小説

イカサマG@ME 5

その後、2回戦、3回戦、4回戦と 試合はわたしたちの思惑通り、順調に進んでいった。 ジョーカーが男子に渡れば わたしたちが少し焦らしてからそれを引くし ジョーカーがわたしたちに渡れば 男子がそれを引くこともあれば引かないこともある。 でも、最終的にはわたしたちの手に渡り わたしたちの負けが確定する。 わたしたちが負けていくたびに 浮かれていく三浦たちを見るのは 見ていて気持ちいいモンじゃないけどね。 あっちとしてはまさかの4連勝って感じなのかな。 んまぁこの後 それがまさかの完封勝利に行き着くわけだけど。 …って言うかその後のエクストラマッチに 男子たちちゃんと乗ってくれるよね…? …大丈夫だよね、こっちには千佳がいるし。 きっと浮かれてるから バカみたいに承諾しちゃうんでしょ。 そして迎えた5回戦。 シュシュも靴下も上着1枚も全て脱ぎ去って 言わば絶体絶命なわたしたち。 千佳は相変わらず不安そうにしているけど 今思えばその姿のお陰で 疑われることとか万が一にもないと思える、かな。 あまりにもリアルに不安そうだモンね。 あれはわたしの演技力でも出せないよ。 …5回戦のジョーカーは最初、わたしの元に潜んでいた。 最初からジョーカーが手元にあると ペースを自分に持っていけないからある意味やり辛いかな。 いつ森くんに引かれるか引かれないかも分からないしね。 …と、そんなわたしの心配をよそに さっそくわたしの手持ちから森くんへと ジョーカーが移動する。 さすが森くん、三浦なんかと違って超ポーカーフェイス。 顔色1つ変えずに、冷静さを保ってた。 そしてそのまま試合の中盤。 千佳も分かってるジャンね。 いい感じの場面で森くんからジョーカーを引き抜く。 そのままゲームは三浦と千佳の一騎打ちに。 結局、最後の2ペアの取り合いという良くある死闘を 千佳にとっては作業にしか過ぎないけど何度か続けて ようやく三浦が、用意されたその勝利を勝ち取った。 「マジかよ~、俺ら5連勝ジャン。お前ら弱すぎ。」 さすがにちょっと拍子抜けと言った感じで でもブラを見れる嬉しさからか 少しニヤけながらそう言う三浦。 ホント良く顔に出る奴だな~、変態丸出しジャン。 森くんは…無言だね。大人だね。 「んじゃまぁ…約束だしな。…よろしく頼むわ。」 少し恥らいながらそう要求してくる三浦。 うわ~なんか、予期はしていたものの そんなエロい感じの瞳で見られるかと思うと やっぱりなんか躊躇しちゃう自分はいるよね。 対角線上にいる千佳と視線を合わせる。 千佳も躊躇している素振りはしているけど 覚悟は出来てると言った表情をしてた。 コクリ。 2人で同時に頷いて わたしたちは最後の上着をゆっくりと脱ぎ去った。 当然のごとく露になるわたしたちのブラ。 わたしのは、まぁわたしらしくいわゆるスポーツブラ。 男子たちにはちょっと物足りないかもしれないけどね。 わたしの優しさはこれが限度ってことで。 対照的に千佳はいわゆる女の子って感じのブラで おっぱいも結構大きい千佳にそのブラは凄くエッチで 女のわたしでさえ ちょっとドキドキしちゃうくらいだった。 …サービスしすぎじゃない?それくらいの感じ。 まぁすぐに両腕でブラを隠すような体勢になって 恥ずかしそうに俯いちゃったけど。 そんなわたしたちを、舐めるかのように見回す2人。 三浦はわたしと千佳とを交互に見ながら 物珍しそうなメガネザルのような表情をしている。 「…へぇ、なるほどねぇ…。」 何か言葉にしなきゃとでも思ったのかな。 年季の入った高価な壷を見る鑑定士のように 声を漏らす三浦。 一方森くんは…わたしなんかには目もくれず 千佳のそれに釘付けになっている。 ちょっと…それはわたしに失礼だと思うけどな。 …別にいいけど…さ。 「…森くん、…見すぎ…だよ。」 「…あ!」 千佳の声で我に帰ったように正気を取り戻す森くん。 顔はまっかっかだ。 …なんだかんだで、男子なんてみんなスケベなんだよね。 …なーんて思っちゃった。 「…うん、まぁなんか、あっけなかったけど…  とりあえずこれで終わり…かな。」 三浦のその声で脱衣ババ抜きが終わろうとしている。 …ダテ眼鏡越しに見える三浦のエロい目線が、もの凄く…嫌。 駄目よ…ゲームはここからなんだから…!! 「…ちょ、ちょっと待ってっ!!」 わたしは千佳同様、少しブラを片腕で隠し 恥じらいを見せながらそんな三浦を制止する。 「…ん?」 「このままじゃ…その…なんか凄い悔しいって言うか…  なんか知らないけど、わたしたち完封負けしてるし。」 「…ん、んあぁまぁ…それはしゃーねぇだろ。」 「…だから1つお願い。  もう1回だけチャンスちょうだい。」 「もう1回って…次何脱ぐんだよ、お前。下も脱ぐのか?」 「…ううん、下は脱がない。…ブラを外す。」 「…え!?」 さすがにわたしのその決意表明に 驚きを隠せない様子の2人。 「ブラって…それ外したら…。」 「そ、そのかわりっ!!こっちにも考えがあるのっ!!」 それだけじゃ 単純に見せたがりな痴女の虚言に過ぎないからね。 「女の子にとって男子の前でブラ外すって…  相当勇気がいること…なの。  …だから、もしも次のゲームでわたしたちが勝ったら  男子にもそれ相応の態度を示してもらいたい…って言うか。  わたしたちと同じくらいのリスクを背負って…  戦ってもらいたい。」 「…同じくらいのリスクって…?」 「…え、それは…。」 「…全裸になれってことか…?」 三浦の口から出た全裸と言う言葉に わたしは恥らいながらもコクリと頷く。 「…でも  それじゃ今までの戦いが意味なくなるじゃんか。」 「…お、女の子にとって男子におっぱい見せるってことが  どれだけ恥ずかしいことか分かってんのっ!?」 「…んぐ。」 わたしの口から出たおっぱいと言う言葉に 少し顔を赤らめてドモる三浦。 …んふ、計画通り。男子はおっぱいって言葉に弱いのよ。 「…ちょ、ちょっと…  なんか2人で勝手に話進んじゃってるけどさ。」 割り込むかのように入ってきたのは森くん。 「…田嶋の意見もさ、聞いてあげないとマズイだろ…?」 ごもっともな意見だった。まぁ、答えは分かってるけど。 「…千佳はどう?」 「…う、うん…、は、恥ずかしいけど…  わたしは綾香ちゃんに任せる…よ。」 「だって。」 「…マジ…か。」 まだ顔を赤らめている森くんが、その血色のまま驚く。 「なるほどな…、俺は、いいぜやっても。…森は?」 「………。」 「何躊躇ってんだよ、男らしくねぇな。」 もし負けたらすっぽんぽんにならなきゃいけないのに そんなこと全く気にしていないかのように楽観的な三浦。 男子ってみんなそんなモンなのかな…。 女の子からしてみたら、考えられないけどね。 「どっちがポロリするか、ってことだよな。」 「…変態。」 …ホント変態なんだから。 んまぁポロリするのは、あんたたちの方だけどね。 「…で、森。どうすんだ~?」 「………。」 「迷い過ぎだっつーの。」 「…………。  ……分かった、…やる……。」 すっぽんぽんになるのがそんなに嫌なのかな…。 ようやく重い口を開いた森くん。 これで、わたしたちの望んでいた舞台が全て調った。 ふふ、見せてもらうわよ…あんたたちの… …そんなわたしの、完璧に進んでいた計画が 次の森くんの言葉によって 少しずつ崩れ始める…。 「そのかわり。」 「…ん?」 「…な、なんだ…?」 「…そのかわり……、トランプを変えよう。」 重い口から続けざまに出た森くんの要求に わたしと千佳は凍りつく。 「…な、なんで?何のために…?」 「…お、お前…!!!」 なんか三浦まで取り乱してる…!? …そんなわたしの混乱をよそに 森くんの口から衝撃的な事実が告げられた。 「俺には…俺たちには……  …ジョーカーが見えてるんだ。」
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