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あらすじ
「すっぽんぽんより恥ずかしい姿ってどんなだろう…。」をテーマに、8人の少年を小説化。
挿絵イラスト付。
続編→『少年八景 夏』
表紙
裸エプロン少年(サンプル)
-海の家。 拓也は期間限定ではあるが、夏の間、そこで働いていた。 買いたいギターがある。 どうしても金を貯めなくてはいけない。 不覚にもこの日、拓也は遅刻してしまっていた。 約30分の遅刻… (マスター…怒ってんだろうな…。) 「…すみません!遅れました!!」 息を切らして事務所に駆け入る。 コーヒーに舌鼓を打っていたマスターが拓也の方を向く。 「…32分……か。」 「…!す、すみませんでした!!!」 マスターの声は、怖くはないが、意味深な重みがあった。 「…すぐに着替えてきなさい。」 少し笑顔になるとそう拓也に告げ、向きを戻すマスター。 「…は、はい!」 (良かった…あんま怒ってないみたいだ。) 海パン姿にバンダナにエプロン。 これが、ここで働くときのクルーの衣装だった。 働いてるのは男しかいない。 そのせいかいつも、女性の客の方が圧倒的に多かった。 着替えが終わり、マスターのいる事務所に戻る。 30分遅れたから3時間半…よし、頑張るぞ。 ドアを開け、ホールの仕事に向かおうとした…そのとき。 「前嶋くん。」 マスターの低い声が事務所に響く。 ドアを閉め、そちらに向き直す拓也。 「…ちょっとこっちに来なさい。」 「…? は…はい。」 (今更、怒られるのか…?) マスターの前まで行き、静止する拓也。 「…後ろを向きなさい。」 「…は、はぁ。」 言われるがまま後ろを向いた…次の瞬間。 -ズリリッ!!! (……!!!!!!) マスターがおもむろに拓也のズボンをズリ下ろしてしまった。 …ズボンどころか、パンツごとだ。 「…な、なにするんすか!?」 抵抗しようと思ったが、マスターに歯向かえるはずもなく 顔だけ前を向けてその場で立ち尽くす拓也。 「…今日は、これで働きなさい。」 「…え!?」 「…最後までとは言わない…今から30分だけでいい。」 「…な、なんでっ!?」 「遅刻。…したでしょ? その罰ってこと、これで帳消しにしてあげるよ。」 「…で、でも!これじゃあケツ丸出しだし…!」 「…お尻くらいいいじゃないか。いいお尻してると思うよ。うん。 それに、前はちゃんと隠れてるんだしね。」 「…で、でも」 「マスター命令だ。 できないようなら、今日で君はクビだ。」 終始笑顔のマスター。 しかし、言っていることはかなり凄い。 (ま、マジかよ…、で、でも今クビにされたら…困るし。) 「最近売り上げが悪くてねぇ… ここはひとつ…一肌脱いでくれよ。 …あ、でもこれはあくまで 遅刻したことへのペナルティだからね。」 (…って、結局本当の理由はそこか。 …、はぁ、仕方ない…か、恥ずいけど。) 「…分かりました。」 「…よろしい。」 意を決した拓也は、足からズボンとパンツを抜きとり 改めてドアへ向かう。 取っ手を握る手が重い…。 「…混んできているね、わたしもホールを手伝おう。」
作品情報
| 発行日 | 2009/05/04 |
|---|---|
| 形式 | 挿絵付短編小説集 |
| ページ数 | 7P程度 × 8本 |
| 媒体 | データ版 |




