小説

少年裸祭り 【拾四】

鈴谷 孝輔
  • 鈴谷 孝輔
  • 2009/01/03 08:20
  • 神社裏の小屋
山井が褌を着け終わったらしく、戻ってきた。 おーカッコいいな!これぞ男って感じ。 俺も早く着けてもらおう。 褌を持って間宮さんのところに行く。 大人の女の人に全裸姿を見られるのは 流石に恥ずかしいけど 祭りだモンな、しょうがないし当たり前だよ。 恥ずかしがる方が、恥ずかしいんだ。フルチンでいいんだ。 「お願いします!」 そう言って俺は褌を渡す。 …なんかすごい…その… ちんちん見られてる気がする…けど。 そこまで見られると、流石にちょっと恥ずかしい…な。 まぁ隠すのもあれだしな、堂々としてたけど。 「男らしいわね~。」 急に間宮さんからそんなこと言われた。 えっと…褒められた…のかな。 俺が全裸になってきたことが…かな? 俺のちんちんがってことか? なんか知んないけど…めっちゃドキドキしちゃった。 褒められたことにか、見られたことにか 良く分かんなかったけど…さ。 とりあえずなんか、どうしていいか分かんなかったけど 咄嗟に気づいて、ちんちんを剥いといた。 いや…その一応、礼儀として、な。 その瞬間もバッチリ間宮さんに見られたけど 大人の人だもんな、きっとこんなの見慣れてるよな。 …ちょっとビックリしてるようにも見えたけどな。 「じゃ、じゃあ着けていくわね。  もちょっとこっち来てくれる?」 「あ、はい!」 そう言って間宮さんの元へ歩いていく。 …今更だけど、慣れないことすんじゃなかったかな。 勢いで剥いちまったけど 先っぽが…その…スースーして、落ち着かない。 この上から褌巻くんだよな。 …パンツの上からでも痛いのに…持つかな2時間…。 …んでも、それこそ今更戻したりしたらおかしいし。 いろいろ不安を抱えながら間宮さんの目の前に立つ。 …こうして目の前で見られてるって思うと さすがにやっぱり恥ずかしい…かな。 …見栄剥きってバレてるよな…多分。 目の前に立ち10秒ほど経過。 すぐ巻いてくれるのかと思ったんだけど 間宮さんは無言でジッと見つめてくる。 …そんなにジロジロ見られると さすがの俺も恥ずかしいんだけど…な。 「あの…」 ふと聞こえてきたのは間宮さんの声。 ん?と思ってそちらを見る。 少し頬がピンク色に染まった顔が、印象的だった。 「む、無理しなくて、いいからね。」 優しい笑顔でそう言う間宮さん。 …え?何が?って思ったけど チラッと動かした間宮さんの視線が 確実に俺のちんちんを捕らえていたことで その意図を十分に把握することが出来た。 …、ば、バレてたか、見栄剥きだって。 一応俺は礼儀としてやったんだけど…さ。 無理してるんだって思われたんだろうな。 …実際ちょっと無理したけど…さ。 …なんかそう思うと急にもの凄い恥ずかしくなっちゃった。 何が礼儀だよな。 大人ぶって、馬鹿みたいだ…。 どうしようか迷ったけど この上から褌つけてもらうこと考えると 先が思うやられるしな。 …めっちゃ恥ずかしいけど、間宮さんの言葉に甘えよう…。 「す、すみません。」 俺は一言謝って 剥いていた皮を元に戻した。 …うん、これが落ち着く。 まだ6年だもんな。焦る必要ないよな。 俺が戻し終わったのを確認すると 間宮さんは再び笑顔を俺に向けて 「よし、じゃあチャチャっと巻いちゃおうか!」 と言って 何もなかったように俺に褌を合わせ始めてくれる。 …やっぱ大人だな。 俺の心理を全部汲み取ってくれての アドバイスだったんだろうな。 …俺なんて、まだまだ子供なんだな。 見られたことなんかより 礼儀とか言って誤魔化して、見栄張った自分の行為の方が よっぽど恥ずかしいよ…な。 …なんか、俺らの担当が間宮さんで 本当に良かったな、なんとなく、だけど。 その後は順調に手際よく褌が巻かれていく。 やっぱこれ、1人じゃつけられないよな。 初めて褌って着るけど、結構しっかりしてるんだな。 グイグイ引っ張られて、若干ちんちん痛いけど…。 と、あれよあれよという間に 気づくともうつけ終わっていた。 「はい、終わり、お疲れサマー!」 「あ、ありがとうございました!」 俺はお礼の言葉を言って、その場を後にする。 褌の中も快調だ。 ホント…ありがとうございました、いろいろと。 鏡に映る自分の姿を確認し、自然と笑みがこぼれる。 …はは、こりゃあいいや。 確かに生地少なくて露出は多いけど 男って感じで、我ながらカッコいい。
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