっと可愛いなって思ったり。
マール描いてマール描いて、…塗っちゃえ塗っちゃえ。
くるくる、くるくる、チョンチョンチョン!
「パンダ、出来上がりっ。」
「あっはははは!ユーダイおっかしー!」
「ははは、見事にパンダだな!」
「んんんんんんん…!」
「くっふふっ。」
あれ?あの子誰だろ。
なんだかチラチラ見ちゃって、照れたりしちゃって。
…あー、もしかして、クラスの女の子かな?
いいトコ見せようと思って呼んできました的な感じ?
もーう、子供のくせにおマセなんだから。
でも、負けちゃったね。恥ずかしいね。ふふ。
「はい、これで、」
「もっかい勝負だぁああああああ!!!!」
「…えーえ?」
なになにもうムキになっちゃって。
何回やっても同じだよって。
「次、本気出すんだよっ!」
「あっはは、元気だなー!!」
もう、恥かくのは自分の方なのにね。それに、
「もう落書きするところないもーん。」
「次は絶対負けないから、モーマンタイっ!」
「そんなのダメよー、絶対なんてこの世にないんだからー。」
「んんんっ…!!」
こらこら、パンダがそんな怖い顔しなーいの。
…って、ええっ?
―スルッ、バサッ。
「…まだある!!!描くとこあるっ!!」
一気に上を全部脱いで、地面に投げ捨てるユーダイ。
日焼けをしていない、真っ白な体が寒空の下に晒される。
「バッカじゃないのー?アンタ。」
「コラー、ユーダイ風邪ひくわよー!!」
「まぁまぁいーじゃねーか、正月だし。ユーダイ頑張れ~!!」
「余裕っ!!!さぁ来いっ!!!」
…ったく。なーにそれ。
ユーダイのくせに、ちょっとかっこいいじゃん。
「ふふふっ。」
端っこの方で、その姿を嬉しそうに、恥ずかしそうに、見つめる女の子。
ユーダイも相変わらず、チラチラチラチラ気にしてる。
もーう、なんか私が悪者みたいじゃーん。
んーまっ、だからって手加減なんてしてやんないけどさ。
「いくよっユーダイ!!覚悟しなっ!!」
「来いっ!!!」
「そぉーれっ!!!」
―カンッ、コンッ、キンッ、ポトッ。
よわっ!!!!!!!
さっきの自信はどこから出てきたのよ。
…あー、愛の力ってやつ?やだー、10年早いんだよって。
「はい、あんたの負ーけっ。」
「あー、ダメだったな~ユーダイ。」
「ぐぎぎぎっ…。」
「あんまりいじめんなよーサトミ。」
「別にいじめてないもーん!ユーダイが言ってきただけだもーん。」
責められる筋合いなんてないですよーだ。
…ほらほら。
「ユーダイ、こっちおいで~。」
しかめっ面にしかめっ面を重ねながらも、
なんだかんだ逆らったりはしないんだよね。
偉い偉い、いい子いい子。さてと、
おへそに口描いて~、上に鼻描いて~。
あっはは、乳首目にしちゃお~。
うわ~すっごい鳥肌立ってる、寒いよね~。ごめんね~。
マール、マール。
「んっんっ。」
あっはは、くすぐったい?
…あ、ちょっと乳首立っちゃった?もーうやめてよユーダイ。
えっと、眉毛描いて、ホッペ描いて…。
「あっははは!顔が2つだなーユーダイ!!」
「やぁーだぁ。」
「くふふふ。」
「はい、後ろ向いて。」
「えー!?後ろもかよっ。」
「当たり前でしょ。」
「…んぐぅ。」
んふ、はい、いい子いい子。
んー、適当に、羽根でいっか。
バサーーーー、バサーーーー。…あ、
ちょっと適当すぎたかw まーいいや。
適当に腕も汚してやって、
「はーい、完成!」
「はははっ。やりすぎじゃないかー?サトミィ。」
「もーう服は汚さないでよ~、落とすの大変なんだから~。」
「大丈夫大丈夫、垂れてなーい。」
「んんんんっ…!!!」
もう、正月からそんなにカッカしないのー。
これで分かったでしょ、アンタがサトミお姉ちゃんに勝てるわけ…
「もっかい!!もっかい行くぞっ!!!」
えぇーっ!?
「もうやめときなさーいユーダイ。」
「いいぞー、それでこそ男だーユーダイ!!」
「あっはは。」
「もーう。」
意地でもあの子にいいトコ見せたいのねー。
んー、でもねー、
「もう塗るトコないけど~?」
「……っ。」
ちょっと意地悪が過ぎたかな?
