保健室事件Ⅱ 前
(2013年1月24日 05:00)
白い息。かじかむ手。日増しに寒さが増す季節。
昨夜はどうやら零度を下回ったらしい。
その証拠に、ここ久音ヶ丘学園中等部のプールは、
一面氷張りになっている。
まるで自然界に出来たスケートリンク。
もちろん、滑れるほどの頑丈さなどどう考えてもありはしないが、
氷の上に立つように、危なげなこともしたい、とはよく言ったもので、
ここにそれを実践しようと意気込む男子生徒1人と、
無理やり付き合わされた男子生徒がもう1人。
「やっぱやめとこうぜ…、無理だって。」
「なんだよー、逃げんのかよ。」
「いや、逃げるとかじゃなくてさ…。割れて落ちるのがオチだって。」
「やってみなきゃ分からんぜよ。」
「いや、やらなくても分かるって…」
「ごちゃごちゃうるせーなー、行くぞっ!」
「…ぅおいっ!!」
―シャリッバシャーーーーン…。
当然である。
「はぁ、馬鹿馬鹿しくて呆れちゃう。」
やれやれと保健室の先生。
でもまぁ男子中学生だし、これくらいがちょうどいいか。
少しだけ緩む頬。
「うひひ、サーセーン。」
「…だから言ったんだよ。アホ。」
「あー!?あんだとコラァッ…!……ひっくしゅっ。」
「ほらほら風邪引くから。とりあえず服脱いじゃいなさい。」
「ヘーイ。」
「んぬぅ…。」
露わになる2つの裸体。
野球部の名に恥じない、程よく鍛えられたシルエットが美しい。
「…ってか、全部?」
「当たり前でしょ。」
「いやそれは…」
「先生エッチー!」
当然と言えば当然だが、確かにそれはエッチである。
「じゃーノーパンで帰るの?…全く。
後ろ向いててあげるからさっさと脱いじゃいなさい。」
「えー、ってかなんか服とかねーのぉ?」
「なーいっ。
乾燥機にかけるついでに教室からジャージ取ってきてあげるから、
それまでベッドの毛布にでもくるまってなさい。」
「…え、でも、1枚しかない。」
「ちょっとくらいいいでしょ、2人で1つ。」
「げーーーーー。」
「俺の方がゲーッだわっ!!」
「いっひひ。まぁ、しゃーねーな。ちょっとの間よろしくな。相棒。」
「…キモい。キモ過ぎ。」
「あー!?」
「分かったから、早く脱いじゃって。」
「ってか、あっち向いてよ先生。
それとも、俺らのチンコ見たいのー?」
「っバカなこと言ってるんじゃないのー!
…はい、向きましたっ!」
「あっはは、照れてる照れてる。
別に見せてやってもいいのになっ。」
「よくねーよバーカ。」
「全く…。」
赤らむ2人に、楽しそうな1人。
「うっし!」
―プルンッ。
かたや潔く下を脱ぎ捨て、素っ裸になってベッドに飛び込み、
―脱ぎ脱ぎ…。
かたやいじらしく、手で隠しながらそれに倣い、
躊躇いまじりに先客のいる布に潜り込む。
「あっはは!触んなよっ!」
「触ってねーよっ。」
「あっはは。やべーっ!!」
「黙れっ!」
「もう前向くわよー?」
「いいよー!!」
「…はぁ。」
一気に丸ごと脱ぎ捨てられたと思われる下一式の塊と、
1枚ずつ恥じらい交じりに脱がれたと思われる
制服・パンツ・諸々の単品たち。
男子更衣室のような光景に少し戸惑いながらも、
いけないいけない、ヒョイとそれらを拾い上げる。
たっぷりと含んだ水分で、見事に重く、かつ、生温かい。
「じゃあ、乾かしてきてあげるから。」
「よろー。」
「おいっ。」
「ふん。何組だっけ?あんたたち。」
「2組ー、なんでー?」
「ジャージ。」
「あー、そっかそっか。」
「…すみません。」
「はいはい。」
呆れながらもなんだか少し嬉しそうに、保健室を後にする先生。
「なんか、ドキドキすんなっ!」
「はぁ!?馬鹿かよお前っ。」
「いやだって、誰か来たらヤバくね?」
「…確かに。」
「ま、大ジョブか。」
「…大丈夫じゃないと、困る。」
「だなっ!」
「……。」
「ってかさ、チン毛生えた?」
「はっ!?」
「いーじゃねーか相棒なんだし~。
俺はこの通り、まだツルちゃんでごわす。」
「キモいもん見せんなっ!!!」
「お前は?見してっ!」
「なんでだよっ。」
「俺の見ただろー!?せけーぞっ。見せろっ!!」
「イーーヤーーダッ!!」
「ひゃああゴキブリッ!!!」
「ヘアッ!?」
「…うおー!生えてるっ!!!」
「っ!?」
「すげー、いいなぁー…。」
「な、なにがだよっ!!」
「いつ頃生えた?」
「知らんっ。」
「えーマジかー、俺も早く生えねーかなぁ。」
「……。」
「…ってかさ、なんでちょっと勃ってんの?」
「…!!!勃ってな…!!!」
「失礼しまーす。」
「!?」
「…最、悪。」
2013年1月25日 18:00
ショタなんか良い二人組ですね