CFNM日記

雑草と太陽 4

(2012年5月9日 21:00)

何処行ったんだろう。
…なんて、探すこともなく、ノリを見つける。

体育館裏の階段。
そこにノリは、項垂れながら座っていた。
知っていたわけじゃない、けど、
なんとなくここにいるんじゃないかなって、思ったんだ。

声を掛ける、こともなく、
ただ無言で、ノリの横に座る。

顔を腕の中にうずめている。
僕のことは見えていないだろうけど、
気配で気づいてはいるはずだ。

………。
こんな時、なんて言葉を掛けてあげればいいんだろう。
バカだから、どうすればいいか分からない。
…とりあえず、

「お疲れ様。」

そう一言。…まぁ、とりあえず、は。
…、返事はもちろん、ない。
うーん、どうしようどうしよう…。
…どうしよう。…と、

「…バカにしてたか?」

姿勢はそのままに、ノリがそう訊いてくる。

「え?」

な、…にが?

「だから、俺のことバカにしてたかって。
 …みんな。」

あ、あぁ…、いや、それは、…

「そんなわけないでしょ。」

バカには、していなかった。…うん。絶対。

「…まぁ、バカにして当然だよな。
 だっせーよな、俺。」

そう言いながら、ゆっくりと顔を上げる。
寂しそうな横顔、前方をジッと見つめている。
僕まで、胸がギュ~っと痛くなる。
そんな顔、しないでほしい。

「だ、だから…、さ。」
「いいんだ、負けたし、実際。」

…そ、そっか。
………。

「…でも、やっぱ悔しいな。」
「うん。」

僕も、悔しい。

「なんでだろうな。」
「ん?」
「なんで負けたんだろ。」
「………。」

それは、…

「走る直前はさ、勝てる気しかしないんだよ。」
「うん。」

スタート地点のノリは、昨日も今日も、
凄く凛々しくて、カッコ良くて、
自分を信じきった顔をしていて、
負けるはずない、僕にだって、そう思わせてくれた。

「勝てる気しかしないのにさ、
 なんで負けるんだろうな、変だよな。」
「それは…、」

それは、…どうだろう。

「う~ん…。」

頭を抱えるノリ。

「…う~ん。」

僕も一緒になって悩む、フリをする。
………。

「やっぱ、こんなのおかしい。」

…え。
徐にその場に立ち上がるノリ。

「まだ鹿島の奴、いるかな。」
「…え、わ、分かんない…けど、
 …なんで?」
「もっかい再戦、申し込んでくる。」

…え。

「む…、っ…。」
「ん?」

そんな自信に満ちた顔で見つめられたら、
無理だよ、なんて言えない。

「…や、めときなよ。」
「なんでだ?悔しいじゃん。
 男なら、目指すのは1番のみだ。」

そう、…なのかしれないけど、…
これ以上、あんまり…、その…

「それに、次は絶対に勝てる。
 だから問題ない。」
「………。」


決意は固いみたいだ、僕が何を言っても無駄だろう。

「…と、善は急げだな。
 俺ちょっと鹿島探してくる。」
「あっ…。」

自分のランドセルを手に取り、
そのまま校庭の方へと、風のように消えていってしまった。

「…あー……。」

…行っちゃった。
……。
…、はぁ。

なんだかなぁ。
つくづく、負けず嫌いと言うか、なんと言うか。

この前のサッカーの授業でやったリフティング。
回数を競うやつで、ノリが2位になって、
その日の放課後、1位の記録抜くまで、
遅くまで残ってたっけ。

結果、その記録を塗り替えたんだから、
さすがノリだなって思ったけど。

その前はバスケの連続シュート回数で2位になって、
それも遅くまで残って記録を更新したり、
その前は二十跳びの連続回数で、なんてのもあった。

まぁ、僕しか承認はいないんだけどさ。
と言うか、それに全部付き合ってる、
僕も僕だよね。ホントお互い、懲りないよね。

勉強とかに関しては、
一切そう言うこだわりはないみたいなんだけどさ。
ホント、プライドが高いと言うか、バカ真面目と言うか。

…でも、そんなノリの性格が、僕は大好きで、憧れで。
ほら、今思い出しただけでにやけてる。

応援したくなるんだよね、頑張れーって。
…でも、

今回ばかりは相手が悪い。
正直、相手の鹿島、信じられないくらい速い。
いくらノリでも、無理だと思う。…、
いや、言い切りたくはないけどさ、…でも……

今頃、2回目の再戦を頼んでるのかな。
…呆れられてないかな、バカにされてないかな。
……、不安…、だな。

…、どうしよう。
何も言われなくたって、いつもなら待っていたけれど、
どんな顔で迎えればいいか分からない。
ほら、僕、バカだから。

………、
…帰ろう。
ランドセルを背負って、ゆっくりと腰を上げる。
ふぅ、なんだか凄く疲れた。

1人で帰るのなんて、凄く久しぶりだ。
…でもまぁ、しょうがない。

鹿島はまた、引き受けるのかな。
何回やっても同じだって、突き放すのかな。
もしノリだったら、それでも引き下がらないだろうな。
……、まぁ、いいや。

もしノリがまた頑張るんなら、
僕はただ応援するだけだ。それだけだ。


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この記事へのコメント
  1. エロ?要素の想像が全くつかない

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