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あらすじ
「その瞬間を、逃すな。」
ちょっと大人なCFNM・♂x♂小説を8つ集めてパッケージ。
挿絵イラスト27枚同梱。
『若パパ奮闘記 羞晒し篇』の原作、『若パパ』収録
サンプル
旅行記リポーター(サンプル)
「ら、裸族ですか?」 現地へと向かう車内で、ようやく行き先を告げられた若手俳優の須藤(20)は、流石にその〝行き先〟に狼狽する。人気旅行番組のリポーター役に抜擢され、俳優として今一つ、鳴かず飛ばずだった須藤としては、この大仕事の舞い込みに胸躍らせていたが、その旅先については、当日になったその日、空港に着いても、海外に飛ばされてからもずっと、伏せられたままだった。そして今、ようやく明かされたそれ。〝裸族〟。 「売名のチャンスだからな。いいヤツを頼むぜ、須藤。」 「は、はい。」 ディレクターからのプレッシャーに、必死の笑顔で応えるも、須藤は、嫌な予感がしてならなかった。 ―現地へ到着。 大自然の中に切り出された小さな集落。その中で真っ黒に焼けた数十人の男女が、上半身裸姿で生活をしている。 上半身裸…、ほっ…と胸を撫で下ろす須藤。予想していた最悪の事態は、そこにはなさそうだった。 「くにゃくにゅねくにゃ。」 「(訳)ようこそ、我らの村へ。」 現地の人の奇想天外な言語を、通訳の女性が瞬時に翻訳する。どうやら彼らは〝クニャラト族〟と言うらしい。 「くにゅねくにょくにょんね!くにくににょい。」 「(訳)早速新しい仲間の歓迎会をしよう。早速だが、服を脱いでくれ。」 疑いたくなるくらい綺麗に意訳された日本語に感心しながらも、その日本語的な意味に、動揺せざるはいられない。 「…う、上だけっすよね?」 少し恥らいながら、通訳の女性にそう問う。 「くにょねく?」 「…、にゃ。」 「(訳)上だけでいい。」 私的な感情がまるで見られない、通訳の女性は、現地の人の言葉のそのままを、須藤に伝えているようだ。 「そ、そうすか。…ですよね。」 緊張の糸が切れたようにようやく少し笑顔になると、須藤は背負っていたリュックを下ろし、そのまま潔く、上に着ていたTシャツを脱ぎ捨てる。いわゆる色白というわけではないが、クニャラト族の中では、須藤の体の白さは際立って見えた。 その後、下はクニャラト族特有の麻でできたズボンに履き替え、腰には白い紐を巻き、頭には1枚葉っぱをあしらったツタで出来た冠のようなモノを装着。最後に、生成過程不明のカラフルな塗料で、それっぽく体にペイントを施され、簡易的ではあるが、見かけ上クニャラト族の仲間入りを果たす須藤。 「くにゃよにぷー!」 「(訳)よく似合ってるぞ。」 「…ど、どうもっす。」 照れくさいが、それほど悪い気はしない。このまま数日間、何事もなく終わればいいな…、そう思っていた。 ―夕方。日も暮れ始めた頃。 「くにょくにょねにょ。」 「(訳)そろそろ食事にしよう。」 …そう言えば、こっちに来てからまだ何も食べてなかったことに須藤は気づく。そう思うと急に腹が減ってきた。 どんなモノが出るのだろう…、疑問に思いながらクリャラト族を見ていると、彼らは須藤の予想に反する行動を取り始める。 …クニャラト族の男たちが、一斉に下のズボンを脱ぎ始めたのだ。ズボンの下に履いているモノは…ない。周りの女たちの目も気にせずに、ドンドン素っ裸になる男たち。 …目の前の信じがたい事実に、青ざめ始める須藤。今ここに来ているスタッフの中にはもちろん女性もいる。通訳の女性と、新人ADの女の子。通訳の女性は、あまり顔に動揺を見せたりはしないが、新人ADの女の子は、顔を真っ赤にして、クニャラト族たちの突然の暴挙を、戸惑いながら、でも、チラチラと眺めている。 「…こ、これは…」 疑問と絶望感に襲われ始める須藤。 「くねにょにぷにょねに?」 すぐさま通訳の女性が、その疑問を素っ裸になった男に問う。 「くねににょぽにょににょぽににょこにょ。ろなうじぃにょ。」 「(訳)食事は、我々にとって神聖な儀式だ。男は着ているものは全て脱ぎ去って、その自然のありがたさをいただくのだ。」 ただただ事務的に、そう須藤に伝える通訳の女性。 「…お、俺はいいんすよ…ね?」 「くにょにちぇにょ?」 「にょにょ!くにちょねちょ。」 「(訳)いや、もちろん君もだ。」 返ってきた答えに、言葉を失う須藤。…ふと周りを見渡すと、クニャラト族もスタッフも、みんな須藤に視線を向けている。カメラマンは容赦なく、須藤のその瞬間をそのレンズに収めようとしている。新人ADの女の子も、恥じらいながらもしっかりと、須藤の次の行動をドキドキしながら見守っている様子。 ふと須藤が女の子に視線を飛ばすと、一瞬目が合う。顔を赤らめ目を見開き、視線を逸らす女の子。恥じらいとどうしようもなさで、急激に赤くなる須藤。 「ディ、ディレクター…!」 助けを求めるように、そちらに目を向けると、意味ありげに須藤に大きく頷くディレクター。どういう意味なのか…?答えは分からないが、脱がなくてもいいと言う意味ではないことだけは、何故か容易に推測することが出来た。 カメラが回っている、視線を感じる…。 ブレイク時期を逃した俳優人生、無常にも有名になっていく同期、起死回生をかけたと言っても過言ではない旅行リポーターのオファー、ゴールデン番組、これ以上ないPRチャンス…。 羞恥心で体がオーバーヒートし始めながらも、須藤はいつしか自分のズボンに両手をかけ始めていた。このチャンス、逃すわけにはいかない…、インパクトを残すんだ…!インパクトを…! 「…くそぉ!」 自然と口から漏れ出た小さな叫び声とともに、意を決し、手にかけたそれを思いきり真下にズリ下ろす。
購入特典
本商品内のsecret password.txtに記載されているパスワードを使って陸の部屋 ver.βを覗くことができます。
作品情報
発行日 | 2010/06/27(ショタスクラッチ12) |
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形式 | 挿絵付短編小説集 |
ページ数 | 74P |
媒体 | 冊子版 / データ版 |