でも、流石のユーダイももう観念するでしょ~。
…なーんて予想は大外れ。
悔しそうに、歯を食いしばりながら、
―ズルルッ!!!
うそー!?下も脱いじゃった。
そのままスルスル手際良く、両足から抜き取ってポイッ。
スニーカーと靴下、それに真っ白なブリーフ。
ちょっともう、信じらんなーいw
「ははは!!ブリーフマンだなっ!!!」
「もうユーダイ恥ずかしいことしなーい!!サトミも!!」
だからー、私のせいじゃないってば。
あーあー、あの子も手で口抑えてビックリしてる。
元旦から、まさかユーダイのこんなだらしない姿見ることになるなんて、
思ってなかったよねー。
「早く…、や、やるぞっ!!!」
こっちはこっちで、無理しちゃって。
顔塗りたくってるからって、恥ずかしいのバレバレだっつーの。
そんな顔と体と姿で何言ったって、もうカッコよくないよ?
…まぁ、ここから挽回するなら、
何が何でも私に勝つしか選択肢がないんだろーし、
逃げるに逃げられないんだろうけどさ。
流石に私ももう中学生。
ここはユーダイに、花を持たせてやりますか。
やれやれ。
「早く来ーいっ!サトミ野郎っ!!!」
―カッチーン。
あーあ、あとちょっとのトコでやらかしちゃったねユーダイ。
ごめん、前言撤回。もう、知ーらない。
「はいいくよー。せーのっ。」
―カンッ、コンッ、キンッ、ポトッ。
「あらら…、もう、サトミ。」
「あっはは。ダメだったかぁ~。」
いいもん別に、大人気なくて。
まだ子供だから、空気の読み方とか、そーいうの分かんないもん。
「………っ。」
パンツ1枚で悔しそうに立ち尽くすユーダイ。
さ、もう終わらせよ~。
「はい、ユーダイ。脚。」
「………っ。」
ここまで抵抗しないのは、逃げるのが一番カッコ悪いってこと、
知ってるからなんだろうね。
さてと、
右脚に、サトミの勝ち、僕の負け。
左脚に、サトミ最強、僕は負け犬。…っと。
ちょっと可哀想かな~とも思ったけど、自業自得ってことで。
「はい、おしまい。
もう描けるとこ、ソコしかないんだから。」
男の子の大事な部分を指さしてやる。
「んぐぅ…。」
流石に、ね。
「ユーダイ、リッちゃんも見てるんだから。
もうおしまい。お風呂沸いてるから入ってきなさい。」
「………っ。」
そそ。
「なんだーユーダイ。それでいいのかぁ?逃げるのかぁ?
男なら最後まで戦えって教えただろー?」
「ちょっとお父さん。」
ちょっとおじさん。
「途中で諦めるのが一番ダサいんだぞ!
一番モテないんだぞっ!!」
ちょっとちょっと、そんなに煽ったら…
「んん…!!!」
―ッ。
…あーあ、出しちゃった。
「コラー、…もう。」
「よっしゃあユーダイ!それでこそ男だぁ~!!」
「リッちゃんもいるのよー?」
「いーじゃねーかちんちんくらい、減るモンじゃなし!!」
「いや、そういうコトじゃなくて…。」
あーダメだ、おじさん完全に酔っ払ってる。
あの子、リッちゃんだっけ?も、顔手で覆っちゃって。
…と思ったら、指の隙間からちゃーんと見てるっていうね。
気になる年頃なのね~、…まぁ、人のこと言えないけども。
「しょ、勝負だっ…!!!!」
はぁ、なんか、
そんな格好で、そんな泣きそうな声で言われても、力抜けちゃうよね。
「勝負だっ…!!」
はいはい、あーもう目のやり場に困るなぁ…w
隠せばいいのに、それもするなっておじさんに刷り込まれてるのかな。
まぁ、寒いだろうし、サクッとね。でも、一応勝負だから、
「負けたら、ゾウさん描いちゃうから~。」
「わ、分かったからっ…、はよおぉ…。」
もう寒さと悔しさと恥ずかしさで、それどころじゃない感じ。
意中の?女の子の前で、すっぽんぽんだもんね。
ちょっとだけ同情。でも、だからって、手加減はしないよ。
「行くよっ、せーの。」
「はいこっち来て、ユーダイ。」
―ピョコンピョコンピョコン。
相変わらずの従順っぷり、そこは評価してあげるけどね。
んふ。わー真っ白。
当たり前だけどまだまだツルンツルン。描くトコいっぱいw
それに、寒さで縮こまっちゃってるのかな?ちっちゃーいw
久々に見たけど、やっぱりまだまだ子供だよねー。
2組の田中のと全然違う。…うげー、変なの思い出しちゃったw
「んっ、んぐっ…」
あーもう泣いちゃいそう。流石にちょっとやり過ぎたかな。
でも、わたしのせいじゃないもんね。
耳描いて、耳描いて、目、目、…
パオーン。出来上がり~。あっはは傑作、可愛い~。
「はい、ゾウさん出来上がり。」
「んんっ…、くっ…!!」
すぐさま、ちっちゃなそれを揺らしながら、駆け足でおじさんのところに。
「うっうっうっ…。」
そのままおじさんの胸に飛び込み、うーうーとすすり泣く。
「良くやった良くやった!
