小説

正義のヒーロー 5

目の前の出来事に ただただ驚愕するわたし。 だってわたし… おちんちんって初めて見た。 見ちゃいけないって思ってても どうしても視線はおちんちんに向いてしまう。 おへその下あたりに いわゆる棒状のものがプルルンってついてて その下に袋がくっついてました。 これが…おちんちん…? 初めて見たから あってるかどうかは分からなかったけど きっとこれがおちんちんなんだろうなって 思った。 大きさは…これくらいが普通なのかな…? って感じでした。 明らかにわたしの視線が おちんちんに釘付けになっていることに気づいた全裸マンは 流石にちょっと恥ずかしそうに モジモジしてたけど 決しておちんちんを隠そうとはせず こう続けました。 「わたしの名前は『全裸マン』!  正義のヒーローだっ!」 「…正義のヒーロー…?」 それはいつも見ていた銀河マンの 登場シーンの台詞にそっくりでした。 どこを見ていいのか分からず 結局わたしはおちんちんを見ながら そう答え返しました。 「…そ、そんなに見るな。  いや…あ、み、見ないでくれ。」 「あ、す、すみません。」 流石に恥ずかしくなったのか 全裸マンが忠告してきました。 「…おほん。  わたしは日夜邪悪な悪者と戦っている。」 …アレ…この声わたし知ってる…。 …もしかして……!? 「邪悪な悪者…?」 わたしは高鳴る胸を押さえつつ そう聞き返しました。 「そうさ、邪悪な悪者さ。  この世に蔓延る邪悪な化身…  それは…『恥ずかしさ』だ!」 「…え?」 その言葉にきょとんとする私。 相変わらず周りの子達は ビックリした様子で でもバッチリおちんちんを 目に焼き付けているといった感じでした。 「見ての通り…その…  わたしは今全裸だ。  何も身に着けていない。  きっとこの病室にいる女の子全員に  大事な部分を見られてしまっただろう。  …はっきり言って恥ずかしい。  恥ずかしくて顔から火が出そうだ。  でも、そんな恥ずかしさに負けてはいけない。  そんな恥ずかしさに打ち勝ち  世界に平和をもたらす。  …それが全裸マンの使命なのだ!」 そう話す全裸マンのおちんちんは 終始プルプルプルプル揺れていて わたしは見ている自分に恥ずかしくなって どうしていいか分からなくなっちゃったけど その映像がなんだか凄いおかしくて ついフフッと笑っちゃいました。 その姿に気づいたのか 全裸マンの胸の辺りが カーーーっと赤くなっていくのが分かりました。 うろたえながらも全裸マンは こう続けました。 「…と、ときに藍ちゃん。  君は手術をずっと拒んでいるらしいね。」 「あ…!は、はい。」 いきなり真面目な話になりました。 「なんでも  下を脱ぐのが恥ずかしいから  嫌がっているそうじゃないか。」 そう付け足す全裸マン。 やっぱりそうだよね。 そんなこと知ってるの石橋くんしかいないもん。 全裸マンの正体は石橋くんなんだよね。 つまり目の前に見えている すっぽんぽん姿は 石橋くんのすっぽんぽん姿ってことなんだよね。 そう思うと急に恥ずかしくなっちゃいました。 石橋くんって こんなおちんちんが付いてるんだ…。 石橋くんの顔を想像して ちょっとドキドキしてしまいました。 「…なんでそのこと知ってるの?」 意地悪にもわたしがそう聞くと ちょっとうろたえた石橋くんは 「ぜ、全裸マンに分からないことはないのだ!」 そう言ってごまかしてました。 なんか可愛いなーって思っちゃいましたね。 「とにかく!  今日のわたしの使命は  そんな藍ちゃんに手術を受けてもらえるように  藍ちゃんの『恥ずかしさ』を  やっつけることにある!」 やっぱりそうだったんだ。 石橋くんはわたしの好きな 正義のヒーローになりすまして わたしに手術を受けるように 応援しに来てくれたんだ。 そう思うと感謝の気持ちで溢れたけど 何もすっぽんぽんにならなくても… わたし初めてだったのに… おちんちん見たの。 そう思っていると全裸マン…もとい石橋くんは 「さぁかかってこい!  藍ちゃんの『恥ずかしさ』め!  このわたし、全裸マンが相手だ!」 そう言うと「とうっ!」と 飛ぶジェスチャーをして わたしのベッドの上の 飛び乗ってきました。 …本当にすぐ近く 向かい合いように 石橋くんの全裸姿が 目に飛び込んできました。
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