少年裸祭り 【弐】

• 間宮 桃子
• 2009/01/01　08:53
• 神社

2009年が幕を明けた！
小学校生活も残り４ヶ月。
去年もたくさんあったけど、今年ももっといい年にしたいな。

わたしは今クラスのお友達の
石田佳奈ちゃんと、藤木いつみちゃんといる。
毎年元旦に、わたしたち仲良し３人で初詣に行くのが
４年生のときから恒例になってた。
まぁ恒例になったのは去年からなんだけどねｗ

元旦の朝ってこともあって神社は朝からすごく込んでた。
人口が多い割に小さな神社だったから
人の列が神社の細い階段をズラーっと埋めるように
続いていた。
あとどれくらいかかるかな？見当もつかないや。
お参りするまでの時間は、佳奈ちゃんといつみちゃんと
いつもみたいにたわいもない話をしてた。

「2009年かぁ、もう６年生も終わりだねー。」
「そうだねー早い。」
「ねー。中学も同じクラスになれるといいなー。」
「ちょっと桃～その前に卒様式でしょ？」
「あ、そっかｗ」
「わたし泣いちゃうかもな、卒業式。」

そんな話をしていると
参列者な並ぶ階段の上から、家族連れが降りてきた。
「あ！」わたしは小さく声を漏らす。

「あ！コウスケトリオの１人じゃん！」
「ホントだー！」

わたしの声に反応してか、２人が気づいてそう言った。
そう、前から降りてきたのは、西島くん家族だった。

「あけおめー！」

２人が西島くんにそう言う。
わたしは急なことにちょっとドキドキしちゃったけど
１つ咳払いをして

「あ、あけましておめでとう！」

と告げた。
わたしたち３人が一緒にいることに
ちょっとびっくりしたのか
少し驚いたような表情をしていたけど

「お、おう！おめでとう。」

と挨拶を返してくれた。
西島くんはそのまま去っていってしまったけど
わたしたちの話題はすぐにその話題に切り替わった。

「明後日だよね？お祭り。」
「そうそう明後日、コウスケトリオのお祭り。」
「別にあの３人のお祭りってワケじゃないでしょｗ」

２人が楽しそうに話している。
けどわたしは少し動揺してしまって
なかなか会話に入っていけなかった。

「楽しみだねー。３人で見に行こうね！」
「うん！」
「え…う、うん！そだね！」

わたしはそのお祭りを見に行ったことは
まだ１度もなかったけど
今回はクラスの男の子が３人も出るってことで
佳奈ちゃんの提案で
いつもの３人で見に行くことになってた。

見に行くのが嫌なわけでもないし
見たくないわけでもないんだけど
少し複雑な気分だった。

だって「裸祭り」でしょ？
お母さんに聞いたんだけど
男の子はみんな褌を締めるらしい。
褌ってあの…布みたいなやつだよね？
テレビで見たことあるけど
男の人の大事な部分を少し隠しただけで
後はほとんどすっぽんぽんの格好…だったはず。
お尻は確か…丸見え…だったな。
小さい頃テレビで見て、すごくドキドキした記憶がある。

そんな姿にあの３人が、…つまりは西島くんが
なるんだよね。
そんなことを想像するとすごいドキドキして…
どうしようってなっちゃう。
さっきも言ったけど、見たくないわけじゃ全然ないの。
むしろ…本当は少し見てみたいんだけど…さ。
…いいのかなー…って。

…って言うか何１人で想像してんのって話だよね。
神聖な祭りをそんな目で見て…わたし最低だな。
祭りなんだからこれは、ね。そう、祭り祭り…。

そんなことを２人との会話そっちのけで考えていると
お参りする順番がわたしたちに回ってきた。

カランカラーンって鳴らして５円玉を投げる。
３人並んで、揃って手を叩く。



「２人は何をお祈りしたの？」

お決まりのように佳奈ちゃんが聞いてくる。

「わたしは、お金持ちになれますようにって！」
「なにそれー、超現実的じゃんｗ
　まぁいつみっぽいけどさｗ
　桃は？　何お祈りしたのさ。」
「え、わ、わたし？わたしはふ、普通だよ。
　みんなと中学でも同じクラスになれますようにって！」
「あ、やっぱり？実はわたしもそれ！」
「ちょ、ちょっとぉ！
　それじゃあわたしだけ性格悪い子みたいじゃん！ｗ」

そんな話をしながら、神社を後にするわたしたち。
でも本当にお祈りしたのはね、実は違うんだ。
みんなと同じクラスになりたいのはもちろんだけど
もう１つね。
「西島くんに、想いを伝えられますように」ってこと。

サッカークラブに入ってて
キャプテンも務めてる西島くんは
かっこよくて、もちろんモテるしライバルも多いけど
わたしが密かに想いを寄せる、大好きな人だった。
小学校生活最後だし、今年のバレンタインには
頑張ってチョコ作って渡すつもり。…できるといいけど。

って言うかわたし次第だもんね。振られるだろうけど…さ。
でも！怖いけど、やることに意味があるんだよね。
うん。

…どーか、叶いますように。