小説

少年裸祭り 【四拾伍】

木下 奈緒美
  • 木下 奈緒美
  • 2009/01/03 10:30
  • 海岸付近
うん、録画もバッチリ。 石田さんの家から海に浸かりに行くまでのシーン。 しっかりこのビデオカメラに収めたわよ。 今もスーパーズームを使って しっかりコウスケトリオを捉えてる。 …にしても、人間ってやっぱり慣れる生き物なのねー。 また男の子たちが12人褌で出てくるときは ウブなわたしは懲りずにドキドキしてしまったけど 言ってもついさっき見た光景だもんね。 自分でもビックリするくらい、もう免疫が出来てた。 当然よね。 …大体まだ若干小学校6年生の男の子たちなんだし。 …とか余裕なこと言ってるけど ホントはそれでも心の奥ではどきどきしてたんだけどね。 …でもビデオはしっかり撮れてたから 大丈夫大丈夫、このまま落ち着いていけば…。 そんな当のコウスケトリオは 砂浜を歩いていって 今ちょうど海に浸かっているところ。 寒いよねぇ、寒いだろうなぁ…。 見てるこっちまで寒くなってくる。 ビデオカメラ越しだけど。 でもこうしてると 下3枚、上は4枚も着てるわたしのファッションが もの凄く申し訳なくなってきちゃう。 それでも足元が若干寒いとか思ってるからね。 またいけない大人の例だわ、駄目駄目。 そうこうしている内に 続々と他の学校の子たちが海から上がってくる。 ひゃー…さっむそー…。 …流石に駆け足ねー、そりゃあ寒いモンねぇ。 ホントにみんな、お疲れ様。 1組…2組…3組…… 次々と海から出てくる…けど あれ? ビデオカメラをそちらに向けなおす。 コウスケトリオだけ、まだ出てこない…。 どうしたんだろ… …そんなに浸かってたら体壊しちゃうよ…?? 最初に上がってきた男の子たちは 寒そうに歯を食いしばりながら すぐこっちまでもう走って向かってきている。 うわーーーーー!!!と大きな声を上げながら。 がんばれーー!って言う歓声は当然聞こえるけど わたしたちは一層不安になる…よね。 藤木さんも、石田さんも、間宮さんも みんなどうしたんだろうって顔で海を見つめている。 …と ようやくみんながこっち側を向いて動き始めたのが スーパーズームのレンズ越しに確認できた。 良かった!ようやくこっちに来た! みんな~もうすぐ来るよ、安心して! 心の中で女の子たちにそう声をかけながら しっかりとコウスケトリオに照準を合わせる。 …顔までは確認できないけど 一生懸命海から上がってこようとしてるのが 凄いよく分かる。 頑張れ…頑張れみんな! ヤバイ…ちょっと泣きそう私…! …よし! もうちょっと…!もうちょっと…! よし、出た! はぁ…なんか手に汗握っちゃったw …ホント良く頑張ったね…あとはここまで走ってくるだ… … …… …え? …… …みんな…… …すっぽん……ぽん………!?!?!?
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