少年裸祭り 【参拾弐】
- 山井 浩介
- 2009/01/03 09:33
- ある民家の庭
なんだか急に騒がしかったなぁ…。
…急に少年が飛び出してきて
鈴谷の褌を墨で汚しちまった。
この家の子供なのかな、いやそうだろうけど
いやはやビックリした。
なんでもあの褌のまま禊に出るのはマズイとかで
今家ん中入っていって
新しいのに変えてもらいに行ったとこだ。
…にしてもあいつ
間宮さんにもっかい見てもらえるんだよな。
なんというラッキー☆ボーイ!
羨ましいったらないぜ…。
などと寒さで感覚が麻痺しているにも関わらず
体が温まってくると同時に
そういう考えに思考がシフトする俺は
やっぱり変態なんだな。
我ながらアッパレだ、むしろ変態ドンと来い。
第一小学校の奴らの厄付けとおまじないみたいなやつを
西島と見ながら会話してる。
…と、今度は俺の後ろから声が聞こえてきた。
「コーウ!」
そう俺の背後で囁いて
そいつは俺のケツを両手でパンっと触ってきた…!
誰だ…!んなことする奴は…!
…と心の中で思ったけど
そんなことする奴1人しかないし
何より声で、そいつの正体を把握することができた。
…振り向くとそこには
いつみが笑顔で立っていた。
「お、お前なんでここにいんだよ!」
「なんでー?別に入ってもいいって言われたんだよ?」
「…ったく、他に入ってきてる奴いないだろ。
空気読めよな…。
…大体男のケツを堂々と触る女なんて
普通いないだろ!?」
「えー、昔よくコウのお尻触ってた気がするけど。
コウにも触られたし。」
「…!お前そう言うことはこう言うとこで言うな…-」
隣りを見ると西島が
へー…と言った表情でニヤニヤ笑っていた。
くそ…俺の黒歴史…こんなとこでバレるなんて…。
「と、とにかく!
ここは今お前のいるべきところじゃない!
とりあえず他の奴らんトコ戻ってろ!」
「えーなんでー!喋ろうよー。」
「だーめ!だめったらだめ!」
「もーう。別にいいじゃん。
ねぇ?西島。」
「…ん?え?
んまぁ俺は別にいいけど(ククク…)。」
ちっ、西島の奴もノリが悪いよな。
小さいってこと黙ってやるって言ったのに
それとこれとは別問題ってか?
完全に俺といつみの絡みを楽しんでやがる。
…つーかいつみも空気読めよなぁ。
他の学校の奴らも
もの珍しそうな目で見てきてるじゃねぇか…。
ほんとマジ…恥ずかしい。
なんかとりあえず、ここから逃げ出したい。
俺は庭の奥の方に歩を進める。
家の裏側の方でもいいから…隠れてぇ-…
「…ちょ、ちょっとコウ!どこ行くの??」
「と、トイレだよトイレ!ついてくんなよ!」
「え?そっちにトイレなんてあったっけ…?」
「…あるある!
っつーかもう、ホントもう戻ってろ!」
「えーなんでぇ…コウの意地悪。」
そう言いながらも俺についてくるいつみ。
「ついてくんなって!
…つ、ついてきたらションベンぶっかけるぞ!」
「え…それは…ちょっと汚い…かな。
…
…分かったよ……ちぇ。」
そう言ってやっと俺から離れ
庭の外へと戻っていくいつみ。
俺はそれを最後まで目で追いかけることなく
戻るに戻れずに家の裏側を塀伝いに進んでいく。
…ったく。
アイツといると俺、もの凄いペース崩れるんだよな…。
ペース崩れるって言うか…
別に嫌じゃないんだけどその…
…そう、2人でいるところを誰かに見られるのが
凄い恥ずかしいんだよな。
アイツあんな性格だし
俺恥ずかしくてムキになっちゃうし…
…別に2人でいる分には全然いいんだ。けど…
…良く分からん、俺にも良く分からん。
幼馴染ってのは複雑だ…。
…でも、ちょっと言い過ぎたかな。
ちょっと寂しそうだったな…。
…んまぁ大丈夫だよな、アイツのことだから
すぐに何事もなかったかのように元気になるさ。
…はぁ…っと
なんかいろいろ考えてたら
家のちょうど裏っ側くらいのトコまで来ちまった。
ってかこの家デカいなー、羨ましい。
…別にトイレに行きたくてここにきたわけじゃないけど
いざ逃げ出してきたら
なんかホントにションベンしたくなってきちった。
…つっても家の裏に便所設けてたり…
するわけないよな。
…どうすっかな。
…
…別にバレないか、ここでしちまっても。
丁度いい感じの雑草もあるし。
誰もこないと思うけど
誰か来る前にささっと済ませちまおう。
褌の横っ側からアソコをポロンと出して
放尿準備完了。
…やっぱ縮こまってんなぁ…寒かったからな、仕方ない。
アソコに大気が直接あたると
妙にゾクゾクしてきてブルっちまった。
…っと。
……
…シャーーーーーー……
…ふぅ。気持ちいい。
……
…お、アリだ。
よし、このアリにションベンかけよう。
…お、ん。
…うはwなかなか当たらないw
すばしっこいなこいつw
あ…くそ!…この!
…あー…もう出ない。ちくしょうめーw
……
…大人気ないな俺。
よし、良く振って…
…
-バタン!!!
…え?
急に聞こえた大きな音にビックリする。
…ドア?
あそこのドアが閉まった音か?
…開いてたっけ?
……よく覚えてない。
んまぁ風でドアが閉まっただけだよな。
にしてもこんな大きな家なのに
裏口を開けっ放しにしとくなんて
なんて無用心な…。
…ま、俺の知ったこっちゃないけどね。
-さてっと。
そろそろ俺の厄付けの時間かな。
いつみの奴…流石にもう戻ってるよな。
…よし。
俺も戻るか。