神事 狸相撲 5
(2012年11月6日 22:00)
「きゃーーーーーーーー!!!!」
幾億にも思える笑い声や悲鳴をスルリとすり抜け、
真っ先に脳天を貫く彼女の声。
「ぅあっ…!!!!」
あの子が自分から顔を逸らすのを横目に確認するや否や、
こうなってしまった者なら誰しもが反射的に行なわざるを得ないアクション、
『股間を隠す』をする海斗。
両手に伝わる自分の柔らかい感触。分かっていたけど絶望する。
丸出しだった。
―あっはっはっはっは!!!
―やだーーー!!!
―あらあら…
―チンコデケー!
―はっはっは!!
好き放題に沸くオーディエンスに、もう固まるしかない。
―ギッ…!!
このどうしようもなさをぶつけるならば、目の前にいる者しかいないだろう。
尻餅をついたまま、自分の痴態をただただ唖然と見つめていた宏太を、
思い切り睨む。
「ご、…ごめん。」
この近さでも聞こえないくらい小さな声でそう漏らし、
逃げるように目を泳がせる。
謝られても済む問題じゃない。もう、取り返しなどつかない。
脳を揺らした一際大きな悲鳴のあと、あの子の声が一度も耳をかすらない。
赤らめた顔を手で覆いうずくまっているのか、
はたまた丸出しを晒した自分の姿に幻滅し、
今も尚憐みの目でこちらを見つめているのか…。
分からない。分からないけど、見られたと言う事実に変わりはない。
「んっ…」
見られた場所しか隠していないその姿のまま、
逃げ去るように走り出す海斗。
2012年11月6日 22:01
Kunekoとりあえずこれで終わりのつもりですが!
何かいい続きがありそうだったらどなたか教えてくださ~い(´ω`)