小説

正義のヒーロー 1

私の名前は桜木藍。 市内の小学校に通う小学3年生。 …と言っても もう1ヶ月くらい 学校に行ってないんだけどね。 …時計の針が12時を指した。 もうお昼か。 ベッドの横についているテレビを付け チャンネルを合わせる。 この時間はヒーロー戦隊ものの 再放送をやっているんだ。 女の子なのにわたしはヒーローものが大好きで この歳になった今でも たまに見てはテレビの前で 興奮していました。 …登校拒否とかじゃない。 別に行きたくなくて 行ってないわけじゃない。 むしろ学校に行きたいんだけど どうしても行けない理由があると言うか…。 簡単に言うと 今わたしは病院にいます。 病室は女の子4人の共同部屋で 私のベッドは入って左奥の 窓際の場所。 周りの子達とは それほど仲良くありません。 と言うのもわたしが過ごした1ヶ月の間に 何人もの子が退院して入院してを 繰り返していたので 流石に仲良くなる前に いなくなっちゃう感じでした。 わたしの病気は急性虫垂炎という まぁ俗に言う盲腸の病気。 ある日急にお腹が痛くなって わたしは ただの腹痛だって言ったんだけど お母さんが心配して 病院に連れて行かれたら なんとビックリ盲腸の病気だった。 それですぐさま入院。 そんな流れでした。 それほど深刻な病気ではなくて 手術をすれば成功率はほぼ100%。 麻酔もかけるし 痛さも全然ないって聞きました。 でもわたしはそんな手術を かれこれ1ヶ月拒んでいます。 看護婦さんも お母さんもお父さんも みんな困り果ててる感じです。 わたしにもそれくらい分かるし 申し訳ないとも思ってる。 学校だって10月ほとんど行ってないし このままじゃ2学期全部 休むことになっちゃうかもしれない。 学校大好きっ子のわたしとしては 早く行きたいし 友達にも会いたい。 でもどうしても手術を受ける 決心がつかない…。 ただ1日2回体温を測って 病状を看護婦さんに聞かれて 手術受けないの?と お決まりの質問をされて 終わる1日を過ごしていました。 相変わらずお腹は たまにズキンと痛むけど 悪化してる気配はありませんでした。 どうすればいいんだろう… 窓の外から雲の流れを眺めながら いつものように 変わり映えのない生活を していると わたしたちの病室の扉が ガラッと開きました。 看護婦さんや お母さんが来る時間帯じゃないな… と思って不思議に思って そちらに目をやると それは同じクラスの 石橋卓也くんでした。
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