小説

放課後 1

小学校4年生の春休みが始める日の前日 その出来事は起こりました。 終業式が終わって ホームルームが終わって あとは掃除をして帰宅。 わたしたちの学校では ホームルームを先に終わらせて そのあと各班指定の場所を掃除して 終わり次第自由解散というかたちでした。 このクラスで集まるのも今日で最後だねー。 5年生も一緒のクラスになれると良いねー。 といろいろ感慨にふけりながら わたしたちは各自の清掃場所に 向かいました。 うちの6班の掃除場所は図工室。 週1回しかない 図工の時間にしか使わない教室で 何故か校舎から外履きを使わないと行けない はなれにあって 掃除する意味あんの?って感じでした。 ちなみに6班のメンバーは 男の子は 高橋重光くん、安藤和也くん、加賀美貴之くん。 女の子は わたし長澤愛果、亀井由香子、田中早百合の 男女3人ずつの計6人。 くじ引きで決まった班だったけど 由香子とさゆとは凄い仲良しだったし しかも重光くんは わたしが想いを寄せている男の子だったので わたし的にまさに「奇跡の班」でした。 重光くんは結構寡黙な男の子で クラスでは割と静かなタイプ。 多くは語らないけど たまにかけてくれる言葉が 優しいというかドキッとして かれこれ2年間好きな男の子でした。 バスケットクラブに入っていて 足も速くて まぁライバル多しと言った感じでしたね。 その反面安藤くんと加賀美くんは お調子者2人組と言った感じで 言うならばクラスの ムードメーカー的存在。 ルックスはかっこ良かったんで 好きな女の子はかなり多かったみたい。 いつも2人がふざけていると 重光くんが「やめとけよ。」と止めに入る。 そんな光景がなんだか好きでしたね。 図工室の掃除が終わって ホントに4年生終わっちゃったなー 重光くんと5年生も同じクラスになれるかなーと いろいろ感慨にふけっていると お調子者の2人が 「野球拳やろうぜ!」と言ってきました。 わたしたち女子は呆然。 3人とも「え?」って感じでした。 野球拳って聞いたことあったけど 実際やったことなんてありませんでした。 確かじゃんけんして負けたほうが 一枚ずつ服を脱いでいくゲームだよね? なんでそんなのやるんだろうと 驚きとドキドキでちょっと沈黙。 「女子にハンデはやるから。  女子は2回負けたら1枚脱ぐ。  男子は1回負けたら1枚脱ぐ。」 沈黙を破るように安藤くんが言いました。 「男子はパンツ一丁になって負けたら終了。  女子は上下下着になって負けたら終了。」 更にそう付け加えました。 「下着って…そんなの出来るわけないじゃん!」 顔を赤らめたさゆが言いました。 「女子ハンデあるんだから別に良いだろ。  2回負けたらだぞ?相当有利だ。」 「でも…。」 さゆが私たちのほうを向きながら 困っていると 「安藤は4年最後だからみんなで思い出作りたいんだよ。  俺もそうだけど結構この班好きだったしな。」 加賀美くんがそう言いました。 「ばーか、んなんじゃねーよ。」 安藤くんは照れながらそう言いました。 それはわたしたち3人だってきっと一緒。 かなりお気に入りの班だったし わたしに至っては「奇跡の班」扱いだもん。 でも、野球拳はちょっと…。 困っていると由香子が口を開きました。 「…わたし、別にやっても良いけど。」 えっ?とわたしが驚くと 「愛果は?」と聞いてきました。 どうしよう…断ったらKYかな… とか思ったけど 即答できなくて 「重光くんは?」 と気づいたら彼に 質問をそのまま投げかけてました。 重光くんはちょっと迷ったあと 「まぁ最後の思い出だし…な。  所詮子供の遊びだし、いいんじゃないかな。」 肯定の返事が返ってきました。 いつも止めに入る重光くんだったから ちょっと驚いたけど 重光くんが賛成した以上 否定することは出来るはずもなく 「じゃ、わたしもいいかな…。」 と賛成派にまわりました。 「えー!ほんとにー!?」 さゆはビックリしてたけど 流石に5対1では歯向かうことも出来ず さほど抵抗することもなく 「…分かった。」と折れました。 「よし!決まりだな!  4年最後の思い出だーぱーっと行こうぜぃ!」 テンションマックスの 安藤くんに加賀美くん。 やっぱり落ち着いた様子の重光くん。 そんなこんなで 放課後の野球拳ごっこが 始まりました。
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