小説

芸術の秋 4

わたしたち2人の姿を見て ちょっとビックリしたような 竹内くんのお母さん。 そりゃそうだよね…。 咄嗟にポーズを崩し 説明しようとする竹内くん。 「あ!」 わたしがそのままでいてと言った 合図を送ると 慌てながらも顔を赤くして 体制を戻してくれました。 「すみません!  あの…わたし美術のコンクールに  絵を出すことになってて…。  それで今回は男性の裸を描きたいなって思って。  結構美術とかで題材になったりするんですよ。  人の裸姿って。  それでその被写体を竹内くんに頼んでもらって…」 とりあえず変な誤解が生まれないように わたしは身振り手振り 必死で説明しました。 あのポーズのままウンウンと必死でうなずく竹内くん。 そんなわたしたちを見て 竹内くんのお母さんは 「そうだったの~。」と言ってフフッと笑うと ジュースとお菓子の乗ったお盆を 竹内くんの勉強机の上に置いて わたしの横に腰掛けました。 「わ~…上手ねー…。」 わたしの絵を見て 本当に感心してくれている様子でした。 「森本は結構コンクールとかでも  入賞したりしてるんだよ。」 赤くした顔をこっちに向けながら 竹内くんは説明を付け足してくれました。 「あらそうだったの。  …でもホント上手だものね。ビックリしちゃった。  健太も光栄に思わないとね。」 「へいへい…。」 そんな会話を聞いていて わたしは「そんな…」と ただただ恐縮してしまってました。 そして冗談交じりに竹内くんのお母さんが 「…下はいいの?フフ。」 と言いました。 流石にビックリするわたし。 「だ、だ、大丈夫です!」 わたしは慌てて答えました。 顔が赤くなっていくのが分かりました。 竹内くんも更に顔を赤くして 「…もう用が済んだんなら出てけよ!」 ちょっとぶっきらぼうにそう言うと 「はいはい。」 と竹内くんのお母さんは ニヤニヤしながら腰を上げると 「そこにあるお菓子食べてね。  それじゃごゆっくり~。」 といって部屋を出て行きました。
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