成長くらべっこ 17
「…よっしゃ。
んじゃ次は…、…と、もう、選択肢は
1つしかないわな。」
そう言って、ついに下のズボンへと手をかけるフミちゃん。
………!!!
「…へっ……!」
「…あぁ、大ジョブや大ジョブ。
さすがにノーパンやないわ、ちゃんと履いとるわ。」
…と、そ、そうだよね……。
一旦止めた動作を再開し、ズボンのチャック上のボタンに
手を乗せる。…と
「…そや、せっかくやからここでクイズや。」
「…へ?」
不意打ちにだらしない声。
「今日の文弥くんのパンツの色は
何色でしょう~?」
「…え?」
…そんなの分かるわけないじゃない……。
「…ま、ゲームやゲーム。これくらい付き合えや。
当てよったら、そやな、特別特典プレゼント、とでもしとこか。
…あ、ちなみにブリーフやなくで
ボクサーパンツやからな。
さ、言うてみぃ。」
…そ、そんな……どうしよう……。
…でも、…じゃあ、…と、とりあえず……
これ似合うんじゃないかなぁって色…、で……
……
「…く、黒、…で。」
「……ほう。
…その心は?」
…その心…?……は、
「…なんとなく、…履いてそう……、だから……?」
「ほーう。…なるほどな。」
…知らないよ…、そんなの。
「んじゃ、正解発表~。
…タ~ラ~ラ~ラ~ラ~ラ~……。」
すっかり忘れていた音響さんもしっかり登場し
―ポンッ。まずはボタンが解き放たれる。
そしてその手を、小さなチャックへと移動させ
―ジジジジジ……。限界まで下降させる。
……ドキドキドキ…
何に?答えに…?パンツに…?近づくその瞬間に…?
…全部。
「…さて、答えは~…?」
―ズルッ………!!!!
…勢いよく膝元あたりまで下されたズボン
そのガードを失ったことで、中から現れたのは……
ボクサーパンツ、だった。…黒い。
正確には、黒い生地に、灰色のライン。…何にしても
…正解に、変わりはなかった。
「…さっすが小春やな。」
一瞬驚いたりしたのかは分からない、
焦点を合わせ直した際のフミちゃんの顔は、笑顔だった。
「…なんで分かったん?
まさか今日着替えた時、覗いてたんちゃうやろなぁ?」
「…そんなこと……!!」
しないよ…、しない、よ……。
「…ま、ええわ。」
一言静かに漏らし、左足、右足と、スルスルと抜き取る。
そしてそれを、ポーン。
―ドサッ。
少し重量感のあるフミちゃんのズボンが
靴下、パーカーの山の上に重なる。
増える手元に、減っていく目の前……
「…ついに、パンイチやな。」
腰に両手を当て、改めて確認するようにそう言う。
本当に1枚、…頼りない黒い布1枚になったフミちゃん。
何故か瞑想をするように目を瞑る。
…でも、口元を、無理やりかどうか、緩ませている。
改めて気づいた。…こんなに汗かいていたんだ。
頭から体から噴き出る汗たちが
顔を、体を、好き放題に伝っていく。
短く揃った坊主頭は、汗と光で、キラキラと光っている。
顔の色は…、もう、言うまでもないよね。
申し訳なさも忘れて、ボーっと見つめていると
フミちゃんの目が開く。目を逸らす。
…またゆっくりと目を合わせる。
「どや、パンツだけっちゅーのも
なかなかエロいやろ?」
恒例のごとく、私に聞いてくる。
また私はズルをして、黙秘を貫く。
「…んまぁ夏場とかは、寝るとき大体この恰好やねんけどな。」
そう言うと、急に自分のベッドへとダイブするフミちゃん。
―ギシンギシンッ…。
ベッドとフミちゃんが揺れる。
―クルリ。
振り向き、ベッドの端に腰かける。
初めてベッドを買ってもらった少年のように
その場でベッドに振動を加えてみせる。
上下に揺れるフミちゃん…、と、……
…! ……。
「でな、朝起きよったら綺麗に脱げてて
朝からブランブラーン! …っゆうてな。」
わざとらしく指で鼻をこすりながら、そんなことを言う。
私はまだまだ、黙りこくるをコマンドする。
「…ま。」
よっと立ち上がり
「見どころは、もっこりかいな。」
そう言うと、私の目の前に戻ってきて、サッと真横を向く。
…ポッコリ、…いや、もっこりと
その部分が、大きく、盛り上がっている。
「…おっきそうやろ?」
…ただただ、無視することしかできない。
…おっきそう…って言うか、絶対に大きいよ。
少なくとも、…1年生の頃の、あの写真よりは、…絶対。
「良かったなぁ小春。
もうすぐこの中身も見れんねんで~?」
………っ。
「返事くらいせぇ。
恥ずかしいのは、俺の方や。」
急な弱気な口調に、大きく1つ跳ね上がる心臓。
「…う、…うん。」
弱々しく、ようやく口を開く。
「おう。」
何の答えか、そう、言う。
「…と、そや。特典はこれにしよか。」
「…?」
私の方へと向き直し
「パンツ一丁で、ブランブラーンや。」
「!?」
私の承諾を得ぬまま、腰手のまま、
フラフープ動作に上下運動をプラスした動きを始めるフミちゃん。
…その動きにつられて……
フミちゃんのパンツの、そのものが隠れているまさにその場所が、
グアングアンと、まるで黒い沼を這うモンスターのように
暴れ…、出した。
…何…、これ……。
どうなってるの…?どうなれば、こうなるの……?
私の疑問など露知らず、私へのご褒美に、と
腰をひたすらに振り回し続ける。
「ブランブラーン、ブランブラーン…!!」
目まぐるしく揺れ動くそれに、ただただ言葉を失う。
疑問と、興奮ばかりが、ただただ増し続ける。
…でも、そんな心配、する必要もしている暇もない。
この後すぐに、全部、分かってしまうから。