曖昧サンドイッチ 10
(2012年1月16日 23:38)
夜。愛と福の部屋。
2段ベッドの下の段。福の寝床。
「…………。」
今日は、上に姉がいない。
なんでも、ソフトボール部の合宿だそうで。
「…静かだな。」
思わず、呟く。…と、
―ギィ………。
部屋のドアがゆっくりと開く音。
ん?誰だ?体と起こし、そちらを向く。
そこには、パジャマ姿の舞が立っていた。
…舞?なんでまた…、…あ、
あぁ、そうか。なるほど。
「どうした?」
いつもの優しいお兄ちゃんで、訊く。
「今日、一緒に寝ちゃ…ダメ?」
妹っぽい、甘えた口調で訊き返す。
少し、ドキドキしているようだ。
「お母さんは?」
「いいって。」
そうか、それなら断る理由もない。
「いいよ、おいで。」
少し横にずれ、スペースを確保する。
パァーーッと、舞の顔に笑顔が咲く。
小走りで駆けてきて、そこに勢いよくダイブする。
―ゴンッ。
調子に乗り過ぎて、柵に頭をぶつける。
「おーい、大ジョブかぁ?」
「いひひ。」
全然、へっちゃらな様子。
「福兄ちゃんのにおいがする~。」
「えー?どんなにおいだ?」
「んー、男らしいにおい。いいにおい!!」
「なーんだそれ。」
気にしたことなかったな。
「ふーんふーんふーん♪…」
足をウキウキさせて、鼻歌交じりに首を動かす。
福と一緒に寝れることが、本当に嬉しいのだろう。
そんな妹の姿に、ついつい福も頬が緩む。
……、…と、
そうだ、いい機会だ。
ちょっと舞に、訊いてみよう。
「舞。」
「んー?」
「舞はさ。」
「うん。」
………。
「お姉ちゃんのこと、好き?」
「………。」
福からの質問に、一瞬笑顔を消す舞。
そのまま少し考えたあと、無理矢理それを取り戻し、
「分かんない。」
笑顔でそう答える。
「なんで?」
「んー…。」
足を動かしながら、もう1回考える。
でもやっぱり、
「分かんない。」
「そっか。」
そっか。
「福兄ちゃんは?」
「ん?兄ちゃん?兄ちゃんは…、
まぁ、自由過ぎたり、気が強過ぎる気もするけど、
なんだかんだ、好き…かな。」
「ふ~ん、そっか。」
「うん。」
「…じゃあ、舞も好きっ!」
心からの笑顔か、無理に作ったそれか、
そう、応える。
はは、…じゃあ、か。
でも、まぁ…、…あ、
…うん、そうだ。
「舞、明日も今と同じくらいに、
兄ちゃんの部屋においで。」
「え?…
……、…でも…。」
「大丈夫。」
「……。」
とても不安そうな舞。
「兄ちゃんを信じろ。」
かっこいい顔で、見つめられる。
「…うんっ。」
福兄ちゃんが言うなら、大丈夫に決まってる。
すぐに不安も解消される。
「よし、じゃあそろそろ寝るか。」
「うんっ。」
もう大分夜も遅い。
舞にとってはかなりの夜更かしだ。
「ん~っ………。」
眠い眠い。
体いっぱい、大きな伸びをする舞。…と、
「ぐふっ。」
伸ばし足の片方が、福の股間に見事に直撃。
「…んっ…、…んっ……!!」
「あっ…。」
なかなか強烈な一撃が決まり、悶える福。
でも、妹の前で情けない姿を晒すわけにはいかない。
なんとかかんとか体勢を立て直し、
「こ~ら~。
今兄ちゃんのちんちん蹴ったろ~?」
妹の頭に、優しくグリグリ。
「いっひひひひ。
ごめんなさ~い。」
一瞬焦るも、いつもの福の反応に、安心する舞。
「よし、じゃあ電気消すぞ。」
「は~い。」
消灯し、眠りの準備に入る。
…明日。
あんなこと言っちゃったけど、大丈夫かな。
今更、少し不安になる。
気づくと舞に、片手をギュッと抱かれていた。
……。
…、まぁ、なんとかしなきゃいけないな。
はぁ、なんだかすっかり目が覚めてしまった。
まぁ、仕方ないか。
…、
舞が寝たら、ちょっとトイレに行ってこよう。
一応、確認もしときたいし…な。
はは。
まだちょっと、ジンジンする。
…にゃろーめ。
2012年1月17日 00:35
ショタ福兄ちゃん優しいな
読むたびにどんどん次が気になってしまう