小説

気になるあの子 7

にやけながら家に帰ると もうお父さんも帰っていて 2人で話し合いをしていました。 流石に異様な空気を感じて そろりとリビングに向かうと 「あ、ちょっと来なさい。」 と2人に座るように 急かされました。 大きなため息をするわたし。 もう流石にこの雰囲気から 察することが出来るほど 身に覚えのあるムード。 「ごめんな、父さんの仕事の関係で  また引っ越さなきゃいけなくなったんだ。」 いろいろ難しい話をされたけど 要約すると そう言うことみたいでした。 ここ最近では 全く何も感じなくなっていた その言葉。 あーまたですかって感じだった。 でも今回はちょっと違う。 何か特別なものを 手に入れることが出来た気がした場所。 …というかついさっき 手に入れたことが出来たばかりなのに…。 なんか残酷すぎるよね。 「…いつ引っ越すの?」 わたしが嫌そうに聞くと 「急で悪いんだが  あさっての日曜にはもう  次の家に移動する予定だ。  もうアパートも借りてあるんだ。」 「あさって!?」 驚愕するわたし。 そんな急過ぎるよ…。 アパートも借りてあるとか なんかわたしの意見なんて どうでもいいのかなぁって感じ。 …仕事のことだから しょうがないのは分かってるけどさ。 反発しようと思ったけど 無駄だと思った。 一番最初に引越しすると言われたとき わたしは猛反発したけど 結局お父さんとお母さんに謝られながら それが覆ることはなかった。 その後の引越しに関しても一緒。 だから今回もどうあがいても 駄目なことくらい分かってた。 「…明後日の夕方には出るから  会っておきたいお友達には  明日とかにでも会っておきなさい。  …いつも本当にすまないな。」 そう言うお父さん。 反論なんて出来るワケないよね。 …いつもなら 会いたい友達なんていなかったし 何も感じてなかった。 でも今回は違う。 どうしても会っておきたい人がいる。 …でもどうすればいいんだろう。 明日と明後日は土日。 あの公園にあの男の子が来るとは 思えない。 …とりあえず行ってみるけど きっと来ないよね。 …名前も知らないから 探しようもないし…。 なんでいきなりこんなことになっちゃったんだろう。 なんで名前聞かなかったんだろう。 さっきの嬉しい気持ちが一転して どうしよもなさで一杯になっちゃった。 でもこのままお別れはヤだよ。 せめてお別れくらいは言いたい。 …名前も知りたい。 わたしはどうすればいいのか 必死で考えていました。
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