小説

少年裸祭り 【参拾七】

石田 佳奈
  • 石田 佳奈
  • 2009/01/03 09:48
  • 石田家 脱衣所
…… … 脱衣所に誰もいなくなったことを確認して わたしは乾燥機の中から出る。 …こんな1月の寒い日に まさか汗だくになるなんて夢にも思ってなかった…。 …にしても いろいろあり過ぎて頭がパニック状態。 まず結論としては 鈴谷のおちんちんは見れなかった。 まさかお尻向けて褌締めるなんて… なんでそんな簡単なことの予想も出来なかったんだろう… 自分の不甲斐なさを反省。 …でも後ろ姿ではあったけど 生まれたままの姿の鈴谷を目の前で見ることができたし 何よりも いつこっちを向いてくれるか分からないドキドキ感で わたしは死にそうなくらいに緊張してしまってた。 …なんだけど、なんだけど…。 さらにビックリする出来事が起きたの。 …なんと脱衣所に、桃子が入ってきたのね。 一瞬脱衣所の空気が止まったような感覚だった。 なんで!?って言うのがわたしの最初の感想だったけど そんなことよりも何よりも、桃子の視線が気になった。 …乾燥機からのアングルじゃ良く見えなかったけど それでもわたしには良く分かった。 桃子は間違いなく、鈴谷のおちんちんを見てた。 見てたって言うか…凝視に近かったよね。 それに気づいた鈴谷は慌てておちんちん隠してたけど …桃子はバッチリ見てたはず。 そのまま桃子は慌てて出て行ったけど 何しに来たんだろうな… 後で聞きたい…けど聞けるわけないか。 見られちゃった鈴谷がどんな反応するかと思ってたけど それにもビックリ。 自分の大事な部分を見られちゃったのに そんなことお構いなしに桃子の心配してたの…。 どんだけ優しいのよね… と言う感情と同時に 鈴谷のおちんちんを見ることができて 更には心配までしてもらえた桃子に もの凄く…なんて言うのかな… 嫉妬してる自分がいた。 …そりゃそうだよ、羨ましいに決まってるじゃん。 … ……って言うかホントにわたし馬鹿だよね。 自分で犯罪みたいな計画しといて 弟にまで苦労かけて、そのくせ失敗して 更には仲のいい友達に 大好きな人のおちんちん見られるなんて… ホント馬鹿。最低。 自己嫌悪以外の何ものでもないよ。 …大体鈴谷のこと嫌いになりたくてやったことなのに 実際ことが終わったみて、どう? …むしろ恥ずかしい鈴谷の姿や 他人を思いやる優しさに触れることができて …もっと好きになってるじゃん…。 もう…馬鹿…わたしの馬鹿馬鹿馬鹿! …とにかく ずっとここにいるわけにもいかないもんね。 …そっかぁ、このあと桃子とかにも 何事もなかったように接しなきゃいけないんだよね。 心が持つかどうか…はぁ。 重い体に鞭を打って脱衣所を出る… …と出ようとしたとき、ふと目にあるものが止まった。 …ゴミ箱の中の… …!  …褌……だ、よね…? そうだよさっき桃子のお母さんが捨ててたもん。 ってことは…これって …鈴谷がつけてた褌ってこと…だよね…? 心拍数がまた一気に上がる。 …べ、別に誰も見てたりしないよね。 ここまできちゃったら、もう後戻りなんてできないよ。 わたしは震える手で、ゴミ箱に捨ててある褌を手に取る。 …まだ、温かい。 鈴谷の熱なんだ…と思い、凄く興奮するわたし。 …変態だよねわたし… そんなの当に知ってるよ… もう今更そんなことで凹んだりしない。 …どんな匂いがするんだろ。 鈴谷の匂い…おちんちんの匂い… わたしはもう完全に理性を失い 褌を持つ手を、自分の顔に近づけている。 鈴谷…鈴谷…… …… …-ガチャ。 ………!!!!! 咄嗟にトレーナーの中に褌を隠す。 ドアの目の前に立っていたのは…隆だった。 「お、姉ちゃん!どうだった?巧くいった?  あの兄ちゃんのちんちん見れたか?w」 瞳をキラキラさせながら、そう言う隆。 …もう、ホント驚かせないでよ。 心臓止まるかと思った。 今日何回このドアの開く音に驚かされてるんだろ…。 「…あ、いや…見れなかった…けど。」 「…ぇえ!?見れなかったの!??」 「…うん、あとちょっとだったんだけどね。」 「えーーーーーーーーー!!!!!!!  じゃあ、ポ、ポケモンは無しぃ??」 ホントにがっかりと言った様子の隆。 そんなわけないじゃんね、目的は達成できなかったけど 隆頑張ってくれたモンね。 「大丈夫よ、ポケモンは買ってあげるから。」 「…ホントか?いいのか?見れなかったのに。」 「…ふぅ、いいの。とりあえずありがと。  隆もこの後祭り見に行く?」 「…いや俺はいいよ。  書初めに夢中な設定だからな。」 「あ…そっか、ごめんね。」 「…いや…別にいいけど。」 「…んじゃ、お姉ちゃん行くね。」 そう言って隆を置いて脱衣所を後にする。 …向かう場所は …とりあえず、わたしの部屋…。
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