小説

放課後 9

図工室内の全員が ビックリしたと思う。 多分わたしが一番ビックリしていたかな… いや、一番は重光くんか。 重光くんも流石に驚いて わたしの方を見つめてきました。 わたしもどうしていいか分からず ただ重光くんを見つめていました。 顔は真っ赤で口をモゴモゴさせてました。 周りがいろいろ騒いでるみたいだったけど 今のわたしには何も聞こえて来ず…。 「え、ちょ…あっ…と。」 重光くんもどうしていいか 分からないといった様子で 言葉にならないような言葉を 発していました。 汗が重光くんのお腹を伝って わたしの手にかかりました。 「ど、どうしよう…。」 わたしが重光くんに助けを求めると 「どうしようって…言わ…れても…。」 そう言うと一瞬 重光くんは顔を引きつらせると 「と、とりあえず手、手ぇ離せ。」 少し焦ってる感じでした。 わたしの手の中は 自分自身の冷や汗と 重光くんのおちんちんに触れちゃっているせいで もの凄く熱くなっていました。 「で、でも離したら…見えちゃ…」 「オ、オレが自分で隠すから。」 明らかに狼狽した様子の重光くん。 わたしは了解して静かに手を離しました。 すぐさま重光くんは後ろに組んでいた手で 自分のおちんちんを両手で隠しました。 「あ!オレがいいって言うまで  隠すのなしって言っただろー!」 この期に及んで安藤くんは意地悪にも そう重光くんは言いました。 「いや…。」 そう漏らすと重光くんは わたしとさゆと由香子に ちょうど自分のお尻を向けるような 体勢になりました。 重光くんのプリッとしたお尻が 汗でキラキラ光っていました。 更にはお尻の割れ目の下のほうに目を向けると たまたまが入ってる袋が 垂れ下がっているのが分かりました。 こういう風になってるんだ…。 もう、全部全部見ちゃったよ…。 そしてわたしの顔を恥ずかしそうに チラッと後ろを見て確認すると 安藤くんと加賀美くんだけに見せるように 隠していた手を離しました。 安藤くんと加賀美くんは 重光くんのおちんちんをマジマジと見ると 2人して顔を見合わせてククク…と 笑いあってました。 「あらららら…。」 「これはこれは…。」 そのときは なんのことか分からなかったけど どうやら『そういうこと』みたいでした。 ごめんね重光くん…。 そうして安藤くんはウンウンとうなずくと 「全くしょうがねぇな。  もう履いていいぞパンツ。」 「すまん…。」 威勢を完全に失った重光くんは か細くそう言うと 足元に丸まったパンツを 素早く上げました。 ようやく重光くんはパンツ姿に戻ったけど そのあともパンツの上から 必死におちんちんを隠していましたね。 こうして4年生最後の学校で行われた 野球拳ごっこは 波乱に波乱を呼びながらも ようやく幕を閉じました。 「いやーでも驚いたなー。」 わたしに近づいてきたさゆと由香子が そう言いました。 「まさか愛果があんな大胆なことするなんてねー。」 「え、ち、違うもん!あれは仕方なく…」 「分かってるよ。  わたしたちに見られたくなかったんでしょ。  それくらい分かってるよ。」 そう言って由香子がさっきみたいに わたしの頭をなでてきました。 「ん、むぅ…。」 わたしは改めて自分のしたことの恥ずかしさに気づいて 1人で勝手に自分を責めてました。 「…でもホントびっくりしたなー。  高橋くんの…ホントに弟のより  ちっちゃかったかも…w」 「ねーw こんな…こんなんだったよ?w」 「もう、やめてよ!」 自分のことのように恥ずかしがるわたし。 「大丈夫よ。  『アレ』はあんたのモ・ン・だ・か・ら☆」 さゆがそうからかってきて 急に頭がカーーーーーっとなって 「もう!」と2人を追いかけてました。 この2人とこんなにはしゃいだのって 初めてかもしれない。 何か良く分かんないけど 更に2人と仲良くなれた気が しましたね。 一方 重光くんたち3人も 脱いだ服を着るために 3人で集まっていました。 「いやー盛り上がったなー!」 「そうだなー。高橋さまさまって感じだったけどなw」 「…うるせー。」 「にしても  まさか女子の前でちんこまでさらしちゃうとは  思ってなかったぜ。オレには出来ん。」 「なー。しかもわざと負けてやるなんて  優しいなー重光くんは。」 「オ、オレだって見せたくて見せたわけじゃ…。  あの状況じゃ仕方なくてだな…  …っつーかお前があんなこと強要してこなきゃ  済んだ話だろうが…!」 「まぁまぁ、そう怒なってw」 「あーあ…。絶対オレ長澤に嫌われたよなー…。」 「…そうか?」 「それは考えすぎじゃね?」 「だって…あんなちんこ見たら  普通の女子は幻滅するだろ…。」 「あーやっぱ気にしてたのかw   気にすんなって。そんなことねぇよ。」 「そうそう、まだまだ大きくなるっしょ。  小4だし。」 「………。」 「…それよりどうだったんだ?  好きな子にちんこ触られちゃった感想はw」 「…し、しるか!覚えてねーよ!」 「ほーーーー…。」 「…………。」 「でも…」 「…ん。」 「興奮してあの大きさは  やっぱちょっと残念だよな…w」 「………!  うっせー!」 そんなこんなで ようやくみんな帰る準備が済みました。 長いことここにいたような気がしてたけど 時計を見ると1時間くらいしか 経っていませんでした。 にしてもこの1時間に いろいろなことがあり過ぎたよ…。 頭を抱えながら わたしたち6人は図工室の外に出ました。 「これでホントに終わりだな。  4年生…いや、6班。」 感慨深いように安藤くんが言いました。 そうだよね…。 みんなやっぱり残念そうでした。 なんだかんだできっと みんながみんなこの班を 気に入っていたんだよね。 また同じクラスになれるかな…。 きっとみんな そんなこと思っていたに違いない。 言葉には出さなかったけどね。 「よし!4年3組6班の行事、これにて終了!」 「…終わりがあんな汚い終わり方かよー。」 「いや、『可愛い』のほうが適切だ。」 「…おまえら………」 やーだーと笑う由香子とさゆ。 わりぃわりぃと笑いながら謝る 安藤くんに加賀美くん。 顔を赤らめながら恥ずかしがるけど やっぱり冷静に大人な素振りをする 重光くん。 そんな彼をただ見つめるわたし。 「奇跡の班」もこれで終わりか。 寂しいけどしょうがないよね。 「よぉし!んじゃ5年でまた会おうぜぃ!」 安藤くんの言葉に みんなようやくいつもの笑顔になりました。 「よし!んじゃ解散!」 そう言ってそれぞれの家に みんな散らばっていきました。 帰る直前 わたしは重光くんを 呼び止めました。 重光くんはちょっと驚いた様子で けど顔を赤らめ 目を合わせてもすぐ逸らしてしまうような 感じでした。 「な、なんだ?」 「あ…これ。家帰ったら読んで。」 ん?と言った感じで 重光くんはメモを受け取ってくれました。 「んじゃね!」 わたしはそう言って 家が同じ方向のさゆと 一緒に帰りました。 ―明日の10時に  今日と同じ図工室で待ってます。 メモにはそう書いておきました。
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