CFNM日記

雑草と太陽 16

(2012年8月6日 22:00)

決戦当日、放課後。 もう夏を感じてしまうような、見事な快晴。なのに、こんなところでやらなくても…、そう思ってしまうほど、ここは年中無休で暗がりで、でも逆に、それに少し安心している僕もいた。 観客はもちろんと言うべきか、満員御礼。きっと、噂が噂を呼んだんだろう。クラスの顔以外の顔を、ちらほら確認できてしまったことに、落胆し、胸がキリキリと痛くなる。 「よし、そ… 続きを読む

雑草と太陽 15

(2012年7月28日 22:00)

ノリの過酷な1週間が、実は僕にとっては幸せ過ぎた1週間があっという間に終わり、今日は、決戦前日。の、放課後。 最後の追い込みとばかりに全力で駆けるノリと、それを見守る僕。もう何も、口出しすることなんてない、…と、 「お、やってるやってる。」 遠くの方から、声がする。やっぱり冷やかしにやってきた、鹿島グループ。 「ま、明日の前日だしな。当然か。」 うるさい、今… 続きを読む

雑草と太陽 14

(2012年7月19日 22:00)

ずっとノリを見てきた、僕の分析。 ノリの鹿島との違い。もちろん、僕なんか比にならないくらいに速いんだけど、鹿島と比べると、良い部分もあるんだけど、劣る部分もやっぱりあって。 まずはスタート。これに関してはノリは鹿島に勝っている、と思う。最初の5Mくらいは、いつもノリが前にいるんだ。勝利への執着の違いかな?出だしはホントに完璧なんだ。 次にスピード。これは鹿島… 続きを読む

雑草と太陽 13

(2012年7月11日 22:00)

いろいろと考える頭など、もうあるはずもなく、ただ無心で、校庭の端、目立たないあの木陰へと向かう。 当然のごとく、そこにノリはいて、当然のごとく、いつもの見慣れ過ぎた動作を繰り返していた。 僕は、自分でも驚くぐらい、全く躊躇うこともなく、ズカズカと、そのスタート地点まで歩を進める。 「………。」 僕の姿を一瞥するも、表情一つ変えずに、きっと僕の存在なんていない… 続きを読む

雑草と太陽 12

(2012年7月3日 21:00)

鹿島とノリの登壇が、注目を呼ばないはずもなく、全ての帰ろうとする足が止まり、向きも中へと戻される。 ―なんだなんだ?―え?また…?―やだぁもぅっ…。 当然の反応、気にならないはずがない。…ノ、ノリ……。   「みんな知ってると思うけど、昨日俺と大野で、 また50m走で対決をした。」 依然一方的にノリの肩を組んだまま、鹿島が飄々と語り始める。 「で、… 続きを読む

雑草と太陽 11

(2012年6月27日 21:00)

泣き疲れたのか、考え疲れたのか、まぁ多分両方だろう。昨日の夜は、驚くくらいにぐっすり眠れた。 それなのに寝起きは最悪で、体はやっぱり依然重くて、頭もなんだか痛かった。 休もうかな、とも思った。実際本当に体ダルいし。でも、休んだところでどうにもならないし、事態が悪化するだけのような気しかしない。まぁ、これ以上悪くなりようがないくらい、最悪な状況なんだけどさ。 … 続きを読む

雑草と太陽 10

(2012年6月21日 22:00)

夜、布団の中。 ご飯はから揚げ以外ほとんど残した。お風呂には1時間くらい入ってのぼせた。 まだ頭がボーっとする。そう言えば、どうやって帰ってきたのかも、よく覚えてない。泣こうと思えば、いつでも泣ける。   あのノリの顔、初めて見た、あんな怒った顔。初めて聞いた、あんな怒った声。思い出したくないのに、思い出した、胸がキューっと痛くなる。  … 続きを読む

雑草と太陽 9

(2012年6月13日 21:00)

ノリが何処に向かったかのか、そんなのすぐに分かった。でも、どうやって声を掛けたらいいのか分からないし、第一さっきのことでもう頭がいっぱいいっぱいだし、第一まだ、…直ってない。 ……。 体育館の角で立ち止まり、気持ちと体が収まるまで、ゆっくりと、深く、深呼吸。 ……。なんとか下は収まったけど、気持ちの整理は全然付かない。そしてこれからも、いくら待ったとしても、… 続きを読む

雑草と太陽 8

(2012年6月7日 22:00)

焦らしたり、躊躇ったり、そんな素振りは一切なかった。“男らしく”、そんな言葉がぴったりだった。 ノリは、みんなが見守る中、一気にパンツを下ろす。そして脱いだそれを、足から完全に抜き去り、静かに地面に投げ捨てた。……っ。 「きゃーーーーーーー!!!!」「うっは!!!!」「マジでやりやがった!!!!」 顔を覆い叫ぶ女子、大喜びする男子。顔… 続きを読む

雑草と太陽 7

(2012年5月30日 21:00)

次の日の放課後。 雲1つない、春風の心地良い、まさにスポーツ日和。それでも、校庭の隅はいつものように、木の葉の隙間から微かな日差しを受ける程度である。 誰かのせいですっかり色褪せた、淡い2本のコースライン。そのスタート地点に、2人の選手が並ぶ。 勝者の証人役を買って出た人数は、前回の15人を遥かに上回り、ほぼクラスの全員。 またかよ、もう私はいいや、なんて言… 続きを読む

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