CFNM日記

曖昧サンドイッチ 1

(2011年11月12日 01:15)

「ありがとうございましたー!!」

熱気に満ちた室内に、子供たちの元気な声が響く。
久音ヶ丘空手道場、本日の稽古終了の合図である。

着替える子、そのまま帰路につく子、
残って師範代に訓練をしてもらう子。

そんな中、道場内隅、空手着の上を脱ぎ、
一際目立つ体を晒す男の子が1人。

滝本家長男、滝本福、小学6年生。
場内でも有数の、黒帯保持者である。

小麦色に焼けた肌、程よく引き締まった体。
そこにタオルを宛がい、汗の滴を拭き取っていく。

ふぅ、疲れた。、…と、

「おぉ~!大分引き締まってきたなぁ~、福。」

稽古を終えた師範代が、その肉体美に気づき、
嬉しそうに近づいてくる。

「い、いや別に。」

師範代の笑顔に、少し照れながらも笑顔で応え、
失礼のない速度で背を向け、下の道着に手を掛ける、…と、

「いやほんとに、いい体してるわ~。
 ねぇ?」
「うんうん、かっこい~。」

近くにいた他の子の付添いのお母さんが、
意見を求める師範代に大きく頷く。

「子供の体に興奮しちゃってるんじゃないの~?」
「やだ~、言わないで~。」
「はっははは。」

戸惑う福などお構いなしに、大人げなくからかう大人2人。
早いとこ…

2人の目を盗んで、着替えに戻る。…と、

「ちょっと、ほれ、グッと、力入れてみ。
 グッと。」

丁度下の空手着を脱ぎ終わったタイミングで、
嫌な注文が飛んでくる。

「い、いや、いいっすよ。」
「なぁに恥ずかしがってんだぁ福。
 ほれほれ、やってみ。」

周りの生徒やお母さんたちが、そのやりとりに気づき、
気づけば、室内の視線が福に集まり始めていた。

うわぁ最悪…。
でもこの状況、…やるしかない。

無心になり、体を向け直し、パンツ一丁で、

―グッ。
綺麗に割れた腹筋。その筋道を伝う汗。

「おーーーーーーー!!!」

道場内に歓声が響く。

―パチパチパチパチ。

加えて、何故か拍手。

「大人顔負けだな~。」
「ねぇ~、うちの旦那に見せてやりた~い。」
「私も~。」
「い、いやそんなっ…。」
「はっははは。」

注目されることがあまり得意ではない。
ただただ照れる福。…と、

―グイッ。

おもむろにパンツのゴムを引かれ、その中身を師範代に覗かれる。
驚き、慌ててその手を振り払う福。

「こっちはまだ、子供みたいだな。」

なっ…!!

「ちょっと~~~!!」
「いやぁ~~~ん!!!」
「いいなぁ~!とか言って(笑)」
「はっははは。」

大盛り上がりの道場内。
福はもう、何も言えずに、ただただ猛スピードで、
着替えを済ませる。

「…お、お疲れ様でしたっ!!
 失礼しますっ!!!」

火照る顔を見られないように、
いつもより少しだらしないお辞儀を済ませ、
そそくさと道場を後にする。






「…ふぅ。」

いつもの5割増しほどの疲れに、思わず溜息が出る。
…と、

―チリンチリン。

どこかで聞いた音。無論、自転車のベルの音。
その先には、

「遅いぞ~。」

気づいた福に、足漕ぎで近づいてくる女の子。

滝本家長女、滝本愛、中学3年生。
久音ヶ崎中学校のソフトボール部に所属している。

「なんだ、姉ちゃんか。」
「なんだとはなんだ、せっかく迎えに来てあげたのに。」
「別に頼んでないし。」
「ふん、可愛くない奴。」

ほら、と一言、福の荷物を預かり、
自転車のかごに放る。

「練習は?」
「ちょっと早めに終わったから、寄ってみた。」
「ふ~ん。」

ソフトボール部の練習は、なかなかハード。
いつも帰りは7時を過ぎる。…と、

「よしっ、走るよ!」
「え。」

姉の発言に、一瞬頭を傾げる弟。
そんな弟には構わずに、一気にギアを上げる姉。

「ちょっ。」
「ほら~、もたもたすんな~。」

悠々と先に進む愛。
いや、今俺めいいっぱい稽古してきたんだよ。
………。
何しに、迎えに来たんだよ。

「ボーっとすんな~、ほらピッピッ!ピッピッ!」

……。

「はぁ。」

疲れた体に鞭を打ち、駆け足で愛を追いかける。


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この記事へのコメント
  1. サンドイッチってのが気になりますな

    • コメントありがとうございます。
      タイトルの意味も気にしつつ読んでいただけると面白いかもしれません!

  2. 師範代は男っぽい女ということでよろしいでしょうか?

    • コメントありがとうございます。
      師範代は普通の男性です。と言うか特に細かい設定とか特に考えてないですw

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