小説

成長くらべっこ 23

「その机の上でいいんじゃない?」 「ホンマかぁ?2人とも入るかいな。」 ―成長するって、凄く不思議なことだなぁ... ふと、そんなことを思う時があります。 「...ってか、ホンマに撮るんかぁ?」 「記念だよ、記念!」 「じゃあ別にこの恰好でもええやろ?」 「ダーメ!手で隠すの!  私だって手で隠してるんだから。  はいはい、早くタオル取って。」 ―出来るようになったこともたくさんあるけれど、 出来なくなってしまったことも、凄くたくさんあって。 「...ったく、ホンマ小春はエロいなぁ。  まぁ、...ええか。」 「......っ、...!!  隠してっ!!」 「隠しとるわ!はみ出てまうねや!」 「......!!両手でっ!!」 「...なーにを今更恥ずかしがってん。  散々ジロジロ見よってたくせに。  またこっちが恥ずかしくなってまうわ。」 「.........っ。」 ―でも、出来なくなってしまったことも、 頑張れば、実はまだ出来ることだったりすることもあります。 「んじゃ、タイマーたくで?」 「うん。」 「......、  ...よっしゃ、OK。」 「早く早くっ!」 「うっし。」 「...っ!!!隠してっ!!!!」 「駆け足ブランブラーンやぁ。」 「...もうっ、  む、無理しなくていいからっ...!!」 「...っ、.........、......ん。」 ―いや、頑張れば、じゃなくて、 相手によっては、の方が、より正確でしょうか。 「早く座って座ってっ。」 「...おう。」 「ちゃんと隠したっ?」 「...ギリギリ。」 「よし。」 「おう。」 ―これから先、もっともっと成長して、もっともっと変わってしまっても、 これからもこんな風に、笑っていることが出来たら、 「............。」 「............。」 「......ん?」 「......あれ?」 「......ちゃんと、タイマーした?」 「おう。」 「シャッターも押した?」 「押した...はず。」 「何それ~。」 ―大人になるのって、本当に素敵なことだなぁ...、 そんな風に、思うのです。 「...えー、いや、  ちゃんと押したはずやねんけどなぁ......、」 「......ん。」 「えっ.........。」 ―カシャッ。
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