小説

芸術の秋 6

元の位置に戻ってくる 竹内くん。 わたしはただ呆然と 頭に血が上る音を聞いていました。 気づいたら右手に持っていた鉛筆を 床に落としてしまってました。 全然気づかなかった…。 「えっと…  ぜ、全部脱いで  さっきと同じポーズすれば良いのか…?」 「…え、あ、あ、うん!  そうしてくれると…嬉しい…かな。」 「…そ、そか。  ……よし、了解。」 本当にいいの? すっぽんぽんだよ? 当たり前だけどわたし 竹内くんのすっぽんぽん姿なんて 見たことない。 と言うか、男の子のすっぽんぽん姿自体 ほとんど見たことない。 …弟のはあるけどさ。 まだ幼稚園児だし…。 でもきっとこれはもう確定的。 今から竹内くんは わたしの目の前で すっぽんぽんになっちゃう。 …わたしはそれを描く。 竹内くんのためにも 出せる力全部出して、出来るだけ上手に…。 「…もう準備いいか?」 呆然とするわたしを見て 竹内くんが聞いてきました。 「…う、うん!わたしは大丈夫…。」 「…了解。」 そう言って竹内くんは 両手をズボンにかけると 私のほうを向いてちょっと口をすぼめながら 後ろを向きました。 流石に恥ずかしいよね…。ごめんね…。 そして無言でズボンを脱ぎ 中から黒色のボクサーパンツが出てきました。 …この姿なら なんか絵になりそうだな。 恥ずかしながらそう思ったけど 今更断れないし 実際ちょっとその先を 見てみたかった自分もいたワケで…。 なんかわたし酷いなー。なんて思った。 そしてそのまま躊躇することなく パンツに手をかけると 1つ大きな深呼吸をすると 一気にパンツを落としちゃいました。 ぷりん。 目の前に現れた竹内くんのお尻。 好きな人のお尻。 もちろん日には焼けてなくて 真っ白でした。 もうそれだけでも頭は いっぱいいっぱいでした。 足からそれを抜き取り ついにすっぽんぽんになってしまった 竹内くん。 わたしはどうしていいか分からず ただただそのお尻を眺めていました。 「…さ、さっきと同じポーズだよな。  アレをやればいいん…だよな。」 後ろ向きのまま 明らかにドキドキした声で 聞いてくる竹内くん。 「そ、そうだね。  お、お願いします…。」 2人とも明らかにうろたえてました。 「よし。」と竹内くんは言うと 体の向きをクルッと変えて わたしの方を向いてきました。 ドキッとするわたし。 大事な部分は左手で隠していました。 竹内くんは これ以上ないってくらいまっかっかで 汗も更に噴出していると言った感じでした。 「…あっちぃなぁ。」 照れながらそう言う竹内くん。 今日涼しいほうだよ。 …すんごい恥ずかしかったんだと思う。 ただただありがとうしか言えない…。 「ちょっと汗拭いていいか?」 照れ笑いしながら 自分の机に置いてあるタオルで 汗を拭く竹内くん。 もちろん隠したまま…ね。 「よし。」 そう言ってもとの場所に戻り 足を開き 右手を斜め上に掲げる竹内くん。 …しばし沈黙。 「え、えっと…」 さすがに左手離してなんて言えなくて ただ口ごもるわたし。 「…わ、分かってる分かってる。」 そのままの状態でそう言う竹内くん。 「…あ、あんまジックリ見ないでくれよな。  …まぁ無理だろうけど。」 そう言うと一言「よっしゃ」と言って 左手で力こぶを作る ポーズをしました。 目の前に 本当にすっぽんぽん姿の竹内くんが 現れました。
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