それでこそ男だ、俺の息子、ユーダイだっ!!」
優しく抱き、頭を撫でてあげる。
「…もう。」
大きくため息、やれやれとおばさん。
…もう、ホント、なんだこれ。なんだったんだろうね。
ユーダイは泣き虫君だし、おばさんは溜め息だし、
勝ったはずの私も、なんだか気分良くないし。
ホント、誰が得したのーって感じ。
「リッちゃーん、こんな馬鹿息子だけど、
今年も仲良くしてやってくれな~!!!」
あ、そうそう、それにあの子。
…あれ?でも、口抑えてるから良く分かんないけど、
笑ってる?
「ほら、いつまで泣いてんだユーダイ。
お前が誘ったんだろー?ありがとうって言ってこい。」
「ええっ…、れもっ…」
「行ってこいっ!!」
―ドンッ!!ピョコンピョコン、サッ。 …タ。
「隠すな~、ユーダイ!」
「んっ…。」
うわ~、酷w
「…ん、…う……、」
「…ふふ。」
「…ぇ。」
「パンダ、おかしい。」
「…、う、うん。」
「お腹の顔、おかしい。」
「…、うん。」
「ゾウさん、…可愛い。」
「……っ。」
「くふふ。」
あらあら、なーんだ。結局いい感じじゃん。ちょっと心配して損した。
「あり、がとう。」
「うん、カッコ良かった。」
「うん。」
「うん。」
で~、よそでやんなさいよね、もう。見てらんないわ~。
「ユーダイくんの、見ちゃった。」
「…うん。」
「隠さないの?」
「…隠すと、父ちゃんに怒られる…、から。」
「そっか。」
「…うん。」
「……。」
「あんま、…見、んな。」
「うん。くく。」
あ~、かゆいかゆいかゆい。スッポンポンでなにやってんのよもうw
「ユーダイ、風邪引くから。そろそろにお風呂入ってきなさーい。」
「…じゃ、また。」
「うん、学校でね。」
「うん。」
「バイバイ。」
「うん。」
なーんか、まだまだガキんちょだと思ってたのに、
ユーダイもいっちょ前に青春しちゃってんのねー。
なんか、ちょっと、負けた気分。ムキー、ちょっと、ムカつき。
「うわー、ホント墨だらけね~。」
そりゃもう、塗りたくりましたから。
「サトミ、一緒に洗ってやって。ユーダイ1人じゃ無理だと思う。」
「えー!なんで私がぁ。」
「いい!サトミなんかいらんっ!!」
そうそう…、って、…はぁ?
ゾウさん丸出しで、何様なの?アンタ。
あー、なんかもうあったま来た。
「分かったおばさん、私が責任持ってキレーーーにして返すから。」
「うふふ、何それ。ま、頼んだわね。」
「あっはは、良かったな~ユーダイ。」
「…、よ、よくないっ!!ってか、物みたいに言うなっ!!」
「何言ってるわ分かりませ~~ん。」
素っ裸ユーダイを両腕でホールド。
「うわ、はっなせっ!!!」
やっぱり、なんだかんだ子供だね~、力じゃ負ける気がしないわ~。
「よし、サトミお姉ちゃんが綺麗に洗ってあげるね~。」
「うぐっ、ちょっ、そ、のまえに…」
「ん?」
「しょ、…しっ、…トイ…レ。」
「んー?」
んー?…あー。
「おしっこ?」
「…うるせー!!!」
「あっはは。」
なーに、ずっと我慢してたの~?可愛いとこあるじゃーん。
「よし、じゃートイレ連れてってあげるね~。よいしょっ。」
「こ、コラッ!!離せぇ~!!!」
「じゃ、ユーダイ1匹お借りしまーす♪」
「はーい、よろしくね~。」
「よいしょっ。」
「!?コラッ、触るなっ!!へんたぁぁぁああああああい!!!!」
何はともあれ;
今年もよろしくお願いいたします。
-おしまい-