小説

少年裸祭り 【四】

山井 浩介
  • 山井 浩介
  • 2009/01/02 16:07
  • 山井家 浩介の部屋
裸祭りを明日に控えた今日。 衝撃の事実が明らかになった。 とにかくあいつらにも知らせなきゃと思って 今俺は受話器を握っている。 めっちゃ興奮してる、落ち着け落ち着け…。 プルルルル…プルルルル… ガチャ。 「…はいもしもし。」 「あ、もしもし?西島?俺だけど。」 「…ん?俺って誰だ?」 「俺だよ俺、山井だよ。」 「…あー山井か。最初にそう名乗れよ  詐欺だと思うだろ。」 「すまんすまん。」 なんかめっちゃテンション低いな、西島。 明日裸祭りだからか、まぁ普通に考えて めんどくさいけどな。 「明日、裸祭りだな。」 「ん、あぁ、そうだな。なんだよ今更。」 「いやさ、ちょっと知らせておきたいことができてさ。」 「なんだよ。」 ふふ、きっと驚くだろうな。 「明日の祭りの前に褌締めるだろ?  アレをやってくれる人、お前知ってるか?」 「…い、いや、知らないけど…  どっかのおっちゃんとかじゃねーの?」 「いやいや違うんだなー、それが。聞いて驚くなよ~。」 「…なんだよ、早く言えよ気持ちわりーなぁ。」 「…それがな、間宮んとこのお母さんらしいんだ。」 「…は!?」 おーこれはいいリアクションw そりゃあ驚くよな。 「…それ、本当かよ。」 「ああ、多分絶対本当だ。  うちの父ちゃん、市に勤めててさ。  その関係でうちの校長と知り合いらしいんだけど  校長からじきじきに聞いたらしいんだ。  んでその話を俺がさっき父ちゃんから聞いたんだ。」 「…マジ…かよ。」 「な?w ビックリだろ?知れて良かったろ。」 「…いや、出来れば知りたくなかった…な。」 「…え?なんで?」 「なんでって…なんでも…だよ。」 変な奴、更にテンション下がっちまいやがった。 「…で?話ってのはそれだけか?」 「え、…あぁ、まぁ、それだけだけど。」 「そうか、じゃあ切るぞ。」 「あ、あぁ、分かった。明日頑張ろうな!」 「…おぅ。」 ガチャ。 ツー…ツー…ツー………。 なんでぇノリの悪いやつだなぁ。 せっかく教えてやったのに。 …にしても まさか間宮のお母さんに褌締めてもらえるなんて… まさに俺にとっちゃあ、新年最大のお年玉だな。 間宮のお母さんの顔を思い出す。 あの美人な顔、スラッとした体、優しそうな瞳。 あんな人に裸見てもらえて しかも褌締めてもらえるなんて… はっきり言って男の夢だよな。 …ってかこれが普通の男だよな? 俺が異常なだけとかそんなんじゃないよな…? 俺がちょっと年上の女の人が好きなだけ… とかじゃないよな?? …いや、違うよ。 そうだよ、男は誰だって綺麗な女の人に 自分のを見てもらいたい動物なんだよ。 興奮する生き物なんだよ。 もちろん、あいつらだって。 明日の締め込みを想像して顔がにやける。 …いかんいかん、これじゃあただの変態だ。 受話器をもう一度手に取り、ダイヤルする。 次は鈴谷に教えてやらないとな。 くくく…。
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